★★聖女の存在
グレイル視点
待て、待ってくれ。
リツと、俺は馬車という狭い空間で二人きりで過ごした。
しかも、一夜どころかまるっと二日間ともに過ごした……ぞ?
責任……男として責任……。
俺は、責任を果たすところか、十分な生活が送れるだけのお金を渡すことすらしていない。
森に降ろし、ギルドへ行けばいいと助言を与えただけだ。いくらかの魔石と道具は渡したが……。
最低な男だな。
後は知らん、ギルドで何とかしてもらえと。
そのあとリツと会った時も……ギルドは何とかしてくれなかったのか、今度は指輪を見せて何とかしてもらえということを言ったんだよな……。
俺自身が何の責任も取ろうとしてない。ギルド長やギルドの対応へ不満を口にしただけで。
最低だな、俺。
髭つるなだけでなく性格まで最低だな、俺。
「くっそう!ダン、黄色い花が欲しい」
「はぁ?殿下、いったい何の話です?」
「失礼なことをした相手に花を贈りたいんだ」
リツが欲しがっていた、黄色い花。確かタンポポと言っただろうか。
花束にして送りたい。リツが望んでいる花を花束にして……。誠心誠意謝りたい。
「黄色?庭園に黄色いバラも咲いていたはずですけど。庭師に命じて」
「いや、違う、バラではなく、黄色くて、あー、なんか白くてふわふわして」
ダンの目が細くなる。
「それは、女性の話ですか?黄色い髪の、色が白くてふわふわっとした感じの女性で、それに似合う花が贈りたいと言う」
はい?
「いや、違う、違う、違う、ちが……」
うのかな?
リツは黄色い髪もしてないし、色が特別白いわけでもないけれど、絵に描かれたあのタンポポという花が似合いそうなかわいい女性だ。派手さはないけれど可憐さはあって。
ダンがぶつぶつとつぶやきだした。
「エルフの女性を妻に臨むとなると……いろいろ問題が……寿命に関して……グレイルがなくなった後はすべての権利を反してもらうかなにか誓約書を取り交わすか……生まれてくる子の問題もあるなぁ賢い子であれば寿命が長くともよいがまずい人間だった場合は……いや、子だけではないか、孫……からその先、ずっとついて回る問題となるな……となると世継ぎは人間の女性に産ませ……ああ、ややこしい。グレイルにはあきらめてもらうしかないか……だが、グレイルの口から女性の話が出るなんて初めてのことだぞ?初恋だろう?いや、初恋は実らないっていうもんだし、……そもそも女性側の気持ちも……グレイルのように髭つるで俺なんてとかいうやつ、うっとおしいから嫌われ……」
よく聞き取れないが、なんだか褒められているとは思えない。
まぁいい。
書類の処理が先だ。
本来なら、陛下とその側近が処理するべき書類。
凡庸だった陛下が変わってしまったのは、神官皇が変わり……神官皇になるはずだった男がやってきたころからだ。
自分が神官皇になるはずだったが、エルフの男に奪われたと。自分がなるはずだったと男は主張していたが、神官皇補佐でもなんでもない、ただの下っ端の神官だと調査の結果分かっている。
ただ、自分は召喚魔法が使える。だから、神話に出てくるされている聖女を召喚することができるから自分が神官皇にふさわしいと思い込んでいたようだ。
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