黄色いいたずら
「キュイちゃん、ミック君も、ちょっと街に行ってる間、魔石取りとかお願いしていい?スライム魔石でいいから、危ない魔物には近づいちゃだめだよ?10個集めたら、一つ食べていいからね?」
麦チョコを食べ過ぎないように、ルールを決めて渡す。
「おう、分かった!おいらたち頑張って魔石集めるよ!こんな小さな魔石でも、リツ兄ちゃんうまいもん出せるもんな!」
麦チョコを受け取ったミック君がニカッと笑う。
「頑張ろうぜ、キュイ!」
「キュッ」
任せてというようにキュイちゃんがりりしい顔をした。くっ。かわいいなぁ。もう!
「じゃあ、ちょっと行ってくるね!」
鍋にはまだオニオングラタンスープがあるし、瓶にはバターが残っている。
うん、牛乳を出してもらうお礼になるかな?
いや、バターなんてすでにワーシュさんの国では普通に食べてるかもしれない。というか、ワーシュさんはバターを出せるかもしれないよね……本物を食べてれば。
オニオングラタンスープも、似たようなもの食べたことあれば全然お礼にはならない。うーん。
菜の花のバター炒め!これなら食べたことなさそう?花を食べる文化……ないよね?とりあえず現地で作ればいいや。まだ菜の花、グレイルさんからもらったやつ残ってるから。
荷物をひっつかんで急いで宿に戻る。
お昼時間を少し過ぎ。
宿の1階の食堂でちょうどワーシュさんが昼食を食べていた。
「ワーシュさん」
「おお、リツ君ちょうどよかった」
ワーシュさんが手招きをしながら、サラの上に魔石を置いた。
「ちょうどいい?」
「パイナップル、ほらどうじゃ、本物を神殿で食べてきたんじゃ。これで柔らかい肉が国に帰っても食べられそうじゃ」
にこにこしてワーシュさんが魔石で出したパイナップルを私に差し出しました。
「しかもな、どうやらワシが食べたやつはこの宿で出されるやつよりも甘いやつだったみたいじゃ。食べてみぃ」
声を潜めてワーシュさんが話をしながら、パイナップルをナイフで切り分けてくれた。
「ありがとうございます。いただきます。……あ!本当に甘い」
「そうじゃろそうじゃろ」
ワーシュさんがいたずらが成功した子供みたいにクシャリと嬉しそうに笑った。
「お礼に」
鞄に突っ込んでおいた菜の花を取り出す。
「むむ?花を贈られるなど、何年ぶりのことじゃ」
ワーシュさんが私が差し出した菜の花を見て顔をほころばせる。
しまった。
「ち、違いますごめんなさい。花ですけど、私がお礼にしたいのは、えーっと……食べ物です」
「食べ物じゃと?」
ワーシュさんが黄色い花を咲かせている菜の花を凝視する。
「おかみさん、すいません調理場を少しお借りしてもいいですか?」
宿のおかみさんに声をかけると、弾んだ声で返事が返ってきた。
「ああ、もう昼の忙しい時間帯は終わってるからね。もちろんさ」
それから、ちょっとだけ罰の悪そうな顔をして尋ねてきました。
「作るのを見てもいいかい?」
ご無沙汰しております。すっかり春ですねー。
というわけで、ちょっと前になりますが菜の花食べました。
執筆にあたり「菜の花は苦い」というのは知ってたんですよ。「苦くないように食べる方法」も調べた……のにも関わらず。どうやって調理したら苦味が抑えられるかってのを、すっかり忘れていて、ざっくり炒めてすりごまと醤油で味付けというシンプルな調理方法で食べたんです。
「に、に、に、にっがぁーーーーーーっい!」
驚くほど苦かった。
今までにも何度か菜の花は食べてるので、その時にこれほど苦い思いしたことなかったから……。
今回はよほど、苦いのを買ってしまい、調理方法も失敗した……のだと思います。(´;ω;`)ウゥゥ
というわけで、美味しい菜の花料理をご存じの方おすすめがあれば教えてください。とはいえ、もう時期も終わり、来年までお預けかしらね。
感想、レビュー、ブクマ、評価ありがとうございます(*´ω`*)
 




