029:学園生活
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中世の部活動って何をしてたんだろう?。
クロケット?ゴルフの原型?。
夕方少し前に寮に到着すると改めて寮母に挨拶をして部屋に入る。
案内してくれた執事にも握手を求めると「こちらこそ宜しく」とここでの暮らしについて補足をしてもらった。
まず、この執事と侍女の二人はそれぞれ学園に通う学生らしい。
特待生まではいかなかったが行儀見習いとして、また仕える主人がいるものとして学園の騎士科に通いながらこちらの仕事もしている。従業員用の部屋もあるので扱いとしては準特待生のようだった。
「今の仕事は実習としても役に立つので、どのような事でも申し付けてください」と言われたので「困ったことがあったら相談しますね」と返事をしておいた。
食事については前日までに朝食と夕食が必要かどうか連絡すること。
執事か侍女に言うか貼ってある表の名前の所に丸印をつけてもいいそうだ。
お昼は学食が無料(特待生待遇)なので、そこでとるか外で食べるか自由となっている。
お湯が欲しければ調理場にお願いすれば大丈夫で洗面所・風呂場は自由に使っていいとのこと。
ただ、調理場は結構忙しいので大抵水で済ますそうだった。
風呂場が故障中なのは2年前にいた学生の実験と称したものが魔道具(お湯を出すもの)を使用出来なくさせてしまったからだと言っていた。風呂は洗い場が2箇所で湯船は4~5人入っても余裕があるくらいの大きさだった。
案内が終わると部屋に荷物をだし使いやすいように配置していく。
クローゼットもあったので着替えも何着か取り出しておいた。
しばらくするとノックがあり侍女が「皆様が談話室でお寛ぎ中ですので」というので挨拶することにする。
午後に作ったバスケットに入ったクッキーを侍女に渡すと「みんなで食べてください」と告げた。
大量に出来たのでコロニッドさんとレイクさんにも一包ずつ渡しており、商業ギルドで薄い小さい布とリボンを大量に購入し材料代も支払ってある。
「俺の名はヴァイス、没落貴族の次男だ。騎士科で聖騎士団というグループに属している」
「私の名前はティーナ、両親は冒険者をしていたわ。冒険科で実践戦闘グループに所属しているの」
「僕の名前はザクス、商家の三男です。薬学科で基礎薬科グループに属しています」
「私の名前はレン、農業閥の貴族の長女よ。農業科で品種改良グループに所属しています」
「魔法科のリュージです、宜しくお願いします。ところでそのグループってなんですか?」と質問すると皆が宜しくと言った後にヴァイスが答えてくれた。
まず基本として午前は座学がメインで午後は戦闘訓練や部活動がメインになるらしい。
大抵どの学生も部活動には参加しているらしく、ヴァイスが参加している聖騎士団は学園の生徒会と風紀委員的な活動をしているとようだ。部活動も戦闘訓練も同じ科のものが集まる事が多いのだが、他の科からの参加も複数の在籍も可能だと言っていた。
騎士科の人が多く参加するのはマナー・お茶会などのグループや決闘・戦闘のグループだった。
冒険科は人数が一番多く実践戦闘グループも最大のグループになっている。
グループ内でもジャンルが別れているので、そのうち新しいグループとして立ち上がる可能性もあるらしい。
薬学科や農業科は合わせてそこそこの人数で農業王国では成績さえ良ければ文官にも就職率は高い。
ただ、教授について学ぶ生徒も多いので新しい研究が進むかどうかは教授次第である。
ここでクッキーとお茶が届き侍女が「リュージさんからの差し入れです」と言うと続けて「魔法科の特待生ってここ数年でリュージさんだけですよ」と言うと皆が「おおぉぉ」と言い拍手される。
ノリがいいなと思っているとみんながクッキーをつまみ「おおおおおぉぉ」と驚かれた。
クッキーに負ける程度の特待生ねと苦笑した。
その後、寮母と調理場の人が来てクッキー美味しかったよと賞賛された。
魔法科は基本的に人数が少ない。また学園にいる期間中に魔法を習得できなくても大丈夫で魔法が使える人は引っ張りだこだという。王国の方針で一昨年から聖職に関わる入学も多くなったし、とある教授も招聘できたのが大きかったらしい。
「もしグループが見たいなら案内するぞ」というヴァイス、するとティーナが「勧誘するなら私にも権利があるわ」と乗ってくる。明日は昼食が終わったら校内を案内してくれるらしい、そして是非実践戦闘グループに在籍してねとアピールされた。
食事が終わると風呂場で汗を流す、もう冬に差し掛かっているので冷たい水を絞りながら布で体を拭くには辛い時期だ。
