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砂の雫から出来た国へ  作者: 小野 茜
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62:皇都アシル-17

 ライが考えていることなど、レイもリンも予想外ながら、きっと話をすれば渋渋ながらも了解してくれる範疇だと思っていた。

 あの土地を、荒れ果てた砂漠状態から脱却させるための力を奮うのは、リンが有力候補であるし、アレイシア皇国領内の半分を統括するのは、ライかレイの領分になる。

 では、残る半分のナレイティア共和国領内を統括するのは、やはりライかレイのどちらかの領分となるだろう。

 それならば、味方の多いアレイシア皇国側をレイに任せ、多方面にも協力を要請出来る状態を作っておけばいい。

 しかし、予想外だったのは、アズールからの申し出にあった、ルーイの貸し出しだ。

 どういった伝手を持っているのか知らないが、レイと一緒に行動していたと聞いている

相手だから、全くの見ず知らずの相手であるとも言いきれない。


「さて、何処から片付けるかねぇ」

「何処からと言うより、すでに目の前にいるんだが……少し待て、まずは周辺の住民を避難させる」

「了解〜。この目の前のと、その奥に二つ、通りブチ抜きでやってみるかぁ?」

「ライ! そういうことなら、尚更だ。待って欲しい」

「はいよ〜。その間に、周辺を観察しておく」


 触りと肌を撫でる風から、仕掛けが地上と地下に分割されている事を知らされ、地上の仕掛けは風で壊すことが出来そうだが、地下の仕掛けをどうするのか考える必要が出て来たので、さてどうするかと顎に手をやって考えを纏めようとしていた。

 そんなライのことなどお構いなく、周辺の住民を避難させるべく、アズールの指揮で動く兵士と魔法師。

 ライの護衛に指名された二名の他は、慌ただしく動き回っていた。


 同じように別方向へ向かったレイの一行は、ライ達がそんな話をしていることなど考えることもなく、目の前の目的を遂行することに専念していた。

 仕掛けが有る場所の周辺に警戒網を敷きつつ、その中に含まれている建物にいる人達には、一時避難をお願いして貰った上で、仕掛けを壊す段取りで進めており、すでに二カ所目に挑んでいる状態だった。


「ここが終わったら、昼にしましょう。さすがに、空腹のままで進めるには、効率も悪くなるし、後に影響が出そうだものね」

「そうですね。じゃあ、もうひと頑張りしましょうか、みんな」

「「おぉ(あぁ)」」


 そんなこんなの一行とは別行動のナイゼルは、順調に神殿関係を巡回しつつ、任された場所を片付け、神殿関係者からの感謝の言葉もそこそこに聞き流して、先を急ぐので問題が有れば宰相殿にご相談下され、との伝言を残して街の外へ向かっていた。

 街の外へ出てから、少しばかり離れた場所で相棒のアルデラを呼び寄せるつもりであったので、とにかく街の外へ向かうルートを選択肢ながら進んでいた。

 その裏で、リンがまた何やらやらかしたようであるな、と感覚的には捉えていたのだけれど、それもまた後日、再会した時に詳細を聞けばいいだろうと考えていた。

 今回のあれこれは、リン一人に任されている訳でもないし、彼の兄と姉も一緒の街にいるのだから、と少しは安心出来る部分もある。

 あの兄と姉の様子を見るに、リンがとても大切にされていたと言っていた事も、十分過ぎるほどに納得がいったことでもあるので、ナイゼルは安心して彼等と別行動をすることが出来る状態にあった。


     *


 遅くなってすまない、と食堂へ姿を見せたアレクに、リン達はこの場を去るため、すっと席を立ち、出入り口の方へ移動した。

 合流してから、残る城内の問題箇所に向かう途中、リンが少し試してみたいことがあるのだ、と口に出した。


「何を試したいのかな?」

「えっと、次の仕掛けを壊す時に、カラルと瑠王に協力して貰って、この街の地下全体へ力を広げることが出来るか、それを試してみたいんだ」

「……それについて、協力する側としては、如何なものなのでしょうか」

「おそらく、この街くらいならば問題なく綺麗になるだろう。我にしても、大して力を貸すことなどないであろうし、リンの力だけでも成せよう。方向性を操作するという意味では、少しばかり力をかす事にはなるかと思うがな」

「そ、そうだね。僕の力任せだと、手当たり次第になりそうだから……そこは、よろしくお願いします。カラルも瑠王も、それでいい?」

「「全く問題ないぞ」」

「では、この街の地下に仕掛けられている全てを、リン君の力で一掃出来ると考えてもいいのかな?」

「上手く力が広げられたら、大丈夫だと思うよ。アレク兄ちゃん、何か問題有るの?」

「いや、ない。ないが、そんなに簡単に片付くのなら、どうしてこれまでに問題を解決することが出来なかったのか、とね」

「タイミングの問題だと思われますが、リン君がここへ来てくれなければ、まだまだこの先も煩わされ続ける問題であった訳ですし」

「そうよ、アレク。ヒルダの言う通り、何事も時機というものがある。今回が、偶々その時機に当て嵌まっただけだと考えなさい」

「はい、分かりました。では、この先になりますね。問題の場所は」


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