玉葱収穫
「え?そうなのか?味が違う?」
「うん。ほかにも、しいたけと干ししいたけとか。保存用に干すんだけど、干すと全然味が違ったものになって栄養成分も増えるし、とても美味しくなるんだよ。あの、昨日の肉も、もともと保存日数が長くなるように考えられた加工法で……」
いや、燻製は違うっけ?
「昨日の肉、すげーうまかったやつ!そっか。出してすぐ食べるよりも保存したほうが美味しくなるのがあるのか!玉ねぎもうまくなるんだな!」
ミック君が目を輝かせました。
「どれくらいで旨くなるんだ?夜にはうまくなってるか?それとも明日か?」
えーっと、軒先につるしてある玉ねぎの姿を見かけることがあったけれど、どれくらいって言われるとどれくらいでしょう?
1日2日のことではないと思うんですが……。うーん。
「すぐじゃないよ。じっくり時間をかけないとダメなんだ」
「えー、まじかぁ」
ミック君ががっかりしています。
「でも、新玉ねぎは新玉ねぎで美味しいからね。材料があまりそろってないから、どこまでできるか分からないけれど、オニオンスープを作ろうと思います」
「キュ、キュ」
キュイちゃんがミック君の手をつかんで引っ張っています。
ミック君がキュイちゃんの顔をみると、玉ねぎを指さしています。
「ああ、掘ってほしいのか。待ってろ」
「ふふふ、そうだね、まずは収穫だね。玉ねぎを全部引き抜いたら、お日様によく当たるように置いておきましょう」
葉っぱと根を切り落とさないとね。それからつるすのに紐が欲しいですね。ツルみたいな何か植物とかないでしょうか。麻縄みたいなのを作るのも一つの手ですかね?私にできるでしょうか?いっそ、少し麻縄を作って食べたら麻縄を魔石で出せるようにならないですかね?……うん、なんだか危険思考になってきました。気を付けましょう。
ミック君が土を少し掘り、キュイちゃんが引っこ抜きます。それから私が葉っぱと根っこを落としてよく日が当たるように並べていきます。
30個ほどの玉ねぎの収穫は割とすぐに終わりました。
ミック君もキュイちゃんも土まみれです。
「なー、次は何をするんだ?おいら手伝うよ!」
「キュイキュイ!」
二人はやる気満々です。
「えーっと、まずは手と顔を洗う?お水……が必要だね」
と言うと、キュイちゃんがミック君の手を引っ張ります。
「ん?なんだ?水なら今出すよ、ちょっと待って」
「キュイッキュ」
違うと言うようにキュイちゃんが首を横に振ります。
「あ、もしかして水がある場所を知っているの?キュイちゃん森の中のこと詳しい?湧き水とか泉とか川とか何か知っているっていうことかな?」
初めて出会ったのは森の中でしたし。住んでいるのは森なんですよね?
「キュイッ!」
うんとキュイちゃんが頷きました。
「ああ、そうか。手を洗うなら魔石で水出す必要ないもんなぁ。キュイ賢いなぁ」
「キュ」
ミック君が褒めるとキュイちゃんが嬉しそうに笑いました。
なんなのでしょう、このかわいい二人。くぅー。オニオンスープ絶対美味しく作りますよ!いや、材料足りないけど。コンソメとかあればよかったんですけど。ないものは仕方がありません。
干しシイタケも切り干し大根も、干したからこその旨味。じゅっるん




