ばら売りはしてもらえますか?
うまいんだ棒というお菓子のすごいところは、安くて美味しいというのもありますが、種類が豊富というのもすごいところだと思うんです。ついついお菓子売り場に行くと、全種類制覇とかしちゃいたくなりますよね。
いえ、制覇は出来ないんですけど。気が付くと新しい種類が増えてるんです。
サクサクとうまいんだ棒明太子味を食べながら、魔石について考えます。
うまいんだ棒は10円。水は水道水。どこかで1リットル0.2円だと見たことがあります。10円だとすると10リットル出てくるんですよね。
パンは100円くらいでしょうか。この世界のパンの価値は分かりません。小指の爪サイズを仮にパン、100円だと考えると、今の私には100円の食べ物を出す魔法は使えないけれど、10円の魔法は使えると言うことになります。
……えーっと、20円とか30円とかかもしれない?100円よりは小さいってことは確かだけど、分かりませんよね。
試してみましょう。
ちょうど3本目の上手いんだ棒を食べ終わったので、米粒魔石を取り出します。
「ベビーハートラーメン」
食べきりサイズの小袋のベビーハートラーメンを頭に浮かべて呪文を唱えました。
……米粒魔石は反応しません。
「えーっと、いくらだったでしょうか。50円?30円?……もう少し安い物じゃないと駄目みたいです。……20円のもの……」
駄菓子屋さんの記憶をたどります。
駄菓子屋さんに最後に行ったのはいつだったでしょうか。今は値段も種類も変わっているかもしれませんね。私が買った当時の値段で大丈夫なんでしょうか?よくわかりませんが……分からないことだらけなので試してみるしかないんですよね。
あ、思い出しました。
「キャベツ五郎」
たしか20円じゃなかったですか?
……赤い米粒魔石が手の平に載っています。
20円は無理みたいです。
4月18日 晴れ
渡された毛布にくるまって柔らかい草の上で寝たら意外と快適でした。満点の星を眺めながら眠りにつくなんて日本ではかなり贅沢なことなのではないでしょうか。
2日くらい森の中を歩くと町につくと言われていましたが、まだつきません。
兵士さんの歩くスピード換算だったので、私の足はそれよりも短いからつかないのでしょうか。
それとも、米粒魔石拾いをしながらゆっくり歩いているせいでしょうか。
でも、米粒魔石拾いは死活問題なんです。仕方がありません。だって、食料なのです。大切な食糧なのです。
「ううう、でも、違うものが食べたいです」
いくらうまいんだ棒は色々な味の種類があるといっても、うまいんだ棒ばかりだと流石に辛いです。
10円……何があとは買えたでしょうか。
そういえば、兵士さんが木の実なら小さな魔石でも出せると言っていました!
「ブルーベリー」
……出ません。
食べたことあるのに。1つぶ10円もしないですよね?たくさん粒がはいって200円とかですし。
って、まさか、ばら売りはしてないんですか?
……!!
まぁ、そうかもしれません。ばら売りしているのなら、ベビーハートラーメンだって、キャベツ五郎だって、10円分だけ出てくることもあったはずです。




