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4話 闇のお仕事は疲れちゃう。

どうも皆さん。もっちもちです。またも危うくエタるところだったこのお話ですが、内容の方が現在同時連載中の【初期羽】と同じ世界ということになっています。それで、主人公の身が違う場合のお話という事です。


立場的にはこっちがifストーリーになってくるのかな?でも、私はどっちも本編だと思っていますので!


なので初期羽読んでくれている人はこっちもよんでくださぁい(小声)





魔王に救われた日から何か月たっただろう?僕はもう、元居た場所のことを思い出すことができない。昔に住んでいた世界......あそこは、どんな場所だったっけ。唯一覚えていることと言ったら、魔法や剣は常識ではなかったという事。だけど、この世界ではそれが常識。あとは命のやり取り。それもこの世界では常識。コロシアム、奴隷、かけ事、魔物、見世物小屋。この世界には命の取引があふれている。命は金で買える。


「ぐげっ!」

(あと一人。)


左腕で塞いだ口から小さな断末魔が響き、ボーっとした意識を少し覚醒させる。あと一人。今日の仕事はそれで終わり。終わったら久しぶりにゆっくり寝よう。最近はよく寝れていないから。


「どこに......どこから狙われてるんだ......?」


ごめんね。あなたも可哀そうだね。家族もいるだろうに。でも、関わるべきじゃなかったんだよ。仕方ないんだ。こっちも仕事だから、()らないとこっちが始末されちゃうからさ。


「(ごめんね、おじさん。僕も仕事だからさ。恨むんなら、お金に目がくらんでこんなことに関わった自分を恨んでね。)」

「だっ、誰だ!?」

「(そっちじゃないよ?こっちこっち)」

「ひぃっ!?やめてくれ......もう許してくれ」

「(だから仕事だって。)」


しつこい人だな。古いよ、命乞いなんて。というか、それで見逃す人いる?僕、同業に会ったことあるけど、それで見逃してる人見たことないよ。このご時世、命なんて軽いものなんだからさ。


「上だよ。おじさん、ごめんね。」

「ちょっ待つっ!!!!」


シュピッ!


「うわっ......ちょっと血がかかっちゃった......シャワー浴びよ」








「あー生き返るー今回の仕事は結構しんどかったなぁ......」


もう人を殺しても何も感じない。この世界では人の命が軽いってことを知ったから。なんで地球で人を殺しちゃいけないの?罪に問われるから?違う。人の命を奪っちゃいけないのは常識だから。誘拐はなぜダメなの?誘拐をしてはいけないという常識があるから。地球でもある国では「誘拐婚」という慣習があった。気に入った女性を知人や家族と協力して無理やり誘拐した後に結婚するというものだ。誘拐された後でも女性に拒否権はあるそうだ。大抵受け入れるらしいけど。もう禁止されたらしいけど、地球に居ない僕には関係のない話。


「シユウ。ここに着替えを置いておくぞ。」


......リーナベルド。魔王に二番目に紹介された人。最初に紹介されたのはあの白髪の鬼神。魔王の世話係兼僕の上司だったりする。僕に暗殺術や生物の殺し方を教えてくれたのはこの人だ。魔法や、剣の使い方、スキルの覚え方なども教えてくれた。僕の恩人でもある。


「......リーナベルド。君は人間をどう思う?」

「私は人間は嫌いだ。人間が作るものは悪くないと思うが......魔族を見るあの目。アレが気に喰わない。滅ぼしたくなってくる。」

「僕も人間が嫌いだ。僕の顔は魔王様によって生活には困らない程度に治していただけた。だけど、人に見せられるような顔じゃない。そんな顔にした人間族が憎い。理屈じゃないんだ。人間一人のせいとかそんなのはどうでもいい。人間が憎いんだ。」

「解るよ......」

「解らないさ。君にはわからない。......僕も元は人間だった。僕は容姿で金を稼いでいたんだ。くだらない仕事だと思っていたけど、失った今気づいたんだ。僕は容姿を保つために人一倍努力していた。くだらないと思ってたけど、自分が一番それを気にしていたんじゃないかって。」


この顔が焼けた時、僕はそれに気が付いた。心の中に現れた怒りと焦り。そして悲しみ。僕は......なんだかんだ言って自分の容姿に絶対的な自信を持っていたのかもしれない。だからこの職でなくても生きて行けるなんて思ったのかもしれない。


「容姿で金を稼ぐ......。良く解らない」

「企業の宣伝とかだよ。容姿が良いから服を着る依頼が来てその写真付きの雑誌が売れる。服を作っている企業、ブランドも儲かる。僕もギャラをもらう。他にもいろいろあるけど、言いだしたらキリがないかな。」

