表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詩集:墓守の唄  作者: ねこ山べに子
1/6

train


しろいしろい駅のホームで

小さな肉のかたまりが ひとつ

うずくまって泣いている

気づかない振りで電車に乗った

空は馬鹿みたいに晴れていた



うらおもてなんて

作れないくらいの薄っぺらさで

それでも生きていく私

透けた体内でうごめく赤いものを

死ぬまで煩わしく思うんだろう



えんじ色のワンマン電車

古ぼけた席に座り

古ぼけた町を抜ける

思い出せないでいる何かが

まつ毛の先を掠めていく



本当は分かっているんだ

私には何もないことを

いつか藻掻くことも忘れて

なるようになったというだけの



シートと背もたれの隙間に

はさまっていた白い紙

ふうせんに折って窓に投げた

吊り上げられるみたいに飛んでいく

……ひとりで生きていけたらなあ



こころは心臓にないのに

なぜ痛むのか分かる気がして

帰ろう、と思った

あおい日だまりが頬に落ちる

空は馬鹿みたいに晴れている


数年前、ウェブ花椿の『今月の詩』に応募して11月の詩に選ばれた作品です。

いちばんきれいにまとまったなあと思う作品。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