肉が食べられる生活
「あ、あの……じゃぁ、栗を……見つけたら持ってきてもらえますか?」
「分かった。必ず栗をリツに……持ってくる」
グレイルさんがほっとした顔を見せる。
ずっと私の両肩をつかんだままです。
麗しいお顔が近くにあって、手の体温が肩に伝わって、そろそろ私のイケメン耐性限界値を超えます。
何か言わないと、話題をそらさないと……焦っ、焦っ。
「お肉、お肉を出してもらってもいいですか?あの、後で、後で食べたいのでっ」
「ああ、もちろんいいぞ。そうだな。肉魔石は使えなかったんだもんな。ちょっと待て」
グレイルさんが親指の爪サイズの魔石を取り出し呪文を唱えました。
「肉」
「あ!待ってください!焼いたのじゃなくて、生の方を、生の肉を!!」
空っぽになったフライパンを差し出してそこに出してもらえるように要求します。
「戻れ。いや、生?……肉」
フライパンの中に生肉がでました。
グレイルさんが疑わしそうな眼を私に向けます。
「生焼けで食べたいというんじゃないよな?」
高級な牛肉ならレアでも美味しくいただけますが、この肉は何の動物かも怪しい……し、豚や鶏は生は危険なのは知っています。基本的に生の肉は食べちゃダメです。例外がちょこっとあるだけです。私だって、日本にいるときに普段食べているお肉はしっかり火の通ったものでしたよ。
「あの、塩は、焼いてからかけるよりも、焼く前にかけた方が味が染みて美味しいんですっ、それで……」
米粒魔石を取り出して塩を出してフライパンの中の生肉にふりかける。
「へー、そうなのか……」
グレイルさんが私の顔を覗き込みます。いや、だから、距離感、距離感。顔面偏差値高すぎる自覚持って自粛してください。
「約束してくれ、絶対生焼けで食べないこと。しっかり火を通すんだ」
こくこくと頷きながら若干後ずさる。
がしっとグレイルさんの手が私の肩をつかみました。に、逃げられませ……ん。
「それから、パンの上に乗っけてた肉のかけらみたいにけちけち使うな!」
ん?パンの上のかけら?カルパーンのことでしょうか?
けちけちじゃないですよ。サラミにしては大変贅沢にたくさん乗せましたよ?
「あんなに干からびてからっからになった肉……何日食べずにとっておいたんだ!」
……え?あれ?干からびた肉?もしかして干し肉文化とかもないんでしょうか?
保存食……必要ないですもんね。魔石で持ち歩いた方が保存とか考えなくてもいいし、コンパクトで軽いわけですし……。
そうか……干し肉も見たことが無ければ、確かにサラミは干からびた肉。
ドライソーセージのことだから。ドライ……干からびていることに間違いはないです……。いや、言い方!生焼けの肉だとか、干からびた肉だとか……。
あ、そういえばサラミとカルパスは別の物なんですよね。おやつのカルパーンはカルパスだから、性格にはサラミではなくて……。
サラミはドライソーセージ。カルパスはセミドライソーセージだから、カルパーンは干からびる前の生乾きの肉です。
……あ、悪化した……なんだか言い方が悪化しました。生乾きの肉……。
あれ?干し肉、塩と肉があれば作れますよね?そうすれば保存できるから……。干し肉とはいえ定期的に肉が食べられるのでは?
いつもありがとう。
サラミ→ドライソーセージ
カルパス→セミドライソーセージ
作中のおやつのカルパーンはカルパスですが分かりやすくサラミと言っています。
生乾きって、洗濯物じゃないんだから……臭いそうだからやめい!




