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毒キノコかもしれません

 木の実……うう、食べられない。これは本気で10円のものじゃないと駄目そうです。

 あ、でも、木の実なら、ここは森ですし、何か手に入るのでは?

 キョロキョロとあたりを見回します。

「あ、きのこ見つけました」

 木の根元にきのこが生えているのを見つけました。

 赤いカサに、ぶつぶつと白い斑点が付いているきのこです。

「絶対、毒きのこですね……」

 見なかったことにして視線をそらしました。

 うん。一番初めに見つけた物が、毒きのこ(仮)で良かったかもしれません。

 ここは異世界なのです。地球と似た食べ物があって、リンゴに見えてもリンゴとは限らないのです。

 もしかしたら、白雪姫に出てくる毒リンゴが木になっている世界なのかもしれないです。そうすると、一口食べたら私はころりです。

 小人さんも王子様もいないので、私はその辺でかじったあとのあるリンゴを手に持って倒れたまま朽ち果ててしまいます。

 ……それはちょっと悲しいです。いえ、まだころりならいいです。3日も4日も苦痛に苦しむような毒だったら大変です。

「……やめておきましょう。その辺に生えてる食べものは、ちゃんとこの世界の人に食べても大丈夫か尋ねてからにしましょう……」

 全く食べるものが手に入らなくて死にそうになっているわけではないですからね。

 単に……もう食べ飽きたというだけですから。贅沢な話です。突然異世界の森に放り出されて、飢え死にしないのですから。

 地面を注意深く見ながら歩く。米粒魔石は1日で50個は欲しいところです。

 お水を出すときにも必要ですし、お腹が膨れるくらいうまいんだ棒を食べると結構な数が食べられます。

 自然と歩みはゆっくりになります。

 ええ、そうです。仕方がないのです。ゆっくりなのは……。別に、町に行くのがちょっと怖いとかそんなのでは……。

 嘘です。ちょっと怖いです。どんな人がいるのかも分かりません。

 兵士さんのようにいい人がいればいいですが、陛下や神官や騎士のように意地悪そうな人がいたら怖いです。

 ……でも、あの親切だった兵士さんが町へ行けと言っていたので、悪い人がいっぱいいて怖いところではないはずです。

「あ、あった」

 米粒……よりも少し大きな魔石が落ちていました。炊いたご飯粒くらいの大きさです。

「キャベツ五郎」

 もしかしたら20円サイズ?と思ったので呪文を唱えてみますがやはり反応しません。

 うん。米粒サイズしかやっぱり私には無理なようです。ご飯粒はまだ早いみたい。いつか、私、キャベツ五郎を食べるんだ……。じゃないよ!夢はおにぎりです!おにぎりは私の記憶の中では、コンビニでは100円とか130円とかしてました。けれど、私が買っていたスーパーでは、1個70円くらいでした。……時折割引シールが貼られていて30%引きでした。つまり、えーっと、50円くらいだったんです。

 魔石って、値段で価値を判断するんでしょうか?だとしたら、割引シールは有効ですか?無効ですか?

 まぁ、今の私には50円も遠いのですが……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 今夕飯を食べてお腹は空いてないのに、なんだか悲しい気持ちになっております。がんばれ、主人公。
[一言] あ、現在の価格じゃなくて過去の記憶(記録)なのかな? 友達から一口分お金取られた!記憶でもあれば良かったのにね。
[一言] お久しぶりです。楽しく読ませていただいております。
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