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024:依頼完了

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7600PVを超えました。

もう芋の話は止めて冒険に出て欲しい

です、ただ・・冒険出来る気がしない。


一行だけ足しました。

グリモア:【菓子百貨】を覚えました

 3日目

その日、朝一番に来たのは初日に来た商業ギルドと八百屋・料理屋の組み合わせだった。

「ようやく買っても仕方ない金額に落ち着いてきたな。ご祝儀価格だけど一本くれや」とギルド職員が言うと少し待ってもらい焼きあがった芋を耐火手袋で取り出しザルの上に置く。

「とてもあついので先にお茶でもどうぞ」と言うと御代を済ませた。


 三人は不恰好に千切りながらも三等分してその場で食べ始める。

「ほぉ、これは」「なかなか」「うーむ」と言うと八百屋と料理屋の二人がうちにも卸して欲しいと言ってくる。

すると商業ギルドが「俺の前で直接交渉するな」と苦笑いを浮かべ、是非可能なら市場に流したいと伝えてくる。

まずはこの10本をクリアしないと何とも答えが出せないのでと濁すと「俺の名はレイクだ、是非10日の依頼が終わったら声をかけてくれ」と言われた。

「そうだ、商業ギルドで王国御用達の担当の方いらっしゃいますか?それなら話が早いかも」と言うとコロニッドさんが色々と話を通す順番があるので少し待って欲しいですと言う。

その後も冒険者ギルドのギルマスが一本購入し、貴族らしき人が1本買っていく。

この日は3本売れてコンロに残った1本は収納に仕舞った。


 4日目

前日と同じ準備をすると、すっかりお茶の試飲場として奥様方の憩いの場になりつつあった。

この街のことを聞いたり、王家の噂話を聞いたり、最近の流行を聞いたりした。

話をしてくれた御礼に焼き芋を1本取り出し1cm角に切って試食として出す。

今度は大人もいいですよと言うと我先にと楊枝を刺した。

「私もいいかね」というと入り辛そうにしていた商家のご隠居さんらしき人が一つ摘む。

「なかなか美味しい芋だ、一本貰おう」また1本売れました。

看板を5/10に書き直し、残数5本と黒板に大きく表示する。

この日売れ残った2本は収納に仕舞った。

順調に色々なジャンルの方に売れて行き8日目には残数1本になっていた。

滞在期間が長くなるので銀貨30を追加して宿泊は7日延長してある。


 8日目

毎日同じ準備をして奥様方と談笑をしていた。

たまにクロウさんも話に混ざりパン屋の売り上げはこの一週間確実に上がってきたのが自信を取り戻す結果になったようだ。もともとこのパン屋は美味しい、近所に出来たパン屋の目新しさがなくなったらこの状況は当然の結果だった。

そしてとうとう痺れをきらしたライバル店が輪の中に入ってきたのだ。

「おはようございます、こちらはクロウベーカリーの出張所ですか?」と店主が付き添いの男と一緒に挨拶をしてくる。

「いえ、軒先を貸してもらっているだけですよ」と答えると「いやぁ、繁盛しているようで羨ましい」と大げさなリアクションを返してきた。

周囲の微妙な空気にクロウさんが店の外に出てきて一瞬嫌な顔をする。


 そんなクロウさんを見つけるとライバル店の店主が「そうだ、これだけ盛り上がっているんだから勝負しましょう。皆さんにこの緋き芋を使ったパンの食べ比べをして貰いましょう」と言い出した。

正直、この展開は話が長くなると思った。

周りもなんだか苦笑いをしていてそんなに歓迎している様子にも見えなかった。

もういい加減冒険に出たいのにと思っていると「リュージ君、その芋まだ売れてないなら買ってもいいかな」とクロウさんが言う。


 石をどけて耐火手袋で焼き芋を掴むと銀貨5枚を出してくるクロウさん。

「お買い上げありがとうございました」と言うとコロニッドさんが完売おめでとうと拍手しだす。

周りもライバル店の店主をよそに拍手で盛り上がった。

「そして、これが預かったものです」と言うとコロニッドさんが羊皮紙を広げた。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇

