★★グレイル視点 家だ、家!
グレイル視点
「ダン、家だ。家を用意してくれ!」
「は?」
ダンが首をかしげる。
「指輪の話から、家を用意する?はっ!まさか、指輪を贈った女性を閉じ込めておくための家?それはさすがに止めますよ!いくら嫌われたからって、家に閉じ込めようなんて!」
ダンが何か勘違いしている。
「閉じ込めたりしない!どうしてそう言う発想になるのだ!そもそも、嫌われたことを前提で話を進めるな!」
ダンが首を横に振った。
「グレイルは、愛人を住まわせるための家を用意しろなんて言わないだろ?生涯妻となる女性一人を大切にしたいとか夢見る乙女みたいなことを言っていたくらいですし」
「ゆっ、夢見る乙女とは何だ。普通のことだろう?」
ダンが首を横に振った。
「世継ぎが必用な立場の人間の普通は違いますよ?だいたい、妻になることができるような立場の女性を大切にできるんですか?」
言葉に詰まる。
今まで周りの者が進めてきた縁談。
そのどれも、好きになれそうにない女性だった。だが、重責を背負ってくれる女性だ。その働きに感謝し、大切にするつもりだ。
「好きだから大切にする、嫌いだからいくらがんばっていようとないがしろにするなど最低ではないか!俺は妻に嫌わられていようが、妻は大切にする!」
ダンがため息をついた。
「……生真面目過ぎる……まぁ、私は嫌いじゃないですけどね、そういうグレイルが」
「ダンが女だったら、結婚したのにな……」
真面目な顔をして言ったら、ダンが眉根を寄せた。
「私はグレイルが女でも結婚したくない」
「……失礼じゃないか?」
「職場でも家でも働かされ続けるなんてごめんです!ったく!さっさと仕事再開してくださいよっ」
ばさりと、机の上に書類の束が置かれる。
「……いや、すまん。……が、本来これは陛下の仕事、陛下に持って行ってもいいんだよ?」
ギロリとダンに睨まれた。
「冗談だ……仕事はするが……その前に」
再びギロリとダンに睨まれた。
「いや、大事なことなんだ。家を……家を探してほしい。その、人里離れた場所で、生活に必要な収入が得られる土地の着きの土地だ」
ダンが口をぱかっと開ける。
「収入が得られる土地?それはモンスターを飼育して魔石を得る畑が作れる土地ということですか?土地があっても管理する人間が居なければ素人には無理ですよ。それに人里離れているなら、買物一つ行くにも馬車が必要です。女性が1人で住むなんて出来るわけないじゃないですか。囲うつもりならそこそこの街に住まわせ使用人を何人かつけて、生活に十分足りる金銭を用意するというのが手っ取り早いのでは?」
宿のような危険な場所から一刻も早く遠ざけ……げふんげふんごふんごふん




