武器やに来ました
「あ、ありがとうございました」
急いで店の前から逃げ出します。
次に剣の絵が描いてあるお店を見つけました。
「ふ、ふわぁ、武器屋だ……」
先ほどと同じように鉄格子の外から店の中を見ることができます。中の方が薄暗いので、目が慣れるまでろくに中の様子は分からないです。
店の中には立派な体格の人たちがいるかと思ったら、そういう人たちばかりではなく、中肉中背という言葉で表現できそうな人たちの姿もあります。
お店の広さはかなり広いようです。
「おう、坊主、そんなとこにいないで中に入ったらどうだ?」
また声をかけられてしまいました。
というか、えーっと。
さっきは坊ちゃんといわれ、今は坊主と言われました。そういえばお兄さんには弟と言われた気がします……。
あれ?私、もしかして……。
大人にみられていないだけでなく、女と認識されていない?
……な、なんてことでしょう!おとなですよ、ぷんすか!そして、おとなのおんなですよ!です……よ……。
いえ、でもね、薄々そうかもしれないとは思っていたんですよ。
町に入って目に入ってきた女性たちは長いスカートをはいて髪の毛も背中までの長髪ばかりでしたから。ズボンに肩に着くかつかないかのおかっぱ頭じゃ女とは認識できないのかもしれないです。男だと思い込んでいれば、まぁ、うん。声も高いし、身長も低いし、子供だと思われたのは男の子ってことで間違われているんですね……ああああ。ううううう。複雑な心境としか言いようがないです。
中学生男子くらいに見られてるってことですよね?
いや、ない、ないです。ないですぅーっ!精神的にキツイです。
でも女に見られない方が安全なんですよね、きっと。複雑な心境ですけれど、ラッキーだったと思った方がいいのでしょうか……。
「あ、あの、お金を持っていなくて……」
「ははは、気にするな。金のないやつはほかにもいっぱいいるぞ。これから魔物を倒して魔石を売って金をためようってやつが来るところだしな!」
入り口のドアが開いて、大きな体の40歳くらいのおじさんが中に招き入れてくれました。いえ、おじさんなんて失礼な言い方かもしれません。イケオジです。こげ茶の髪をオールバックにして、無精ひげではなくちゃんと整えられた顎髭を生やしています。ダンディなイケオジです。筋肉ももりもりついてるのに、汗臭く感じさせないちょっぴり危険そうな感じのおじ様です。
「魔物を倒してお金を貯める……?」
店の中に入って薄暗さに目がすっかり慣れると、先ほどよりもよく店内の様子がわかります。中肉中背に見えてた人たちは私よりもずっと若い男の子たちでした。……いえ、私と同じくらいに見えるであろう少年たちです。……なるほど。
確かに、大人の視線で見れば子供ですね。私も……体型的に……。
「そうだ。はじめは木の棒やなんか、武器とも呼べないようなもので魔物を倒して魔石をためていくもんさ。そうして次第に経年を積み強くなって、武器を手にする。いきなり武器だけ手にしても経験不足じゃ強い魔物と対峙するのは危険だからな。お金をためていつかこれを買うんだと目標にするために来てるやつも多いぞ」
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