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008:園芸

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。

ブックマークとても励みになります。

 コンコン、ノックが聞こえた。

あわわわわわ・・・やばいどうしよう・・・。

鎌の部分に手をやり取れろと念じる。

ガチャとドアが開く音がして杖とシャベルを持った俺は間一髪間に合ったと安堵した。


「あの・・・子供達が挨拶したいって」

シスターの後ろで子供達が興味津々な顔を覗かせた。

「初めまして、リュージ14歳です。今日からお世話になります。みんなのお名前を教えて貰えるかな?」

そういうと一人のおしゃまな女の子が満面の笑みで自己紹介した。

それを皮切りに僕も私もと挨拶をしていく。

時間はお昼を過ぎた頃、みんな興味があって早く会いたいと強請ったらしい。


「僕は今日ここに来たばかりなんだ、誰か案内してくれるひとー?」と聞くと最年少の二人が手を上げてくれた。

「シスター、見て回っても大丈夫ですか?」と聞くと最年少の子でも長く住んでいるので大丈夫とのこと。

ただ、子供達と一緒ならこの敷地内にいてくださいねと言っていた。


 最年少の二人、男の子のルーシーと女の子のサラに片付けるから玄関近くで待っててねと告げる。

他のみんなは「今度は僕が・私が案内する」と言い、今日は最年少の二人に譲ることにしたようだ。


 ドアが閉まるとリュックに仕舞った毛布・レジャーシート以外の荷物を全部ウエストポーチに仕舞った。

一回伸びをしてからドアを開ける。


 玄関にいくとルーシーとサラが遅いっていうような感じでうずうずしていた。

「まずは外を探検しよぉ」と言うと二人は顔を合わせて「任せて」とハモる。


 敷地は木の柵で囲われている、正面には協会が見えていて向かって右側に孤児院がある。

「まずは協会から教えてもらえるかな?」そう言うと二人は協会の前で説明してくれた。

「えーと、ここはマザーとシスターがお仕事してるの」とサラ。

「中はステンドグラスがあって女神様がいらっしゃるんだよ」とルーシー。

礼拝場所には机・椅子があり、後は控え室・小さい会議室・トイレがあるらしい。

シスターは子供達の勉強も見ているらしく小さい会議室でたまに先生をしているらしい。


 孤児院のほうにも行ってみる。

簡素な庭があり大小様々な大きさの石が一箇所に積んであった。

「これ、なーに?」と聞いてみる。

「これね、お庭でお花を育てたいなって思ってたんだけど・・・」とサラ。

「石がいっぱい出るの、もう嫌になっちゃうんだよね」とルーシーが言う。

自由に使っても良いけど種を植えても元気がなくて枯れちゃうんだと教えてくれた。


 その後は孤児院の中を一通り教えてくれた。

子供達はそれぞれ仕事を担当していて、小さい子は基本的に孤児院の中で出来ることを多きい子は大人についていって仕事を学び自分が進むべき方向を早いうちに決めるらしい。

自分がいた部屋に一年前にいた子は王都へ兵士となる為に旅立ったようだった。


「案内ありがとうね、ちょっと外のお庭をいじっても大丈夫かな?」と二人に聞いてみた。

二人は笑顔でアンジェラお姉ちゃんに聞いてくると駆けていった。


 外に出て今のうちにウエストポーチから必要そうなものを出してみる。

木の棒・シャベル・魔力鉢・象さんの鼻型ジョウロ・植物の種各種・・・これだけ出せばいいかな?

玄関を開けたルーシーとサラが背中からドーンと言い背中から抱きついてきた。


 お姉ちゃん良いって言ってたよぉと二人が得意げに話す。

じゃあちょっと色々やってみるねと二人に微笑む。


 まずは園芸っぽい事ができるように一箇所シャベルで掘ってみる。

ザシュ・ザシュ・ガッと3回目で石に当たる。

石は大人の握りこぶし程度だったのでどけてみる。

更に掘ってみる・掘ってみる・掘ってぶつかる。

石がゴロゴロでてくる、これはずっと続くと萎えるね。


 興味深げに自分の両側にいた二人は次第に飽きてきたようだ。

そのうちかけっこをし始めた。

二人が興味を失っている隙に木の棒にシャベルを装着する。

そして慎重に魔力を流し頭の中で鍬になれ鍬になれと念じてみる。


 ディーワンは無事鍬モードになってくれたようだ。

石をどけた場所を中心に勢いをつけずに引きずるような感じで鍬を引いてみる。

「うわ・・・重い」どうも石がかなりひっかかるようだった。


「お兄ちゃん、どーお?」とサラ。

「これはきついね、土も栄養が足りてないみたいだ」と返事をする。

ルーシーがサラちゃん捕まえたと言い又二人は駆けていった。


 こういうのを魔法でなんとか出来ればいいんだけどなぁって眺める。

土の精霊やーいと軽く呼んでみる。

すると土が少し盛り上がりボコボコと動き回っている「アイタ、イツ」みたいな声も軽く聞こえてくる。

「出ておいでおじいちゃん」と言うとある一箇所から姿を現した。


 それは体半分を出したサングラスに安全第一の黄色いヘルメットをかぶったモグラだった。

そして地面から看板を出した「呼んだ?」


違うのが来た・・・。


 静かな声で聞いてみる「ここってどこもこんなに石ばっかり感じ?」

モグラは看板を裏返す「そうだよ」

前に会ったおじいちゃんについても聞いてみた。

「土の精霊のおじいちゃんの事は知ってる?」と聞くとまたまた看板を裏返した。

看板を裏返し「知ってるよ」と書いてあった。

「呼んでこられる?」と聞くと「ここは力が弱いから無理」と書いてあった。

うーん・・・こう会話のキャッチボールがうまくいかないなと思い聞いてみる。

「これをおじいちゃんに届けくれる?」と言い魔力鉢を持つ。


 エナジーボールと呟く。

植木鉢から数センチ浮かび上がっている魔力の塊を見つつ魔力鉢をゆっくり置く。

そのままエナジーボールを両手で包むように持ち上げ自由に動かせそうな事を確認した。

膝をつきモグラにお願いと頼むと「いいよ!」と看板を裏返した。

エナジーボールがモグラの後を追い土の中に消えていった。


そういえば「アイタとかイツ」って言っていたから喋れるんじゃないかと思い苦笑した。




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