批判をしているつもりはなくても批判認定
神官さん?が私を頭の先から足の先までじっくりと見ました。
「なるほど。噂を聞いて神官皇様の作り出した本物の料理を食べに来たのか?今日の料理は柔らかい鳥の肉を特別な香りをつけた塩で焼いたものだ」
ハーブ鶏でしょうか。美味しそうです。家で作る時はマジック塩とかクレイジー塩とか色々なハーブを混ぜた商品を鶏のもも肉にすりこんでアルミホイルで包んで魚焼きグリルで蒸し焼きにしていました。きっと、それよりも本格的なレストランで食べるような美味しいお肉なんでしょう。
「金貨10枚だ」
金貨10枚?
「あ、えっと……」
金貨10枚ってどれくらいの価値なんでしょう……。
なんだかとっても高そうですよ。金貨なんて。だいたいファンタジー世界だと金貨1枚安くても1万、10万とか100万の設定の時もありますよね。ちなみに日本だと10万円金貨とか作られたりしてたからだいたい金貨1枚10万円と考えると……。
金貨10枚って、100万円……。100万円のハーブ鶏……?
「高っ」
懐石料理で10万円のコースなら、まだ想像が出来なくもないのですが、高いお酒とかそういうものでなく鶏料理1つが100万は想像を絶します。
「高いだと?」
神官さんの目つきが鋭くなり、私を睨みつけました。
「教会を批判するつもりか?」
「いえ、その、違うんです、か、買物とかもしたことが無くて……物の値段が分からず……」
「なるほど、世間知らずの子供か。教えてやろう。自分の町にもどって、食べた料理を銀貨10枚で100人に売ればすぐに金貨10枚は帰ってくる。すぐ元がとれて、あとは儲けるばかりだ」
銀貨10枚で100人分が金貨10枚ということは、銀貨100枚で金貨1枚なのですね……。元が取れる?材料費は?
……といっても、魔石だけあればいいのですから、肉とか必要ありませんし、光熱費も人件費も必要ないですね……。それは確かに便利ですけれど。
「この料理を出すための魔石はどれくらいの大きさのものが必要なのですか?その魔石はいくらになりますか?」
材料費として魔石は必要になるでしょう。大きければきっと高いと思うんです。そして、高い料理には大きな魔石が必要です。しかも……。
「魔力が足りずに魔石を料理にできないとかはありませんか?」
私の場合は米粒魔石しか料理にできません。他の人は、金貨10枚出して食べた料理をちゃんと出せるだけの魔力を持っているのでしょうか?
素朴な疑問を口にすると、神官さんが顔を赤らめて怒鳴りました。
「やはり教会を批判する異教徒か!すぐに立ち去れ!お前のような者が、神官皇様がいらっしゃる教会に近づかせるわけにはいかぬっ!」
ぶんぶんと大きく手を振り回して、追いやる仕草をする神官さんに、慌てて距離を取ります。
批判?何も批判なんてしていません……。
振り返りながら前も見ずに受付から小走りで去ります。
どしんっ。
「はにゃぁっ」
前を見ていなかったので、人にぶつかってしまいました。車がない世界だからって油断をしちゃいけません。
いつもご覧いただきありがとうございます。
もう、ずっと不安で不安で。面白いんだろうか、大丈夫なんだろうかって……。
感想いただくとちょっと気持ちが上向きます。
ところで、主人公の名前を変更しようと思っております。
漫画家設定だったので「リナ」にしたのですが(ええ、分かる人にはこそっと分かるかと思ってマ抜けなリナですよ、マぬけなリナ……マを足すと、漫画家……げほんごほん)
誰も突っ込んでくれないので(分かりにくいわ!)リツって名前に変えようと思っております。
リツ……律子とかのリツ。なんかの漫画に男の子で律って主人公のやつあったけど、何の漫画だったか思い出せない……なんだろう、こう、クールな感じのキャラだった気がするんですけど。