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砂の雫から出来た国へ  作者: 小野 茜
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59:皇都アシル-14

 一方で、ナイゼルの方もリンと同じように、城にあった仕掛けの一つが失われたのを感じ取り、これはリンに負けられんな、と自然に笑みが浮かぶのを止められなかった。

 それにしても、城の仕掛けが一つ失われたのと同じくして感じられるようになった気配に、あの地の皇族と契約を交わして守護に徹していた存在のことを思い出した。


「こんなことでもなければ、きっと思い出すこともなかっただろうが……リンのこと、おそらく興味を持たれて近くに引き連れることになっているであろうな」


 ナイゼルの言葉通りになっている訳だが、リンが際立っていることもあって、兄と姉の存在が薄まっているけれど、あの二人にしても逸材でで有ることは察することが出来る。

 界渡りの存在は、これほどまでに力に溢れているものなのか、と首を傾げる。

 否、そうではないだろう。

 蓄積された血脈に現れる中でも稀な存在だろうと思えるのは、リンとその兄、姉とを見比べて感じたことだ。

 それぞれに、程度の差こそ有れども優れている魔法の使い手ではあるが、リンは別格と言ってもいいだろう。


「しかし、あの三人が揃って動くとなれば、案外と早期に実現するかも知れんのぅ。自治領区の復活で、どのように変わるか……まだまだ死ぬには早いな」



 そんな風に思われている事など露知らずの面々は、とにかく事の収束に向けて動いていた。

 まず、レイとルーイ達が向かう先は、街の一般区に相当する領域で、ライとアズール達が向かったのは、同じ一般区でも、少しやんちゃな人が住まう領域だった。

 移動距離や、仕掛けを無効にするために必要な時間を考えて、とりあえず今日中に大きな危険を孕んでいる場所から優先順位で潰していくが、暫定で七日前後は掛かるだろうと算出されている。

 しかし、予想外の助っ人が参入したことで、おそらくもう少し早く決着が着きそうな流れに移行している。

 レイとライは、揃ってリンの負担を減らすべく、一つでも多く自分達の手で作業を終わらせたいと考えているし、リンの方でも早く終わらせたい思いは強かった。

 そこに、カラルという存在が予定外の登場と共に協力を申し出てくれたことで、リンの中では、この分なら地下から力を通して仕掛けを不発状態に近づけて無力化することも出来るのではないかとの考えが首を擡げていた。

 瑠王だけであったなら、その強引とも言える方策は無理があると思えたが、カラルが一緒に移動する話になった時点で、リンは少し試してみる価値があるかも知れないと思い始めていた。

 皇城の敷地内は、今向かっている場所とまだもう一カ所、時間的にそちらは昼を跨いでしまいそうな感じになるので、この後に一カ所が片付いたら、そこで昼ご飯を食べようと考えながら、足を動かしていた。


「そう言えば、カラルも瑠王と同じ? 僕達みたいな食事じゃなくて、属性力から必要なエネルギーを貰っているの?」

『そうだが、別に同じように食事をすることも出来るぞ』

「あ、そうだった。瑠王も僕と一緒にご飯食べることもあるから、カラルも同じなんだ」

『そういうことになるな。しかし、今は寝起きに近いから不要ではあるな』

「うーん。つまり、寝ていた間にエネルギー満タン状態で維持していたってこと?」


 そういうことだ、と返されて納得したリンだったが、その他の面々は、カラルと普通に接しているリンに感心していた。

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