おじ様叱られる。
「おう、こっちこそ珍しいもんありがとうな!気をつけろよ!」
背中からおじ様の声が聞こえます。振り返って手をふりました。
「あー、ギルド長、またこんなところで仕事をさぼって。はぁ?新人育成の一環?そんなのは職員に任せておけばいいんです!さぁ、戻りますよ!」
お店の中から甲高い女性の声が聞こえてきました。何を言っているのかよく聞き取れませんが、何かトラブルでしょうか?
振り返ってみると、すごい美人さんがおじ様に何か詰め寄っています。……うーん、女性問題勃発でしょうか?イケオジも大変そうです。
ああ、でも……心の中がポカポカしています。
女性関係は別にしても、おじ様は店にいる他の子供たちにも同じように親切にしているのでしょう。
武器を買うお金がなくても入ってこいなんて……素敵でした。
お金がたまったら今度はちゃんとした短剣かナイフを買いに行きたいです。
……でも、お金が貯まるなんてことはあるんでしょうか?
とりあえず、物価はなんとなくわかりました。
パンを100円だと仮定してですが。
ぎゅーくるるる。
「はうっ」
お腹が空きました。
そうです、ちゃんとしたものを食べていないのです。
せっかくパンが手に入ったのです。まぁ、ナンみたいな感じなのですが、パンです。
パンっぽいパンではないので、ナンであれば温めて食べたいです。火を……。
町の中で火を起こせそうな場所はなさそうです。というか、燃やすものもありそうにないです。
また森にもどって木を拾って火を起こせばいいでしょうか。
と、いうわけで、町から外に出ることにします。
……えーっと、どっちに進めばよかったですかね?教会があっちで、大通りをこう進んで……。
はい。迷子です。
そう言えば私、ショッピングモールとかに行くと、店内配置図が必要な人間でした。もちろん、行きなれたところは平気ですが、あまり行かないところだと、来た道が分からなくなります。
「あの、すいません、町の外に出たいのですが、道が分からなくて……」
素直に人に尋ねることにしました。
「どこに行きたいの?畑?森?」
畑?畑があるんですね。そりゃそうですが、畑……ってことは、何か食べ物があるってことでは?
魔石と物々交換してもらえないでしょうか……。
ぎゅーくるるぅん。
ちょっと畑を見て、魔石との交換をお願いしてみようと思います。
兵士さんからもらった魔石が、パン1個分、およそ100円というのならば野菜の1つくらいは交換してもらえるのではないでしょうか。玉葱でも人参でもピーマンでもなんでもいいです。上手くいけばダッチオーブンみたいな蓋つきフライパンで蒸し野菜とかも作れるかもしれません。だめでもフライパンですし野菜炒めが作れます。ふへへへ。
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