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【受賞】10円魔力の駄菓子ごはん~錬金術じゃなくてただの料理です~  作者: 富士とまと


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★★塩

グレイル視点です


 だから、俺は罪滅ぼしに生きていく力……本物を食べさせてやることくらいしかできないが……。塩が出せるようになれば、お金を手に入れることもできるようになるだろう。

「あの、グレイルさん、この白い粉……は、なんでしょう?」

「……そうか……知らないか……」

 リツを首を傾げた。

 ……そうだよな。貧しい生活をしていれば見たこともないか。いや、もしかしたら塩を使った何かを口にしたことはあるかもしれないが、塩粒の形で見たことはないかもしれないな。

「なめてみろ」

 味を知っていれば、舐めれば分かるはずだ。

「!!」

 リツがとんでもなく面白い顔になった。

 くくくっ。そんな顔もかわいいが、いや、笑っては失礼だな。そうだよな。塩だけ舐めればしょっぱさにそういう顔になるよな。

「それはな、塩というんだ」

 名前は分かるかな。

 リツは変な顔をしたまま涙目になってこちらを見ている。

 よほどしょっぱかったようだ。なんかちょっと恨めし気な目を向けられる。

 悪かった……よ。先に説明すればよかったかな。だが塩を知らなければ説明のしようもないんだし……。

 そんな恨めしそうな顔をしないでくれ。

 意地悪をしたかったわけじゃないんだ。まさか、意地悪する悪いやつとか敵だとか……今ので嫌われたりなんかしてないよな?

 焦って、慌てて言葉を口にする。

「本物の塩だ」

 これで、喜んでもらえる……と、思ったら、リツは首を傾げた。

 あれ?

 本物の塩を食べたんだ。今度から塩を出すことができるようになるんだぞ?嬉しくないのか?

 ……ちょっと聡い者なら、すぐにその塩でお金もうけもできると分かるはずなんだが……。

「あの、グレイルさん、どうして、私に本物の塩を?」

 どうして?

 何故そんなことを聞く?

 ああ、もしかしたら、故郷では人に親切にされることがないから、何か裏があると思われたのか?

 いや、いや違うぞ。俺はそんな悪いやつとは違う。

 いや、だが、悪いやつ……陛下側の人間だと言われれば否定もできない……。

 悔しさにこぶしを握り締める。

 ……何も行動をとらなかったのは確かだ。悪いと知りつつ傍観するだけの者は善か悪か……。

「試しに塩を出してみろ。出せるようになったはずだ」

 パン魔石を一つリツの手の平に乗せる。

 後悔はあとですればいい。そして、反省も。これから何をするべきかも……あとで考えればいい。

「あの、グレイルさん、このサイズでどれくらいの塩が出ますか?」

「ん?そうだなぁ、これくらいか?」

 リツに尋ねられ、親指と人差し指を輪にして見せた。

 ちょっと水に溶かして飲むとか、パンにふりかけて食べるとかに使うには大量だろう。だが、商売として塩を売ろうと思えば少ない。

 いや、それだけ出ればパン魔石10個にはなるか。……足元を見られたとしても、パン魔石5個にはなるだろう。

 パン魔石1個から5~10個になるんだ。

「そんなに塩使いませんけれど……」

 リツが首をかしげる。

 いやいや、だから商売に……。あれ?

 もしかしてひどい扱いを受けていたけれどいいところの子供だとすると、物を売り買いするということを知らないのか?

 自分で買い物をした経験もないとか?商売について考える機会がなかった?

 その可能性はある。

 しかし、今の言葉からすれば、塩のことは知っているようだ。そんなに使わないということは使ったことがある。使い方も知っているということでいいんだよな?


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― 新着の感想 ―
[一言] 圧倒的に言葉によるコミニュケーション不足で面白い事になってますね(笑) お互いの常識の範囲内での想像で行動しているからこそなのですが、ここからどうやってすり合わせしていくのかが楽しみです! …
[一言] 古代は塩は通貨、サラリーマンの給与サラリーの語源?主人公にとって塩は調味料、料理に使っても売るものじゃない。
[良い点] 食いしん坊作家! [一言] 塩化ナトリウムに塩化マグネシウムに塩化カルシウムに塩化マグネシウムの配合具合で風味が。 そして、これら以外の不純物で更に風味が。 ……流石に第一族でも水素だと塩…
感想一覧
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