「上手くできているな。......初めて会った時に言っていた別の世界から来たというのもあながち嘘ではないのかもな。」

「追求しないの?」

「何をだ?」

「......僕が違う世界から来たっていうことと、僕が人間だという事。」

「違う世界のことについては興味があるが、お前が人間だということについてはなんとも。陛下に忠誠を誓ったのなら言うことはない。」

「そう。」


優しいんだね。なんで新参の僕がこんな重要仕事を任されるのかって思ってたけど、リーナベルドは優しいからなのかも。リーナベルドが表の仕事をして、僕が裏の仕事をする。そうやって役割分担してこの国は回ってる。僕と同じような仕事をしている人はどれくらいいるのだろう?同じ国の人だからと言って、同じ仕事をしている人が味方だとは限らない。反魔王派かもしれないし。よいしょ。お風呂場から出て、バスタオルで体をふく。


「長湯は体にあまりよくない。早く出た方が良いぞ。......お前は、明日も仕事なのか?」

「今出たよ。それと、仕事はしばらく休み。今日で依頼分は終わったから。」

「......お前も大変だな。」

「リーナベルドはみんなを統率するでしょ?リーナベルドの方がもっと大変だと思う。」

「私はそうでもないさ。問題と言ったら、副教官殿とうまくやれていないという事くらいかな。あの人は、年齢に関係なく上の立場の人を尊敬できる人なんだ。だからこそ、上司の私に敬語を使うんだよ。私はもう少し楽に仕事をしたいんだけどね。あとゼルド......といったっけ。あの少年、私にやたらかまってくるんだよ。この間も、一緒に買い物をしたんだ。凄くうれしいんだけどね、訓練にはまじめに打ち込んでほしいんだよ。」


体をふき終わった僕は、扉を開けてリーナベルドと顔を見合わせる。......自然と笑みが顔に浮かんでいる。楽しそうだ。リーナベルドはゼルドって人のことが好きなんだね。言葉の隅々から幸せさが感じられる。ゼルドという名前を言おうとしたときにも、わざと名前をうろ覚えみたいにしちゃって。......僕のことを人間だと知って変わらず接してくれる数少ない人の一人、リーナベルド。君には幸せになってほしいなぁ。


「楽しそうだね、リーナベルド。」

「......すまない」

「何で謝るの?」

「シユウはその......顔のケガで昼には出かけられないから......」

「そうでもないよ?今は布で顔を隠しているからね。僕もたまにショッピングを楽しんでるよ。リーナベルドが教えてくれた本も楽しいし。」

「ああ......リューリダルフの英雄譚か。アレは確かに夢があって面白いよな。私も頑張れば下級ドラゴンくらいは倒せるんだぞ?」

「本当に?下級ドラゴンは小さな町を一体だけで倒しちゃうような生き物だよ?」

「ああ。」

「リーナベルドはすごいね!僕なんかと違って強いんだ!」

「そんなことないさ。シユウだって強いと思うよ?つらい仕事を頑張ってるんだから。」


僕はそうでもないよ。悪いことをしているって言う事から目をそらして地球で生きていたころの記憶がどんどん消えて言ってるんだ。無意識のうちに忘れているのか、自分の心を保護するために失われて行っているのか......。よく分からないけど、前世......とはちょっと違うね。でもめんどくさいから前世で良いや。......確かに前世の記憶は失われて行ってる。怖い。なんでだろう、何か忘れちゃいけないことがあった気がする。


「ありがとう。僕は幸せ者だよ。......僕を忌むべき人間族だってしってそんな態度を取ってくれるんだから。」

「シユウは悪くないよ。それで私がシユウに対して態度を変えるわけないさ。」

「ありがとね。」

「シユウ、顔色が悪いぞ?」

「あ、もう休もうと思っていたんだった。」

「もう横になれ。わたしもそろそろ行くよ。」

「ごめんね、せっかく来てくれたのにお茶も出せなくて。」

「かまわないさ。シユウが無事だと知れただけで充分だ。」

「嘘でもそう言ってくれると嬉しいよ。」

「嘘じゃないさ。」


リーナベルドの心地よい嘘が耳に入ってきて、久しぶりに落ち着いた気分になる。不思議なことに、リーナベルドの声を聴いていると自然と心が落ち着いてくるんだ。......心が落ち着いたことによって、僕の意識はゆっくりとまどろみの中に落ちていく。


リーナベルド。君はどうしてそんなに悲しい顔をして嘘をつくんだい?


「(すまない)」


すでに意識のほとんどが夢へと向けられた僕の耳に、そんな声が聞こえたような気がした。





危うくエタるだのなんだの言って、もう既に一作品エタってたりする。

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