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014:金策と恩返し

皆様のご意見ご感想をお待ちしております。

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2600PVを超えました。

話数よりブックマーク数が多くなった。

 翌朝は花壇の見学から始まった、恒例行事になりつつあるなと思う。

何故見学かというと既にみんなが水遣りや雑草取り等の作業を終わらせワイワイしていたからだ。

花壇の前では成長の瞬間を目に焼き付けようと年少組が頬杖をつきながら観察していた。


 地面に手を当てて薄く薄く魔力を流す。

ただ、魔法では目に見える変化までは使わない。

一種のおまじないのようなものだった。


「ねえねえ、これは何時頃お花が咲くの?」サラが尋ねる。

「普通は何ヶ月もかかって育つものなんだよ。今回は特別なものを植えたから後20日くらいかかるかな」と言うと「えー、早くお花みたーい」とルーシーが背後から抱きついてくる。

ルーシーの背中をしっかり押さえ急にぐるぐる回りだすと「わぁぁぁぁ」と慌てていた。

その後僕も私もと何人かぐるぐる回していると軽く足にきた。

やっぱりまだ体が成長しきっていないので回しているつもりが回されているのだろうと思う。


 朝食が終わると開墾予定地までゆっくり歩く。

ディーワンを鍬の状態にして水筒には水を入れて持っていく。

今日は開墾予定地には誰もいなかった・・・いや、一人樹の陰らしき場所に隠れている人物を発見した。

特にリアクションは取らなくてもいいかなと思い作業を開始した。


 地面に手を当てて開墾と呟く。

鍬の刃の部分が開墾予定地の1番に該当する畑の端の部分に溶け込むように沈み込む。

1番の区画を確認するように四隅に目立つような石を置く。

2番の区画も同じように石を置いてディーワンの場所に戻るとディーワンは元の鍬の状態に戻っていた。

続けて1番の畑で下の方にある石を砕いて一定の大きさにする。

網目状にした魔力を徐々に押し上げ地表から1cm下の地点で留めれば準備完了である。

残りの時間は苦労しながら2番の畑を一生懸命耕そうとしていた。


 鍬を振り上げる、鍬を振り下ろす。

石に当たる岩に当たる、石をどける石にあたる。

軽い苛立ちを表現しつつまじめに素の状態で開墾に精を出した。


《New:スキル 農業姿勢/農業動作を覚えました》


 おおぉ、こんなスキルもあるんだと鍬を振り上げるバックスイングが軽い。

振り下ろす地点と進入角度もベストな位置だった、それでも石や岩に当たったけどね。

筋肉痛が出ない程度の本気度で2番の浅い地点を耕していった。


 作業が終わり水を飲むと鍬を持って食堂に移動する。

帰る時に一回振り返ると誰かが2番の畑を調べている姿を見つけたが、気にせずに景色を眺めながら歩き出した。


 食堂に着くと外では多くの人が集まって作業をしていた。

「おう坊主、昨日はご苦労さんだったな」ゲイツさんが声をかけてくる。

「みなさん、おはようございます」と言うと周りから返事が返ってくる。

村長をはじめゲイツさん・兵士・大将と女将さんが慌しく動いていた。


「今日は一日がかりで解体じゃの」村長は見学モードだった。

短剣や専用の工具らしきものを使い血抜きが終わった熊と猪の皮から解体していく。

大きすぎるパーツを部位毎に分け必要な部分を中心に取っていく。

途中この部分が美味しいんだとか、この部位が薬になるんだとか説明があったが結構生々しい作業だったので少し離れた位置から見学していた。


 程なくして大将と女将さんと一緒に本日の仕事に戻る。

野菜の下処理が終わると「今日は疲れているからだろうから長めに休憩するといいよ」と女将さんが言った。

裏口近くの壁に立てかけておいた鍬を取り昨日の場所の前に立つ。

軽く刃を立てゆっくり引くと大量の小石と共に開墾された家庭菜園の出来上がりだった。


 鍬を壁に立てかけ、両方の掌を上に向け2個のサンドボールを発生させ砕く。

家庭菜園の上に栄養に富んだ土が生まれる。

次に周囲を見回した後ウォータボールを片手に発生させ小さくなった石を入れていき玉砂利もどきを作っていく。

ここからは折角覚えたので、農業動作のスキルを使い家庭菜園の土作りを始めた。

周りを玉砂利で囲むと完成である。


 一度解体している方に見学にいったがまだまだ時間がかかりそうだった。

それとは逆に若干暇そうなのが調理場だった。

よし、このままどこまで出来るかやってみよう。


 畑の前で種を何個かカードのように広げてみる。

やっぱりスープ類を充実させるなら大根だなと思う。

孤児院のトマトが出来たら何個か貰ってきてもいいしね。


 程よい間隔で大根の種を植える、もちろん種苗増殖で増やしたものを使った。

この辺は実家でも野菜を作っていたし感覚で出来る範囲だった。

ウエストポーチからジョウロを取り出して水をかける。


 地面に手を当てて発芽と唱える、続けて成長促進を続けて唱える。

徐々に成長して行く過程が早回しのように進み、青々と育つ大根の葉を見ると満足いく大きさになったので一本だけ抜いてみた。

「おおぉ、見事な青首大根だ」この村で見てない野菜だけど用途が広いから大丈夫だろうと思う。


《New:グリモア発現:【野菜百選】を覚えました》


 大将と女将さんが休憩に入る前に家庭菜園の説明をした。

「おいおいおい、すげーなおい」と大将は驚いていた。

女将さんは呆然としていて「出来れば皆さんに内緒にして貰えれば・・・」と言うと二人はカクカクと頷いた。

そして自分の事を説明することにした。


 多分ここに来る前に農業の仕事をしていた事。

魔法に素質があったらしく、ここに来てから段々出来る事が増えていった事。

「土と緑の魔法がちょっと使えるようになったので今日は成果を見せようと思いこのような結果になりました。」と言うと周りではあまり使わないようにしなよと女将さんが言った。


 収穫すると計10本の青首大根があった。

硬い肉は大根おろしで漬け込むと良い事、汁物には粗微塵切りにしたものが合う事を伝える。

いちょう切りにして肉と一緒に炒めてもいいし、水分を抜いて漬物にも使えそうなことを話す。


 食堂には熊肉と猪肉が大量に届いた、ここで塩1袋を大将にこっそり提供する。

「次から次へと驚くものばかり出るな」と大将は言い小指に塩をつけてなめた。

「こんな上等なものを貰っても何も返せないぞ」と大将は言っていたが肉を美味しく仕上げて欲しかった。

明日は昼に合わせてパンを焼くらしく、それに肉を挟むサンドイッチやピタ方式になるそうだ。


 自然薯をおろしてパンや料理にも使えるかな?。

すり鉢はあるみたいなので明日のパンを焼く前にそちらの手伝いをしたい事を話したらOKだと言っていた。


 今日の仕事も無事に終わり、大根は数本持って帰るように言われたので両手に一本ずつ持ち早めにあがらせてもらった。

新しく覚えたグリモアのスキルを使って野菜については夜にでも調べてみようと思う。


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