いざ、お肉!
「すごいです。器用です。これなら大丈夫ですね……」
にこっと笑うと、ミニ馬さんもにこりとわらって……笑ったような顔をして、ほほをすりすりと私のほっぺたに摺り寄せました。
か、かわいい!
思わず首に手を伸ばしてぎゅうーッとしてしまいました。
キュイーーーーーンッ。
ひと際高いと思うような音が頭に響きます。
「あ、ごめんなさいっ」
抗議の声かと思って慌てて手を放すと、キュイキュイと体を寄せてくるので、どうやら抗議ではなかったみたいです。では、遠慮なく……。
ぎゅぅ。
もふもふ。
「助けてくれてありがとう。また会えたら金平糖あげるね……」
キュイ。
「また会えるといいね」
キュイ!
「私はリツ。覚えていてくれると嬉しいな……」
リツ。
ん?
「え?今、キュイじゃなくて、私の名前呼んでくれた?」
キュイ。
あ、戻りました。気のせいだったんでしょうか……。
「じゃぁ、そろそろ戻るね……って、あれ?道はどっちだったんだろう。迷子でした……」
きょろきょろとしていると、ミニ馬さんが鼻先で行く方向を教えてくれました。
「ありがとう。じゃぁね!」
手を振ってミニ馬さんと別れ、森の中を進む。
リツ。
ん?
またミニ馬さんが名前を呼んでくれた気がします。振り返ると、もうミニ馬さんの姿はありませんでした。
視界に入ったのはミニ馬さんが倒したゾンビライオンの亡骸です。
……そうそう、この世界はゲームのように倒したモンスターが光となって消えるようなことはなかったんですよね……。
無事に、道に出てこられました!
フライパンなどの荷物の置いてある場所から少しずれていますが、誤差の範囲です。
……もしかして、火を消さずに燃やしたままなら、煙の位置で迷子になることもなかったかもしれません。次からは火事にならないように気を付けて煙は上げておこうと思います。念のための備えは大事です。米粒魔石……取ったけれど金平糖にした分を差し引きするとほとんど増えてないです……。でもいいんです。ミニ馬さんかわいかったです。
もふもふさせてもらえて、癒されました。ふへへ。
塩水に漬けていたお肉を引き上げます。一つは食べて、あと2つは干し肉……。
干し肉の作り方は、直射日光に当たらないように風通しの良いところに干す……んですよね。
生肉を干すだけ……不安しかありません。
「燻製肉にしましょう……」
そうしましょう。食べてお腹を壊しては大問題です。
肉2枚を薄切りにしてなんか適当な石や木で簡単な煙を逃がさない囲いを作って、いぶします。
キャンプで燻製チーズとか燻製ソーセージとか友人が作ってくれたことを思い出しながら作業したら何とかなりました。……いえ、見た目は何とかなっています。あとは食べるときにうまくできているかどうか分かりますね……。
冷燻法とか低温でいぶすのはあれなので、高温で……なので、細かいことは大丈夫ですよね……?
時間がかかりますので、その間に肉を調理しようと思います。
なんだかんだと、結構長い時間米粒魔石拾いをしましたので、出来上がる頃にはお腹も空きそうです。
塩水につけて肉の臭みを取る方法があるそうです……が、あんまり臭いお肉に遭遇することも無いのでどれくらい効果があるのか不明……そして、ちょっと臭いお肉はニンニクとかで何とかしようとするタイプです……えへ