命名許可書


【仮称:緋き芋】

販売実績を加味し正式に申請された名称を許可するものとする。


命名:【ラース芋】

王国第一王子 ローランド

◇ ◇ ◇ ◇ ◇


鳴り止まない拍手に180度お辞儀をした。


 置いてけぼりにされたライバル店店主は「クロウさん、そんな早いもの勝ちみたいな買い取りは卑怯ですよ」と言うとクロウさんが黒板を指差す。

思いっきり早い者勝ちと書いてあったのを改めて確認していたようだった。

微妙なざわめきも収まらず振り上げた拳をどこかに下ろしたいライバル店店主。

「では、同じ価格帯のバケットの食べ比べといきましょうか?」と提案しバーベキューコンロに網を置いた。

クロウさんとライバル店の付き人が同じ価格帯のバケットを持ってきて4等分し網の上に置く。

「あくまでも食べ比べですからね。例えば好みが真っ二つに分かれようが片方に傾こうが好みの問題ですからね」と周りの奥様方に告げると双方納得した。

通りを歩く人・輪の中の立候補者・子供・コロニッドさんが食べ比べをするようだった。


 パンの香りが立ち上る網の上、ついでに焼きあがったラース芋も乗っけておいた。

いざ、試食となるとそれぞれに感想があがる。

この部分はいいけどこの部分はこっちとか・・・正直好みの問題の範疇だった。

結論は半々でライバル店主が物言いをつけようとした時、馬車が客の輪の少し離れた店の前に到着した。


 最初にラザーさんが降り、周囲を見回した後に颯爽と現れる王子。

そして王女まで一緒に降りてきた。

一本の道が出来たようにゆっくり歩く王子が指名依頼達成おめでとうと握手を求めてきた。

近くにいたお客は蜘蛛の子を散らすように店を離れ、少し遠目でこちらを見るようになった。


「申請は無事通った所で悪いんだが、後二日はラース芋の啓蒙の為ここで宣伝してもらえぬか?」とラザーさん。

指名依頼は10日の予定だったので問題ないですよと言うと「では、宜しく頼む」とほっとしたようだった。

金網をはずして鉄板を乗っけると、ここまで来た王子達にお茶を出すことにする。

「少しお時間ありますか?」と言うとまだ大丈夫のようだった。

クロウさんに椅子を借り、調理場も借りる事にする。


 コロニッドさんに王子達の相手をしてもらうとクロウさんには材料を借りる。

牛乳・卵があり、砂糖は自分の収納から出す。

「このバケット何個かもらってもいいですか?」と聞くとここにあるものは自由に使ってくれと返事が返って来た。

ボウルに卵液(卵黄と牛乳と砂糖)を作りバケットをくるくる回して浸す。

そして外でお茶を飲む4名、クロウさんには皿とカトラリーを用意してもらった。


 これだけじゃひねりがないなと思い、篩を取り出して木ベラで焼き芋を裏ごしする。

そしてさっき作った卵の残りの白身をメレンゲ状にしようと思った。


「あ・・・泡だて器ないわ・・・」

クロウさんにこういう道具ありますか?と聞いてみたが案の定なかったようだ。

仕方がないのでウォータボールを卵白だけでやるイメージでグルグル回し始めた。


 グルグル回すだけじゃ何か違う・・・確かこの作業って空気を含ませるのが目的だよな・・・。

そう思うとふとミストヴェール・・・雲・・・霧?と連想ゲームになっていく。

そうか、限られた空間エリアに等しく存在させればいいんだ。

そこまでいくとメレンゲの動きは簡単だった。


《New:スペル ミストヴェールを覚えました》

《New:グリモア発現:【菓子百貨】を覚えました》


 出来上がったメレンゲを裏ごししたラース芋に泡をつぶさないようにさっくりと混ぜていく。

マーブル状になった所で外の鉄板にフレンチトーストを置いて焼き始めた。


「このお茶も絶品だな、どこの銘柄かな」と質問してくる王子。

多分気がつかないと思いますがラース村産ですと言うと「あの村がねぇ」と考えていた。

適度に焦げ目がついたフレンチトースト、トングを使い裏表焼き目がつくと皿に載せていく。

最後にこれでもかってくらい先ほどのホイップを載せると「素人料理ですがお試しあれ」と促す。


 4人の反応を見ると一口目で時間が止まり、ラース芋が入っていますよと言うと二度目の驚きにあっていた。コロニッドさんが「リュージ君は料理の経験あるのかい?」と興奮気味にまくし立て、調理法を聞いてくる。別に隠すほどの調理工程でもないので詳しく説明する。

まだ卵液も残っていたので追加で焼きに入りクロウさんにも店内で試食してもらった。


「お兄様についてきて役得でしたわ」と言う王女。

お茶も一段落すると王子が「では、二日間宜しく頼む。報酬はきちんと精査してあるので約束の10日が終わった翌日、ギルドで報告を行う時に提示できると思う」と言い馬車で一行は帰っていった。

再び集まるお客との話でさっきの食べていたものを聞かれ、クロウさんの新商品ですと誤魔化し後を託すのであった。


所持金

所持金:金貨5枚+銀貨174枚(+銀貨50枚)

売上げ:銀貨45枚

宿泊費:銀貨-30枚

残 金:金貨5枚+銀貨189枚(+銀貨50枚)

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