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甘ーーーい!

「バターを作った残りの汁……バターミルクに使います」

 鍋……が足りない。

 仕方がないので、桶に水を入れて、そこにたき火の周りで熱くなった石を放り込みます。

 じゅわーっと、すごい音を立ててあっという間にお湯が出来上がり。底にバターミルクの入った瓶を入れます。

 湯せんでバターミルクを温めます。だいたい60度前後がいいんでしたっけ。

 引き上げてレモン汁を投入。ぐるぐると混ぜて放置。

 ミックくんとキュイちゃんが瓶の中を眺めています。

 おっと、オニオンスープが沸騰して噴きこぼれそうです。火の調整難しいですっ!

「すげー、リツ兄ちゃん、なんで?液体なのに、さっきはバターが出てきたけど、またなんか出てきた」

 お、成功したみたいですね。

 布でこして、液体から塊を取り出し、軽く絞ります。

「すげぇ、これは何?」

 さっきバターを作ったときに取り出したのは脂肪分。今回はタンパク質だっけか。

「カッテージチーズだよ」

「きゅきゅーきゅぅ?」

 カッテージチーズはチーズと豆腐の間のようなチーズだ。あっさりとしてチーズ臭も少ない。チーズ好きには物足りないと言われるけれど、他の食材の邪魔にならない控えめなさっぱりあっさりしたところを好む人もいるんですよね。

 残った汁、ホエーにはレモン汁とたたき割って細かくした金平糖を入れて、再び湯せんに。入れておきます。

 なんだかんだと作業をしていたら、ちょうどお昼ご飯の時間になりました。……ちょうどと言っても時計があるわけではないのですけれど。

「じゃあ、ご飯にしましょうか。まずは、スープをどうぞ」

 器が十分な数ないので、スープはコップに注いでます。

 オニオンスープです。具は入ってないスープだけを少しだけ。

「ありがとう、これが玉ねぎで作ったやつだよな。玉ねぎはちょっと辛くて涙が出る食べ物だけど……これは涙が出ないんだな」

 ミックくんが生の玉ねぎを思い出してスープを覗き込みます。そうですね、生の玉ねぎをかじったんでしたね。生からは想像もできない味でしょう。

 一口飲みます。

「あー、玉ねぎの甘味がすごい。おやつのカルパースから染み出た味がコンソメだとかチキンスープだとかの代わりになったのかな。玉ねぎだけではない旨みも感じる。こんなに美味しくできるとは正直思わなかった……はぁー、大成功」

 思わず、私って天才かもと、自画自賛しちゃいそうになるくらいのおいしさです。

「甘い?玉ねぎが?」

 ミック君が首をかしげました。

「あ、チョコレートみたいな甘さじゃないからね?」

 勘違いするといけないので慌てて付け加えましたが、それより前にミック君とキュイちゃんはスープを口にしていました。

 ……チョコレートの甘さを想像して飲むと甘くないまずいと言われないでしょうか……。


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― 新着の感想 ―
[一言] 前知識なしのキュイちゃんはともかくミック君の驚きや如何に…?
[一言] お菓子とか食べることがなさそうなので滋味深い甘さにびっくりそう! そしてカルパースのちょっとジャンクなうま味がまた…!
[一言] 某宗教まがい商法のセリフ「やってみたことはあるんですか!?」が思い浮かんだ。 (あの会社の騙しテクニックは面白い子供だましです(笑)) 「チョコレート」のチョコレート成分(カカオ成分)が急…
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