☆☆毒に強い子供
神官皇視点です
だからこそ、他の教会で育てられている作物を取り寄せていろいろと組み合わせ新しい料理を作りだしたりしている。北の方では麦が育ちにくくトウモロコシという植物が祝福に使われている。それを取り寄せて、パンに練りこんで焼いた。
それが瞬く間に王都で話題になった。
南の教会ではパイナップルという黄色い植物が育てられていた。そのまま食べるには酸っぱいし、口が痛くなるが肉と一緒にしておくと肉がとても柔らかくなる。南の教会では当たり前に食べていたようだが、ここでは衝撃的だった。それが8年前だ。
こうして数年で新しい料理を王都に伝えたため……。気がついたら神官皇になっていた。
「神官皇様困りますよ。勝手に教会から出ていかれては……」
神官がため息をついて私の顔を見る。
ため息をつきたいのはこちらの方である。
もっと新しい料理を作りたいのに。
もっと新しい食べ物と出会いたいのに。
神官皇になってからというもの、著しく自由がなくなってしまった。
神官のなかで一番上の立場だというのに。
「神官皇様、面白いのって、この手に持ってるもの?見せて、見たい、見たい!」
ミックだけが、私の行動をとがめもせずに一緒に楽しんでくれる。
「ミック!神官皇様はお忙しい身。お前の相手をしてはいられないのだ。さっさと教会に神官皇様が見つかったと伝えてこい!」
はぁとため息が出る。
「ミックには毒見をしてもらいたいものがあります。君が教会に伝えてきなさい。私の部屋にお茶の用意を。それから私の仕事の大半は副神官皇に割り振っていたはずです。私にいったい何をさせたいのですか?」
何もわかっていないとでも思っているのか。
神官たちは、副神官皇が力を持つことを嫌っている者も多い。だから神官皇である私に顔を出してもらい、副神官皇が大きな顔をしないようにしたいだけなのだ。……ばかばかしい。パンを作って肉を焼いて……そんな教会で権力を持って楽しいのだろうか?
私はもっと美味しい物をいろいろ食べて楽しみたい。お金がいくらあろうとも、高い宝石を身に着けたとてそれが何になるのか。
「毒見?じゃぁ、何か食べ物を見つけたんだね!すごいや神官皇様!」
「……すまないねミック。毒見など損な役割をしてもらって……」
ゆっくりと歩いて教会に戻り、執務室へと足を運ぶ。
執務室には大きな私の机が奥に鎮座している。
そして、その前には4つの机。
副神官皇と、神官皇補佐3人の机だ。その手前には休憩用の丸テーブルとソファが設置してある。簡単な来客の対応もここでする。
ソファに腰掛けると、ミックも向かい側に腰掛けた。
神官見習いでしかない少年を神官皇の部屋に連れてくると、皆が顔をしかめる。
……本当にばかばかしい。私が誰と親しくしようと勝手ではないだろうか。
「平気平気!知ってるよね!神官皇様も。おいら、毒には強いんだっ!」
そうなのだ。このミックは、幼少時に親が亡くなり生きるために何でも口にしてきたため、何度も食べ物の毒にあたり死にそうな目にあってきた。そのせいなのか毒には強くなったようなのだ。それに、毒じゃなかった食べ物を知っている希少な人材だ。
「ほら、これを貰ったのだ……本人が目の前で食べていたから毒ではないと思うのだけどね……」
テーブルの上に、少年からもらった小さな包みを置く。
白と黒の模様が描かれた紙にくるまれている。
「うわー、なんか綺麗な紙に包まれてるんですね。高級品ですか?」
「いや……スライム魔石で出していた」
ミックが驚いた顔をしている。
ご覧いただきありがとうございます。




