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悪役令嬢を拾った女の子

クララが立った! 的なお話しからクララのお兄さんと恋仲になる話です

「金を出せ」


夕暮れ時、私はその一団の行く手を阻み、脅した。

右手に槍、左手に鉄槌、跨がる軍馬は王国産の駿馬である。


王国東部の森の中、麾下の十騎で前後を挟み、大型馬車を引き連れたご一行を私達は包囲していた。

敵は徒歩の兵も合わせれば二倍ほど。

だが、私達の敵では無い。


「王国人よ。そういう取り決めだったはずだ。我々はまだ通行料を受け取っていない」


「ふん、貴様ら蛮族などと話す言葉など持ち合わせておらぬわ! さっさとそこをどへぶぅうう!」


私が槍の石突きでみぞおちを強打してやると、変な叫びを上げながら偉そうな騎士が転げ落ちた。


変な叫びをあげるんじゃない。

だれもそんな言葉を求めてないぞ。


はいかイエスで返事しろ。


「もう一度言う。ここは既に我らが領域だ。立ち入った以上、対価をはらってもらう」


「おのれ! 貴様らごときに指図されるいわれは無いわ!」


よかろう。

交渉は決裂した。


ならば血と鉄をもって語り合おうじゃないか。




とまあ喧嘩になったわけだが、戦闘はあっという間に決着した。

森の中に伏兵を置いといたんだ。


横殴り気味に矢を射かけたら馬車を置き去りにしてみんな逃げてった。

簡単な作戦でございました。


私の周りに麾下の兵が集まってくる。

鎧兜の面頬を上げて見せる素顔は朗らかだ。


「馬車と馬車馬二頭か。なかなかの収穫ですね、お嬢」


「これで食べ物でも積んでてくれれば御の字ね」


しかしまるで山賊だな、私達。

まぁ、やってることは一緒だけど。


立派な馬車一式に、軍馬二頭と甲冑類。

討ち取った連中は、お金も持っていることだろう。


馬車の縁に手をかけながら、騎士の一人が口をひらく。


「金目のものがあるとありがたいんですがねぇ」


うーん、そういう雰囲気の馬車じゃ無いからなぁ。

期待はできない。

まぁ、空荷ってこともなさそうだけど。


「ま、見れば早いわ。いいのがあるといいわねぇ」


「お嬢の日頃の行い次第でしょうなぁ」


「なら、大猟間違い無しね」


減らず口をたたきつつ、私達は馬車の後ろに回り込んだ。


一番最初に戦利品を検めるのは部隊長の特権なのだ。

さてさて、なにがあるかしらん?


この瞬間が一番のお楽しみだね。


私を先頭にしてみなでどやどやと馬車の中へと入り込んだ。


中はがらんとしていた。


やばいぞ。

空荷くさい雰囲気だ。

だれだ、空荷じゃ無さそうなんて言った奴。


はい、私です。


そんなことを考えていたときだ。

木箱の後ろで物音がした。


脚を踏み入れると、そこには女の子。

ただ物陰でふるえている。


どうしてこんなところに女の子が?


私は遠慮会釈なく近づいた。


粗末な貫頭衣から痩せた手足がのぞく。

はらりと銀髪が額の横を滑っていく。

ちょっとだけ見えたお顔はとんでもない美人さんで、周囲の男共が固まった。


そしてその手と足には枷がはめられていた。



とりえあず、食べるところは少なそうだな。


私は思った。

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