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042:立ちはだかる壁

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。

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約30,000PVです。

大台とても嬉しいです。

 今日は訓練が終わると畑に確認に行った。

「あぁ、やっぱり解除されてるね」むき出しの鉄筋棒が悲しかったので4本とも回収した。

「俺、温室が維持出来るようになったらトマトを植えるんだ」ふと浮かんだ言葉だったけど、来週に山岳訓練を予定していたのを忘れていた。フラグにするには軽い言葉だから多分大丈夫だと思う。


 寮に戻ると風呂を入れてから自室に行く。

トマトの苗を増やしながら果実も同時進行で魔力鉢を使って増やしていく。

ある程度作業が終わると執事に何箇所か買物をしたいけどお勧めの店がないか質問した。

談話室から笑い声が聞こえてきたけど、まだまだ準備が必要そうなので次は調理場にお願いにいく。

「すいませーん、後で良いのですが相談に乗ってください」と声をかけると夕食後ならいいぞと返事を貰った。


 談話室に合流するとザクスが「じゃーん」と二本の瓶を出してくる。

「こっちが精霊さまの作ったほう、こっちがうちらの作ったほう」とエッセンスオイルの蓋をあけてみる。

うっすら紫色をした液体は両方同じだし、香りも比べないとわからない程度に芳香を放っている。

香水の方も同じような感じで精霊さまが作ったものと比べても遜色ない程だった。

「後は石鹸との混ぜる比率かな?この辺は工場で試してもらうしかないね」と言うと、アフターサービスまでやるのが薬学科ですと自慢していた。来年3月に卒業予定でまだ就職が決まっていない薬学科の生徒は一人だけいて、その人をダイアンに紹介する予定らしい。その名目で今回の研究は共同研究として、レポートはこの先輩に一任している。


 食事が終わると料理長がやってくる。

「待たせたなリュージ、それで何か困り事か?」

「実は今度雪山に行くことになりまして、保管はなんとか出来るので大鍋でスープを作りたいんです」

「ああ、それくらいなら大丈夫だぞ。いつ作ればいいんだ?材料はどうする?」

「材料はこちらで手配します、調味料とか足りないものは勿論お願いしたいのですが」

「じゃあ準備できたら前の日までに教えてくれ、スープくらいならいつでも大丈夫さ」


 ヴァイスとティーナは食事が終わると恒例のお風呂に行って、ここにはレンとザクスが残っていた。

「料理長、土曜の午前は時間とれる?」とレンが聞く。

「レンも何か作って欲しいものでもあるのか?」

「午後からサティス家に行くんだけど、前回のクッキーがかなり気にいったらしいの」と残ったメンバーに説明する。

「何か持っていきたいなぁ・・・」とこちらを見るレン、そして料理長に目を潤ませて両頬に握り拳二個を添えた。

「小技を出してきた」とぼそっと呟くザクス、後でどうなるか少し興味が沸いたのは秘密だ。

「ああ、別にいいぞ。前と同じものを作るなら材料を準備できるがどうする?」と聞いてくる。

「明日買物に行くので、その時に良いものがあるか見てきますよ」と話すと「やる前提で動けるようにしとくわ」と料理長が調理場に戻っていった。


 精霊さまが作った瓶2種は預かって欲しいと渡されてザクスと風呂に向かう。

男湯に着くとヴァイスは既に湯船に浸かっていて何やら深い呼吸をしていた。

とりあえず成果を試してみようと風呂場にあった液状石鹸に一滴香水タイプのラベンダー液を垂らす。

軽く一振りすると香りのカプセルが弾けたように室内に香りが広がるイメージがした。

「お・・・なんだ、さっきのも凄かったけどこの香りは」突然開眼したように目を開くヴァイス。

「これを計算してやったとしたらザクスは精霊さまより凄くないか?」と褒めるとVサインをしてきた。

「俺もう一度体洗うわ、騎士は身嗜みも大事だしな」と贅沢に液状石鹸を使い出すヴァイス。

こういうのは気がつくか気がつかないかくらいが丁度良いのだけど宣伝要員として人身御供になってもらおう。


 風呂が終わると談話室に集まる5人、当然香りに気がつくレンとティーナ。

「え?なになになに、そんな良い香りさせちゃって」とレンとティーナがヴァイスを嗅いでいる。

「ザークースー、今すぐ同じようにしなさい」と立ち上がりビシッと指を差すレン。

「後でやっとくよ」と立ち上がろうとしないザクスに「そういえばさっき小技がどうとか・・・」軽く微笑むレンのこめかみに何やら浮かんではいけないマークが見えたような気がする。

