泥団子のお兄ちゃん
まずは塩を少し抜いて……。
「……固いお肉を少しでも柔らかくする方法はないでしょうか?」
パイナップルの酵素か何かで柔らかくなるという話は聞いたことがありますが……。
駄菓子の粉ジュースのパイナップル味じゃぁ、駄目ですよね、きっと。
「ひき肉にしましょうか?」
それが一番柔らかく食べられるはずです。ひき肉にして丸めて焼きますか?
ハンバーグとか作るのは無理ですよね……。
臭みは塩水で少しはとれているといいのですが……。
何か駄菓子でなんちゃってピザのように、なんちゃってハンバーグを作る方法はないでしょうか。
ハンバーグに必要なものは、玉ねぎとパン粉とつなぎになる卵とか塩コショウなどの味付け……。
「たまねぎ……うまいんだ棒にたまねぎ味はありませんでしたよね……オニオン味という名前もなかったはずですし……。あ、そういえば……キャベツの太郎丸とかたまねぎの太郎丸とかいう駄菓子がありませんでしたでしょうか?10円では売ってなかったでしょうか……」
ぽんっと、キャベツの太郎丸と、たまねぎの太郎丸が現れました。
「ふおう、出てきました!」
すごいです。これが10円ですか?いえ、今は値上がりしているかもしれません。昔、10円で買って食べていたのですね……。
昔の私、いつも同じものばかり買う少女じゃなくて、いろいろなものを食べてみる少女でよかったです!
「えーっと、肉をひき肉にします」
武器屋で安く買った欠けた短剣。細かく肉を刻みます。
それから、たまねぎとパン粉の代わりはたまねぎの太郎丸です。袋の上から荒くつぶして、肉と混ぜます。
ちょっと考えてから、おやつのチーズも出して、小さくして混ぜることにしました。
チーズハンバーグです。肉が少し臭くてもチーズの風味でごまかされないかな?なんて思いまして……。
たまねぎの太郎丸がつなぎの役目も果たしてくれる……?
なんか、ちゃんと見た目はハンバーグっぽくなりましたよ?これを手の平に叩きつけるように空気を抜きながら形を整えていきます。
「何してるの?泥団子遊び?」
ふえ?
空気を抜く作業は手の平と手の平で肉を放り投げて行き来させるものです。うっかり落としては駄目だと、ハンバーグ作りに集中していたため、人が近づいてきていたのに気が付きませんでした。
作業の手を止めて振り返ると、10歳前後の男の子がいました。
「おいらもやっていい?」
男の子がフライパンの中にあるハンバーグの種を見て言いました。
「えーっと、泥団子じゃなくて、これは食べ物なの。だから、落としたりしちゃダメだよ?土がついちゃうと食べられないからね?」
私の言葉に、男の子が目をまん丸にした。
「泥団子じゃなくて、食べ物?これ食べられるの?すげー。さすが泥団子のお兄ちゃんだ!」
「はい?泥団子のお兄ちゃん?」
何でしょう?泥団子……。
あ、そういえば、すんごく綺麗な顔をした男の人にチィロールチョコを見せた時に泥団子と言われましたけれどそれをこの子も見ていたのかな?
ミック登場!




