魔石拾い始めました
「じゃあな」
兵士さんが背中を向けて馬車に乗り込みました。
「あの、これ!お礼です。食べてください!」
何かお礼をしたくて、とっさにポケットの中に入っていたキャラメルを1つ取り出し兵士さんに手渡しました。
「あ?ああ、ありがとう」
銀色の包み紙にくるまれた小さなキャラメルを大きな手に載せ、ちょっと首を傾げた後に兵士さんはお礼を言って手を振りました。
馬車はゆっくりと動き出し、そして次第にスピードを上げて遠ざかっていきます。
あれ?もしかして銀色の紙なんてこの世界にはないから、金属に包んだ何かだと思われてしまったのでしょうか。だとしたら首を傾げたのも頷けます。ちゃんと説明した方がよかったかもしれません……。と、考えている間に、馬車はどんどん遠ざかっていきました。
「あ、兵士さんに尋ねるの忘れちゃいました……」
魔石は、食べたことのある物を出すことができる……って話ですけど、生肉……。
「兵士さん、生肉を食べたことがあるのかな?食べちゃだめって言っていたのに……」
4月17日 晴れ
「うー……お腹が空きました……」
昨日、兵士さんと別れた後に、すぐに貰った魔石を1つ取り出して手の平に載せたのです。
パンと何度言ってもパンは出てきませんでした……。
仕方が無いので、空腹を抱えて言われた方向……南へ向かって歩いていたのですが。お腹が空きました。もうまるっと2日食べていません。いえ、ポケットにあったキャラメルを3個食べました。それだけです。
「あ、魔石みぃーっけ」
舗装されてない森の道。下を向いて歩いて行くと、小さな赤い石が時々落ちています。
貰った魔石は小指の爪くらいの大きさですが、落ちているのはそれよりももっと小さな米粒サイズの魔石です。
小さくて見落としそうですが、薄茶色い地面に真っ赤な色はとても目立つので見つけることができます。もう、20個ほど拾いました。
一人で道を歩いていると退屈しそうなのですが、宝探しをしているみたいでちょっと楽しいです。
「またありました!」
米粒サイズの魔石を指先でつまんで拾います。
……そういえば、貰った小指の先の大きさの魔石は兵士さんはパンにして見せてくれました。
肉を見せてくれたときは親指の爪くらいの大きさの魔石でした。
お城で「今まで食べた中で一番高い食べ物」と言われたときには目の前にあった魔石は拳くらいの大きさでした。
大きさによって、出せる食べ物の値段というか価値が違うということですよね?
……ん?
ちょっと待ってください。
お城で私、何か頭にかぶせられましたよね?あれは何という名前でしたっけ?
確か……魔力増強装置……?
魔力?増強?
あれ?もしかして……?拳くらいの大きな魔石で高い食べ物を出すには私には魔力が足りないから魔力増強装置をつけられたのだとすると……。
革袋から小指の爪サイズの魔石を取り出して右手に載せる。左手には今拾った米粒サイズの魔石。
「パン」
と、口にしても相変わらず全くパンは出てきません。
次に、ちょっとドキドキしながら新しい単語を口にします。
「うまいんだ棒」
ええ。誰もが知る、10円で買うことができるとっても美味しいちくわみたいな形の駄菓子です。
ご覧いただきありがとうございます(*'ω'*)
まだ序盤も序盤で主要キャラも何も出てきませんが、感想レビューブクマなどしていただけると嬉しいです。
おすすめ駄菓子のお話待ってます!
あ、調べて知ったんだけど、ヨーグルトの小さいやつみいな駄菓子、あれってパンに塗って食べると美味しいそうですよ~