キュイキュイ
はい。ちゃんと料理に砂糖代わりにつかいましたよ。あの時は何に使ったのでしょう。さすがにそこまでは覚えていません。
袋から出して手の平に乗せ、ミニ馬さんに差し出します。
はわわっ!
大きな口がカパッと開きました。
鋭い歯が見え、思わず体を縮めます。
ミニ馬さんはそのまま私にかみつくこともなく口を開いたままこちらに向けています。それから、よだれがたらーっと口から垂れました。
「あ、もしかして口に入れてほしいの?そうですね、小さくて食べにくいですものね」
金平糖の粒をひとつづつ唇の先でつまんで食べるのは確かに大変そうです。
口の中にざらざらと金平糖をいれてあげました。
キュイキュイ。
かわいい超音波が頭の中に響きます。
嬉しそうです。
一度に飲み込まず舐めて溶かすように味わっているのかな。しばらく幸せそうに尻尾を揺らしながら顔もゆっくり揺らしていました。
食べ終わったのかな?
キュイっとミニ馬さんがかわいく頭を傾げます。
「えーっと、まだ欲しいの?」
キュイッ。
どうしよう。ミニ馬さんは命の恩人ですし、いえ、恩馬ですし、お礼はしたいです。金平糖を出すには米粒魔石……スライムから取れる魔石があればいいので、何も問題はないのですが……。金平糖……魔石の効果しかないでしょうか。もし、金平糖の栄養素が影響するとしたら……。砂糖はとりすぎるとダメだと思うんです。
……大丈夫でしょうか?
いえ、大丈夫かどうか分からないのに、命の恩馬さんを糖尿病にしたり虫歯にしたり肥満にしては大変です。
「あの、もっとたくさんあげたいのですが、一度にたくさんたべるのはよくないのです……って、分かりますか?」
キュイッ。と、ちょっと悲しそうな色を目に浮かべて大きく頷きました。
話が通じてますね、絶対。
「あの、約束は守れますか?一度にたくさん食べすぎず、ちょっとずつ食べることができますか?」
キュイッと、凛々しい顔でミニ馬さんが頷きました。
信用できます。と、なぜか確信しちゃいました。
グレイルさんに初めにもらった巾着袋の中身を、さっき受け取った巾着袋の中に入れます。……さっきのは指輪を投げてよこすために、指輪だけでは紛失するだろうからと魔石入りの巾着袋に入れたのであって、魔石をくれたわけではないとは思うのですが……今度会った時に混ぜちゃったことを謝って返しましょう。
米粒魔石で金平糖を出して袋を破いて巾着袋に入れていきます。
「えっと、これで、1か月分くらいかな?」
巾着袋に半分くらい入れたところで手を止めます。これ以上入れると巾着袋を閉めたり開けたりしたときに落としそうです。
「上手に開け閉めできる?無理かな……何か蓋つきの器とかがあったほうが……」
他に入れ物になりそうなものは持っていなかったかと考えたけれど……思いつかない。
すると、ミニ馬ちゃんは、巾着を口にくわえて、紐をその辺の木の枝にひっかけた。そうして、舌を使って上手に口を少し開いて舌でいくつか金平糖を取り出した。それを戻してから、今度は紐を引っ張って口を占めると巾着袋を枝から外して自分の背中にむけてぽんっと投げました。
うわぁー。
ミニ馬……
ウマ、ロバ、ポニー、調べた。そうか、そうだったのか……。




