はじめてのお買い物
それにしても、銀貨1枚はおよそ1000円。銀貨100枚、つまり10万円が金貨1枚で……私のズボンと同じようなものは金貨3枚……30万っ!高い~~~~!です!
え、それより……ハーブ鶏……金貨10枚とか言ってませんでしたか?ひゃ、ひゃ
「百万円……」
めまいが……。怖い世界です。
怖い世界です。
こ……怖い……。銀貨10枚で売れば100人でという話もしていましたが、銀貨10枚って1万円ですよね……。1万円、そりゃぁ、日本でもなくはない料理の値段ではありますが……。ハーブチキンって……コンビニで200円も出せばパックになったやつ売ってましたし……いえ、もちろんレストランで食べればもっと高いんですが……。
わ、私……この世界でちゃんとした食事できるんでしょうか?
魔石をパンにすら変えられず、お金も稼げなかったら……。
7年はうまいんだ棒生活?
「ん?なんだ、百万円って?」
「あ、すいません、また声に出てしまっていましたでしょうか……あの……」
兵士さんにもらった魔石はまだあります。魔石の状態で持っていてもパンにできることが少ないので10個取り出しておじさんに差し出します。
「この短剣ください。魔石10個です」
「おう、まいどあり。別の武器を買うときには、どんなに壊れててもこいつ持ってこいよ。下取りしてやる。銀貨1枚でな」
「え?銀貨1枚で売っていた物をさらに使い込んだ後にも銀貨1枚で下取りするんですか?」
それって、実質無料で貸してくれると言うのでは……?
もうけがないどころか損になるような……?
「ははは、気が付いたか?そんな顔しなくてもしっかり儲かってるから大丈夫さ」
ガシガシとやや乱暴に頭をなでられました。
ううう、なんかすごくいい人です。おじさん。
金がないやつは客じゃないなんて追い払ったりせずに、金ができたら客になってくれりゃいいって……ちゃんと相手をしてくれるなんて……。
「あの……っ」
ポケットから米粒魔石を取り出します。
「うまいんだ棒」
サラダ味のうまいんだ棒が出てきました。
「ほんの気持ちです。本当に気持ちにしかなりませんが……。袋を破って中のこれを食べてください」
お兄さんが包み紙を見て首をかしげていたのを思い出し、食べ方を説明するために、袋をやぶいて中身を見せた上に、食べて見せました。さすがに泥団子だとか言われるようなことはないと思うのですが、念のため。
「始めて見る食べ物だな」
おじ様の言葉にほっとする。ちゃんと食べ物認定されたみたいです。
「うまいんだ棒×3」
見本で食べたあとに3つうまいんだ棒に変えておじ様に手渡しました。
ううう、イケオジがうまいんだ棒を食べる姿……ちょっと想像してしまいました。ありなのかなしなのか微妙なラインです。
チィロールチョコを弾くように口の中に放り込んで食べるのはカッコいい気がします。でも、泥団子って言われたらめんどくさいので……。
「じゃぁ、ありがとうございました!」
ぺこりとお辞儀をして店を後にします。
まとめ。
銅貨1枚100円(小指の爪魔石1個100円、親指の爪魔石1個500円)
銀貨1枚1000円(銅貨10枚)
金貨1枚10万円(銀貨100枚)
米粒魔石10円