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月夜譚 【No.201~No.300】

歌の天使 【月夜譚No.207】

作者: 夏月七葉

 気持ちの籠もった歌は、聴いていて心地良い。誰かを想って歌えば温かな気持ちが載るし、コンクールの合唱ならば団結力や優勝したいという想いが伝わる。

 多かれ少なかれ、歌には気持ちが籠もる。それがたとえ不意に出た鼻歌だとしても、楽しさや切なさが少なからず含まれるものだ。

 夕暮れの迫る街角の電柱に背を預けた彼は、近所から漏れ聞こえてくる歌声に耳を傾けて目を閉じた。

 この歌声は良い。楽しかった今日の出来事と、明日への希望が織り交ざった、実に心躍る旋律だ。

 彼は口元に笑みを浮かべて、踊るように地を蹴った。瞬間、その背から純白の羽が広がって、オレンジの光を照り返す。

 歌は良いものだ。人々の心を豊かにし、感情を表して伝える手段でもある。

 彼等がいつまでも歌を愛し、愛されますように。

 天へと上る彼の唇から零れた旋律は、今日の終わりと明日の訪れを報せるように、夜に溶けて消えた。

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