日本へ
「だから、たくさん食べるとだめなんだよ。分かった?少しならお薬の効果もないから大丈夫だけどね」
あれ?魔石で複製したものは栄養面とかもともとの食べ物の効果がないようなことをグレイルさんと話をしたような気が……?あれ?
まぁ……うん。なんでもいいです。とにかくチョコレートをいっぱい食べるのは駄目です。
「キュイ!」
「わかった!」
二人とも凛々しい顔をしてお返事してくれました。
いい子過ぎて、もう足元から崩れ落ちてもんどりうちそうなくらいかわいいんですけれども。
「話を戻しますね。私の故郷ではこれは安く手に入るのでこの米粒魔石で出すことができるんです。あ、米粒というのは麦みたいなもので、ほら、麦くらいの大きさでしょ?小さい魔石からしか出せないので、えーっと、ほとんどの者は魔力不足で出せないので本物をわざわざ探して口にするのは無駄なんです。栽培したほうが確実に手に入るんです」
なるほどとミック君が頷きました。
「そっか……分かった。いつどこで食べたかなんて覚えてないから、本物いらないなら探さないで済んでよかった。……でも、リツ兄ちゃん変わってんな」
変わってる?
「パンより絶対泥団子……じゃない薬のえーっと」
「チョコレート。チョコね」
「チョコ?それのが高そうなのに。なんでスライム魔石みたいな小っちゃい魔石で出せるんだ?」
企業努力でしょうか。
パンは1こ100円。チィロールチョコは1個10円。よく考えると、チョコが10円で食べられるのってすごいことですよね。昔は砂糖も胡椒もカカオも、金と同じくらいの価値があったんです。それが栽培流通方法が発達して……うん。感謝しなくちゃいけませんね。
「えーっと、私の住んでいた国では、こことちょっと違ったから……?」
何と説明したらよいのか分からずに、とても曖昧な答え方をしてしまいました。
「ふぅーん。そっか。いろんな国が世の中にはあるんだなぁ。でもいいなぁ。リツ兄ちゃんの国。おいら、いつか行ってみたいなぁ。そんで、チョコとかあのレンガや漆喰を食べるんだぁ」
待ってください、レンガは、ハンバーグのことですよね、漆喰……?漆喰って何ですか?
「キュイッ」
ミック君の服の袖をキュイちゃんが引っ張りました。
「そうか、キュイもリツ兄ちゃんの国に行きたいか。行くときは一緒な」
「キュゥイ」
うんと頷くキュイちゃん。もう二人はすっかり打ち解けているようです。ほほえましいです。
……そっか。二人とも日本に行きたいのか。でも、たぶん無理なんですよね。
日本に行く手段があれば、帰りたいとは思いますが……あるのかな。グレイルさんは他に召喚された人の話もしてくれたけれど。
一人は幸せに暮らしていて、もう一人は亡くなったと。帰った人の話は聞きません。特に二人目。体調崩してこの世界の空気が合わないってわかったら、帰す手段があれば帰したと思うんです。私だって、役に立たなければ追放するよりも帰したほうが早いと思うんです。
もし、帰す手段があり、容易に帰すことができるのであれば……。
それをしていないということは、手段がないか、容易ではないということ。容易ではないことに、人を人とも思わない行動をする陛下が力を貸してくれるとも思えません。
つまり、帰れないんでしょうね。日本には行けないのです。
チョコレートの歴史。
不老長寿の薬として高値で取引されていたってあるけども、昔は砂糖もなく苦かったっていうけど、苦くても人気だったのすごいよね。
不老長寿なんて食べてた人の様子みりゃ眉唾って分かりそうなものじゃん?でも高値で競い合うようにして手に入れてたのって、結局おいしいって感じてたんじゃ……って思うと、すごい……なんかチョコの魔力
レビューが欲しいなぁ……ぼそっ




