あんときのあれ
いや、あー。いろいろとごめんなさい。内緒だよって言わなきゃよかったです。魔法だよなんて言わなきゃよかったです。
でも、いいか。
「お代わりする?他のもあるよ黄色いのとかピンクのとか」
パイナップル味に、桃味とメロン味。それからコーラ味とソーダ味。
昔の私、ちゃんと全部試したんですよね。偉いですよ。友達は気に入ったらずっとそればっかりの子もいました。コーラ味ばかり買ってる子とか。いえ、そもそも粉ジュースは買わない派もいましたね。
こうして大人になって役に立つこともありますよ。
「いいの?お代わりしてもいいの?……でも、おいら、何もお礼できない。こんなすげーの飲ませてもらっても」
遠慮なんて子供がすることないんだよっ!と、言いたいけれど、精神的には10歳くらいとはいえ歩んできた人生が過酷だからもっと上かもしれないですね。働いてご飯を得ているというのならば、働かずに手に入るものに関して後ろめたさというか、申し訳なさというか何かを感じちゃうのかもしれません。
ポケットからメモ用紙とボールペンを取り出します。
「ミック君、いろいろ本物を食べたことがあるって言ったでしょう?えーっと、玉ねぎは食べたことないかな?」
玉ねぎの絵を描きます。玉ねぎにしたのは、絵にしたときに分かりやすいだろうというのと、もう一つ。
「さっきのハンバーグなんだけど、本当はこの玉ねぎを使って作るんだ。でも材料がなかったからハンバーグモドキ……ハンバーグっぽいものでしかなくてね」
ミック君が私の描き上げた玉ねぎの絵を見て顔をゆがめました。
「……これに似た見た目のやつ食べたことあるけど……リツ兄ちゃんの言ってるのとは違うかもしんねぇ」
なんかすごい表情してます。似た形?えーっと、なんだろう。ニンニクなら嬉しいな。あとエシャロットとか……?
ああ、もしかするとチューリップとか球根も似た形ですよね。……チューリップの球根は確かツリピンという毒が含まれていて心臓に影響が出て最悪死に至るとか聞いたことが……。球根でも、ゆり根のように食べられる物もありますよね。この食べられる物と食べられない物というのは、売ってるかどうかでなんとなく知っていますが、知らなければどれが食べられる球根でどれが食べられない球根なのかなんて分からないですよね……。
「すんごいまずかったし、神官皇様に鑑定してもらったら有毒って表示されたやつ」
へ?
鑑定……で、有毒?
「そんな有毒の物を食べても大丈夫だったの?」
ミック君が今目の前に元気でいるんだから、大丈夫だった……死ななかったというのは分かるのですが、思わず聞いてしまいました。
「うん。まずくてちょっとピリッとしたくらいで、平気だった。あー、もしかしたらたくさん食べなかったから平気だったのかもしれねぇけど。とりあえず出すよ。【あんときたべたあれ】」
は?
呪文があんときたべたあれ?名前が分からないからでしょうか。
あ、そういえば、うまいんだ棒とか出すときに、何味と言わなくても、頭の中で浮かべた物が出てきました。
つまりは、頭の中に浮かべればいいと言うことでしょう。なるほど。
神官皇様……鑑定できるらしい。
そして、毒判定!どぉーーーん
あ、念のため言っておきます。
チューリップの球根ですが、危険目な毒があるため食べてはいけません。
んが、ややこしいのが、食用で毒の無いチューリップの球根なるものが存在しているらしいんです。
こういうことすると、普段チューリップの球根を食べてる人は、毒があるって知らなくてその辺のチューリップ引っこ抜いて求婚食べて死んじゃう事件とかおきそうで怖いですよね。
あ、そうそう、アジサイの葉っぱも毒があるのに、食事の彩として食卓に出しちゃう人がいて、大葉や桜餅の葉っぱみたいに食べられる葉っぱだと思って食べて食中毒とかもあるそうなので、本当、毒物知らないと危険……怖いですよね。お気を付けください。