「はい、今すぐ行きます!」と瓶をもって全速力で駆け出すザクス。


「今女湯って誰も使ってないの?」「「あ・・・」」そのすぐ後に「「キャァァァァァァ」」「すぐ閉めなさい」

「「「「やっちゃったぁ」」」」聞こえないはずの声が聞こえたような気がした。

説教されているザクスをレンが援護したので何とか事なきを得たようだ。

こう考えるとザクスが主人公でラッキースケベが発動したように思えるけど「風呂場を覗くなんて最低だ」表向きはこう発言しておこう。


 11月最終週木曜日、日課の朝練を終えると風呂に入る。

多分4人は良い広告塔になるだろう。

ヴァイスには午後の訓練から参加することを伝え、今日の午前は買物をして行こうと思う。

食料品を買うならやっぱりマーケットだ、野菜は根菜類が多く次々と揃えると収納に仕舞う。

次に肉屋で塩漬けの肉を買い卵と小麦粉も仕入れる、牛乳とバターと蜂蜜も高かったけど購入することが出来た。

次はクロウベーカリーでパンを大量に作れるか確認をする、バケットを中心にお願いして今日の夕方に取りに来るとお願いした。


 王国は寒い地域にあるので防寒具は充実していた。

帽子と手袋とマフラー、厚めの上着を多めに仕入れブーツも滑りにくいものを選んでもらった。

念の為、使えるかわからない学割目当てでギルドカードを出してみた所、銀貨25枚の出費に落ち着いた。


 まだ訓練には時間があったので色々な露天を見て回ることにした。

怪しい薬屋屋では何に使うかわからない草や乾燥したのか枯れているのかわからない束などが売っていた。

また、乾物屋みたいな所では少量のナッツ類が売っていた。

両手でお椀の形を作って軽く盛ったくらいの量で銀貨5枚もしたのだ。

またある場所ではミニミニウィスキーボトルというか目薬くらいの小さい瓶に入った液体が売られていた。

一通り見たけどやっぱりナッツ類が無難な気がしたので高かったけど購入することにした。


 ほぼ収納に仕舞ったがブーツだけは慣らさないといけないので今から履くことにする。

学食の時間に間に合いそうだったので食事は学園でとることにした。

今日もいない予定だけど念の為基礎魔法グループに挨拶にいく、予告通りサリアル教授はいないようだった。

その後は品種改良グループに向かうと教室では人だかりが出来ていた。


 中心にはレンとザクスがいて主に品種改良グループの皆から質問攻めになっていた。

「レンとザクスが同じ匂いさせてる・・・」

「そりゃ寮が一緒だからね」

「二人は付き合ってるの?」

「想像にお任せするわ」

「おい」

「ねえ、それって香水?どこで買えるの?」

「今基礎薬科グループが依頼を受けてるからそれが終わったらからかな?」

「レン付き合ってくれ」

「どこに?」

「レン俺は本気だ」

「そのへんにしとけよ」

「「「やっぱり二人は付き合ってるんでしょ」」」

こんな会話が繰り広げられていた。


 ローレル教授と基礎薬科グループ顧問が少し離れた所で成果を喜んでいたので挨拶に行く。

「こんにちは、基礎薬科の皆さんはどなたも優秀ですね」と顧問に言うと「興味が沸いたかな?」と質問される。

「困ったらザクスに相談するのでとりあえずは大丈夫です」顧問は少しがっかりしていたようだ。

「ローレル教授、レンから話が行っていると思うのですが土曜にサティス家に呼ばれています。また火曜から山岳訓練にも参加する予定なので来週はいない予定です」

「ああ、話は聞いているよ。サティス家はこちらも招待を受けているから現地で会おう。山岳訓練は・・・まあ、頑張るんだぞ」と何やら含みがあるような微笑を浮かべるローレル。


 まだみんなから開放されてない二人にこっそり両手を合わせて祈りつつ午後の訓練に合流した。

少し離れたところにいるティーナは囲まれていたけど、ヴァイスはさすがに男だらけの聖騎士団なので訓練には支障がないようだった。


 11月最終週金曜日、今日の講義は冒険科の【野生生物1】【モンスター:分類1】【弱点1】を受講することにした。

冒険科の授業は教えようという形ではなく、死にたくなければ覚えろというスタンスだった。

いちいち出てくるモンスターを図鑑で調べるなんて暇はあるわけなく、感じろ動け逃げろ戦えと【拙速は巧遅に勝る】を体現する講義内容だった。弱点で言えば体の中心線や目・口・関節・骨など攻撃を与えるべき場所・狙ってはいけない場所などを説明していた。


 午後はサリアル教授にヴァイスと一緒に挨拶に行く。

今週の受講した内容を話すと「魔法の訓練をしつつ体力作りも平行して行うと良いでしょう」とアドバイスを貰う。

最近朝練を行っていて今度山岳訓練に行く事を話すとヴァイスが「連絡が遅くなりまして申し訳ありません」と頭を下げる。

事前にヴァイスには金曜日は基礎魔法グループで訓練があることは話していた。

「連絡はいいのです、私もこの数日席をはずしていましたので」そう言うとグループの一人に声をかけるサリアル。

「リュージ君、あなたは自分の意思でこの訓練を受けることにしたのですね」

「はい、何か問題がありましたか?」考え込むサリアル教授、少しすると山岳訓練の顧問がマイクロを連れてやってきた。


「二人とも、無理強いはさせていませんね」

「勿論です、リュージ君の意思を尊重しています。もしこの場でやはり参加できなくなったと言われれば諦めます」

「今回俺は絡んでないぜ」

考え込むサリアル教授は「では、こうしましょう。これからの実践で実力を示せたら許可しましょう、二人とも良いですね」と周りを見回す。顧問とマイクロは頷いていたが正直何が起きているのかわからなかった。

「えーと、いつもの訓練ではないのですか?」と質問すると「あなたとヴァイス君とで私に挑んでもらいます、勝敗ではなく実践内容の如何によっては今回の山岳訓練は私の一存で参加を取りやめます」と宣言する。

魔法使いに対して2対1ならなんとかなるだろう、木剣と木盾を取るヴァイスに軽く打ち合わせを始めるのであった。


所持金:金貨5枚+銀貨80枚(+銀貨50枚)

支払い:銀貨-30枚(食材+防寒具)

残 金:金貨5枚+銀貨50枚(+銀貨50枚)

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