本当に、乙女心が弱くてすいません
もしかして……自分よりいい男イコール、髭が立派な男性ということなんですかね……。
髭が立派な男性を自分よりいい男だと紹介する……のは、そりゃぁ、いやですよね。グレイルさんくらいコンプレックス持っていると……きっと。禿てる男性が、「こいつはふさふさでいい男だろ」なんて紹介するのは屈辱かもしれませんし。
「グレイルさん、その、お気持ちだけで……結婚は考えていませんので……」
髭もじゃは好みではありませんし。そもそも彼氏が欲しいとか結婚したいとか思っていませんし……ノーセンキューです。
「そ、そう?そっか。リツは誰かと結婚とか考えてないのか、そっかそっか」
明らかにほっとして嬉しそうな顔になりました。グレイルさん……。分かりやすすぎますよ。そんなに髭もじゃ紹介したくなかったのですね。
「で、でも、その、責任は、取りたいし、えーっと、あ、そうだ。まずは謝罪……。えーっと、責任を取らずにギルド任せにしようとしてすまなかった……その……」
グレイルさんが大きなカゴを持っていたのですが、かぶせてあった布をよけて中から黄色いバラの花束を取り出しました。
うっわぁー、一抱えもあるバラなんて初めて生で見ました。
昔は少女漫画で背景にバラを描くのが定番みたいなところがありましたが、今は流行りませんよね……でも、でもですよ。
グレイルさんほどのイケメンになると、バラがなんと似合うことでしょう。手に持っているというのに、背景にバラが浮かんで見えます……ま、まぶしい!
「黄色い花……タンポポは見つけられなかったけれど……」
「え?この薔薇の花束、もしかして私に?」
謝罪に花束なんて……絵になりすぎる。
やることまでイケメン。
まるで少女漫画の世界。これが、漫画の主人公なら、ドキドキしてすごくうれしくて惚れちゃうところなんだろうけれど……。
おかしい。バラの花束貰うと、嬉しいんじゃないのかしら。私がおかしいのでしょうか。
狭い宿住まいです。こんな大きな薔薇の花束を貰っても、どこに飾ればいいのでしょう?正直、花瓶もありませんし……まさか桶に水いれてさしておくわけにもいきません。
だんだん枯れていく花びらの始末とか……ゴミは結局マーリーさんに処分してもらうことになるでしょうし……。
そもそも、これだけあると、あの狭い部屋、むせかえるような薔薇の匂い……を嗅ぎながら寝ることになるんですよね。
……はぁー。正直、どうすんだ……ですよ。ああ、もう、現実に乙女心が働かない私、最低です。もっと嬉しそうな顔をしないと。せっかくこんなに立派な薔薇の花束を持ってきてくれたんです。私のために……。
「あ……ありがとうございます……えーっと、そんな、気を遣わなくても……」
しかし、花束を貰って喜ぶ層というのは、どのあたりなのでしょう。貴族層なんて、花より宝石とかじゃないんですかね?公爵令嬢が婚約者に花を贈られて喜ぶみたいな……シーンも見ますけど、特別の意味がある花でもないかぎり、自分で部屋に花を飾るわけでもなく、持ち歩くのさえしなさそうなんですが……。
「……やはり、タンポポがよかったか?」
グレイルさんがしゅんっと肩を落としました。
うわー。顔に出てましたか?失礼な女です。すいません。うううう。
……正直に答えてくださいね。
3万円の薔薇の花束嬉しいですか?
同じ3万なら別のもの欲しいですか?
私、花束は嫌いじゃないんですよ?でも、3千円の花束と2万七千円の別のものの方が嬉しいタイプです。(*´▽`*)薔薇とかでなくていろんな花を組み合わせたやつのがキュートで可愛くて好き
さて。ストックがここでつきますので……。
ちょうどタイミングもあれですし、11日から16日まではお盆休みということで更新おやすみします。
17日以降の更新は……が、がんばりますとしか……汗
それでは引き続きよろしくお願いします!




