カルメラ焼きを思い出しました
「あの、グレイルさん、どうして、私に本物の塩を?」
塩は食べたことがありますよ。ただ、バラバラで出すことができないので、一袋……98円でしょうかね。私が買ったことのある一番安い塩って……。それとも、もっと高かったでしょうか……。
「試しに塩を出してみろ。出せるようになったはずだ」
と、グレイルさんがパンを出すのと同じサイズの魔石を私の手の平に乗せました。
いや、無理ですって。
「あの、グレイルさん、このサイズでどれくらいの塩が出ますか?」
「ん?そうだなぁ、これくらいか?」
グレイルさんが親指と人差し指を輪にしました。うーん、大匙1?球体で表現しているなら大匙3くらい?
日本で粗塩なら500gとかかなりたくさん出るのですが……この世界では塩は日本より貴重ということでしょうか。海が遠い地域なのですかね?
「そんなに塩使いませんけれど……」
今出しても、塩の使いみちはないので。米粒魔石を一つ取り出して手の平に乗せました。
「塩」
出るか少々不安だったものの、ちょうど一つまみくらいの塩が出ました!
「出ました!出ました、塩が、出ました!」
思わず嬉しくなって大騒ぎしてしまいました。満面の笑みでグレイルさんの顔を見ます。
「あ……うん、そうだな。確かに、塩だ」
グレイルさんが少々戸惑った顔をしました。
塩があれば、そうとう料理の幅が広がると思います。いえ、料理……になるかはわかりませんが。例えばトマトがあれば、塩をかければとても美味しくいただけます。塩トマト。
白飯だって、塩さえあれば立派な握り飯が作れます。ああ、お米が食べたいです。
「あー、せっかくだ。使ってみるか」
グレイルさんが、親指の爪サイズの魔石を取り出し、火にかけっぱなしになていたフライパンのふたに置きました。
魔石焼き?斬新です。もしかしてカルメラ見たいに膨らんだりするんでしょうか?だったら楽しそうです。
昔屋台で見たカルメラ……カルメラ焼きを思い出しました。
「肉」
グレイルさんが呪文を唱えると、フライパンのふたに置いた魔石が肉に変わりました。
……ああ、魔石焼きなんてなかったんですね……。じゅぅーっと音をたてて、焼いた肉がさらに焼かれています。
焼きすぎたら固くなりませんかね?焼いた肉をさらに焼く必要はあるんでしょうか?温め直すという感じなのでしょうか?
そういえば、前は手のひらに焼いた肉を出していましたし、熱いまま出てきたら確かに困りますね。やけどしちゃいそうです。
なんてぼんやりと考えていたら、グレイルさんが私の手の平の塩をつまんで肉にふりかけた。
「肉に塩を振るとうまいぞ」
……えーっと、何の肉なんでしょうか?見た感じ牛に近いですよね?焼き鳥は塩だけでも美味しいイメージはありますが、牛肉はブラックペッパーとか他に何か欲しい気がします。
ああでも、高い牛肉は塩だけでもとても美味しいと聞いたこともあります……。
知ってるかなーカルメラ焼き。
昔の屋台とかで売ってたやつ。私は屋台では見たことなかったんだけど、理科の実験で小学校のころ先生が作って見せてくれたの。
なんか一気にぷっくぅーって膨らんで不思議だった。




