レモン
「できた!」
「キュイっ!」
ちょうどキュイちゃんが自慢げにバターができあがった瓶を両手で掲げて来ました。
「ありがとう、キュイちゃん、ミックくん」
バターを取り出して残った汁。
「これ、飲めるのか?捨てるのか?」
牛乳から脂肪分をバターで抜き取っただけだから当然飲めるけれど、あまり美味しくない……料理に使っちゃう?栄養はあるよね。いや、魔石で出したものって、栄養は魔石的なものだっけ?どちらにしても魔石的栄養にしても、牛乳的栄養にしても栄養があることには違いない。捨てるなんてもったいない。
「そうだ、ミック君、レモン出せないかな?」
「レモン?なんだそれ?」
地面に木で簡単な絵を描きます。
「こういうちょっと上下がとがったような形の木の実で、黄色くて、食べるとすごく酸っぱい実なんだけど……」
ミック君が私の話を聞いて顔をしかめました。
魔石を取り出すと、顔をゆがめたまま「あんときのやつ出てこい」と呪文を唱えます。
うん、相変わらず、名前を知らなくても食べた記憶、そのものを思い浮かべればいいようです。
ということは、メロンパンを出そうと思ったら、あの時食べたメロンパン、あのパンやのメロンパン、普通のメロンパンみたいな感じで出せるんですよね。便利ですよね。……まぁ、メロンパン一つ出すのにあと何年かかるかは分かりませんが……。うう、泣いちゃいそう。
ミック君の手の上の魔石がレモンに変わりました。
「ありがとう、ミックくん」
受け取ってにおいをかぐと、レモンのさわやかな香りが鼻をくすぐります。
「リツ兄ちゃん、嬉しそうな顔してるけど、それ、マジで食べられたもんじゃないぞ?おいらが食べたのが悪かったのか、酸っぱいにもほどがあるくらい酸っぱい。毒じゃないだけマシレベルの、とにかく食べ物とは思えないんだぞ?」
確かに、レモンを単体でそのまま食べろと言われても困りますよね。だけど、レモネードにしたり唐揚げにかけたり、料理に使えばとても美味しく食べられるというか、なくてなならない料理もたくさんあるんですよ。
うん、炭酸水がないからレモネードは難しいけれど……待てよ……。天然温泉で炭酸泉というものあって、飲めると聞いたことがあったような?見つけたら試してみましょう。作れそうなのは蜂蜜レモン……は蜂蜜が出せないので、スポーツドリンクっぽい物ですかね。
経口補水液……塩は出せます。砂糖の代わりに金平糖が出せます。水と混ぜてレモンで風味つければなかなかおいしそうです。
と、いろいろとレモンを使った料理や飲み物を想像していましたが、今回は飲み物には使いません。
そろそろ夏も終わる……ころですが。
経口補水液の話。
手作りは、水500mlに対して、砂糖20g、塩1.5gだそうです。
出先で、自動販売機がないけど飲めそうな水道水は手に入りそうな公園とかに出かけるなら、
スティックシュガーと回転寿司とかに置いてあるような小袋入りの塩を持って行くと、何本も持って行かなくれもいざというときに作って飲めますよ。
小袋入りの塩が購入なかなかできないという場合は、塩を小分けに袋に入れて持って行けばいいですよ。
さてそろそろお気付きの方もいるかと思いますが、ここんとこ更新ペースが1日おき