石鹸が手に入ったのは嬉しいけど香りの問題もあるしこれは是非改善したい事のひとつだなと思う。
この後も談話室で遅い時間までみんなのことを聞いたり自分の事を話したりした。
「私は魔法理論を受け持つサリアルです、魔法科の主任教授であなたの生活・進路指導を担当します」まずは宜しくといい握手を求められる。
握手をしながら挨拶をすると「特待生は一般の生徒のお手本になる義務があります、ただそれで学園生活を楽しめないのは本末転倒なのでどんな事でも相談してください」と柔和な笑みをした。
「では、今日の【魔法理論1】を受けますね」と強制的に受講する運びとなった。
魔法の種類は実にたくさんあった。
属性魔法(火水土風/無氷雷)・神聖魔法・肉体強化魔法・物質強化魔法・付与魔法・精霊魔法・召喚魔法・時空魔法・空間魔法・死霊魔法・特殊魔法・生活魔法などなど。
そして土の精霊から説明があった内容の講義を受けた。
一般的に多いのが属性魔法と神聖魔法の使い手で、外に放出できないタイプの魔法使いが肉体強化系を知らず知らずのうちに使ったり、物質強化魔法や付与魔法を使ったりする場合が多かった。
復習の意味で確認したけど魔法の発動の流れはこんな感じだった。
魔力を感じる→魔力を練る(集中する)→具現化する(属性に染める)→位置を指定する→魔法完成
扱う魔法によって対象が接触だったり、物質や肉体に纏わりつかせたりと多少の違いはあるけれど魔法を発生させる流れに大きな違いはなかった。
問題はその魔法にあった【触媒の役割をするもの】精霊や神の存在・死霊を操る術など特別な技術がないとまず覚える事ができないだろうということだった。
その後は魔法の有効性と危険性について注意がある。
魔法が出来ることと人間性は関係ありません。徳の高い聖職者が必ずしも高位の魔法が使える訳ではなく、魔法を使える事で傲慢になる人もしばしば見られますが魔法は一つの技術職ですと締めくくる。
「今後も魔法科の講義を受講されるならば是非覚えてください」と言うと講義が終了した。
その後も魔法科の講義を何個か受けた。
【四大属性魔法1】では魔法を使って出来ることを勉強した。
イメージを固める為の詠唱の台詞を何個か覚え、魔法名を言うことは仲間への行動の指針になるので是非言うようにと講義を受ける。
また、四大精霊の火は攻撃の意図が強く、水と土の魔法で攻撃するには明確な攻撃意図を魔法に込めないとダメージに結びつかないらしい。ただ、攻撃を考えた魔法を唱えるとうまく発動するかの不安は残った。
午前の最後の授業は【瞑想】だった。
「目を閉じて~、リラックスして~、魔力を感じてくださ~い」静かな教室だけどそこそこの人数がいるので周りが気になる。毎日復習の意味も兼ねて魔力を練る事は練習していたが魔力を感じる事は気にしていなかった。
協会関係者も一緒に授業を受けていたので人によっては神聖な空気をかもしだしている。
そのうち一人二人熟睡しだす生徒がいたけど、さりげなく教授が肩を揺すったりする。
また講義名には数字が書いていないものがたまにある、魔法科の必修講義で【瞑想】なんかは複数回受講する人も多かったようだ。
お昼は食堂で待ち合わせをしたヴァイスとティーナと一緒にとる。
メニューは鳥肉のステーキにサラダとパンとスープのセットでお金を出したとしても安い価格設定だった。
食事が終わるとこれから回るコースを考える。
「食事の後にいきなり体動かすのもなんだから、まずは見学だけで済むところに行きましょう」というティーナ。
担当教授を聞かれたのでサリアル教授の名前を出すと魔法科の人が多い所から見学することにした。
サリアル教授が顧問を務めるのが基礎魔法グループだった。
部室には6名いて瞑想や魔力の操作や属性魔法の特訓を行っていた。
挨拶すると教授はグループ活動の最初と最後の時間近くに来て指導してくれるとのこと。
今まで使えなかった人も指導により少しだけ使えるようになったらしい。
魔法を得意とする人は漏れなく実践戦闘グループに勧誘され、聖職者の方は聖騎士団の教えに感銘を受け所属しているらしい。
その後は基礎薬科グループや品種改良グループも見て回る。
庶民なのでお茶会とか無理だし貴族の付き合いを学ぶのも冒険者として必要性を感じない。
品種改良グループは主に美味しさの追及グループと土地や病害虫に対する適正を追及するグループがあるらしい。
また薬学と農業はお互い共通する部分もあるので学園の一部にある開墾地を自由に使えるようだった。
他にも文化部的なグループは何個かあったようだけど、ティーナの催促に実践戦闘グループに急ぐことになった。
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