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変わらぬ日々

「二次元美少女のような女の子、空から降ってこないかな…」


俺はひとりでにつぶやいた。


「なぜ空から降ってくるの?」


いかにも凡人らしいツッコミを言い放ったのは俺の友達、ポメズライアン・田中。通称ポメ公。


「空から降ってくる方がロマンティックってもんだろ?」


「お前の言葉を理解できる女の子だといいけどな」


あ、俺の名前を言い忘れてた。俺は与義あつきと申します。エロゲが好きな工業高校二年機械系で勉強させてもらってる。

ちなみにポメ公とは違う学校だ。ポメ公はうちの高校より少し偏差値が高い微妙な高校。


「ねぇ、お前彼女とか作らねえの?」


工業高校には女子が少ない。クラスに一人居たらいいなというレベル。だから俺は親友のポメ公に少し期待していた。むっちゃくちゃかわいい彼女を連れて来てくれることを。


「お前、もし連れてきたら俺から寝とるつもりでいるのか?」


必死で隠して高校二年間頑張ってきた俺の陰謀が、策士ポメ公に見破られた?!な、なんということだ!」


「お前なぁ…」


ポメ公は呆れ顔になる。

まずい、このままではポメ公の真の姿が全国放送で流れてしまう可能性が…!」


「ってか、さっきからなんで心の声を思いっきり声に出して言ってるの?ついに頭がいかれたか?」


俺の心の声がこいつには聞こえていたらしい。

な、なんと恐ろしいやつッ!?俺の陰謀を見破るだけでは飽き足らず、俺の心を読み、そして弱みを握って俺を奴隷にするつもりか?!なんてやつだ!クズすぎる!」


「だから全部声に出てるんだよ!なんで気がつかねえの?!」


…なん…だと…


「声に出てた…だと…?!」


「あぁ、しっかり大きな声で」


それはいけないな…俺の今日のパンツの色とか道行く人のヒップラインを視姦していたこととかが漏れていないことを祈る」


「…もう何も言わねえわ」


_________________________________________



みなさーん、コーンニーチハー!

今私は、流医るいくんの家の前に来ています!26歳独身職業無職で広告料収入やFXに頼っているやつです!ちなみに家族と暮らしてます!

家族構成は母父妹です。母父は何をしてるのかよくわからないです。妹さんは中学二年生なのですヨォ!ハァハァもんですね!

ちなみに、私は彼にエロゲを借りています。

私の家族は全くこの人たちのことを知らないですが、私は彼ら一家ととても親しくしていただいてます。変態一家なので。


「おっじゃまっしまーす」


インターホンもノックもしないでいきなりドアを開けて入っていく。


「おかえり〜って、与義くんか〜いらっしゃい」


この呑気な人が母親らしい。事実、マジでお綺麗です。

ちなみに、この人にあることを言うといいものがもらえます。


「今日も美人ですね〜夜を共に過ごしたいぐらいですよ〜」


「またまた〜若いうちから熟女を喜ばせるのが得意なんて…罪な少年ね…そんな君には流医の分として買ってきたエクレアを授けようか」


心の中で『イエッスッ!』と叫びながら袋を開けて食べ始める。

なぜそんなにすぐに食べるかというと…


「ちょっとマッタァァアアアア!!??」


人間とは思えないスピードで自分の部屋からリビングへ駆け込んでくる流医。だが時すでに遅し。俺はもうすでに食べ終えている。

ドヤ顔をしながら俺はこう言った。


「そんなに急いで、何かあったのか?」


「キィィサァァマァァアアアア!!エクくんのことカァァア!?」


エクレアをエクくんと呼ぶとか…なかなかいいセンスしているね。と、心の中でほんの少し、ミジンコ程度に感心した。


「うるせえよ玉無し」


俺に対する対応と息子に対する対応をかなり変えるこの母親はすごいと思う。あ、この人の呼び名は雪さん。本名知らん。


「玉無しって!あれは不慮の事故であって、俺は別にマイビックマグナムを破壊したかったわけではないんだって言ってるだろ…?」


流医は昨年の今頃、バイクとの接触事故で玉を潰している。彼は迫り来るバイクに対して、何を思ったのか開脚ジャンプをした。そしてライトの部分が大事なところにクリティカルヒット。そっからは察してください。

そして、玉のなくなった逸物に価値などないと言って彼は逸物を切り落とした。


「ん?待てよ…今ここにいる中で、ただ一人だけが玉アリだ…」


「なに騒いで…って与義?!いつからいたのよ?!ちょっと呼んでよ〜」


兄の言葉を遮るように居間へやってきた妹さん(通称 つぼみ )。彼女の部屋と夫婦の部屋は二階にある。みんな呼びに行くのが面倒なのだが、だいたいは騒いでる声で居間へと集まってくる。


「与義だけが逸物を持ってる…若い男…」


…おっと?雪さんの目の色が変わったぞ?なんだこの空気…


「かかれ!」


雪さんの合図とともに動き出す悪魔たち。

悪魔二匹に腕足を固定され、俺は雪さんの魔の手から逃れられない状態となった。


「ちょっ!お前ら家族増えちゃうよ?!この人結構本気だよ?!いいの?!」


「与義が家族になるのはいいことだもん」


「お前が不快になると俺は愉快になる!」


こいつらダメだ。さすが変態一家。

いや待てよ…一人いない。今日は休日、つまり世の中のお父さんたちは家で待つ最愛の妻とキャッキャウフフなプロレス大会に励んでいるはずだ。なのに、ここにはキャッキャウフフなプロレス大会をここで開催しようとしている輩がいる。相手がいないから俺のところへ来たのだな?!いい迷惑だ!


「ディルド先輩!助けて!ディルド先輩!」


ディルド先輩とはこの家の大黒柱のはずであるお父さんのことだ。このあだ名は中学校の頃に付けられたらしい。

俺の声が届いてか以心伝心かはわからないが階段を駆け下りる音がする。

ガチャっと今の扉が開かれる。俺は勝ったと思った、が。


「おっ?面白いね〜撮影させてもらうよ〜」


突然ビデオカメラで撮影を始めた。AVでも撮ってるかのようなにやけっぷりで。


「ほら!お父さんも許したよ!子作りしまちょうねー?」


「ギャァアアアアアア!!?」


俺はこの後必死でもがき、なんとかパンツの下は死守した。

安直な考えでお世辞を言うもんじゃないと学んでしまった。


_________________________________________


「ってことがあったんだよ!」


俺は今休み時間中に友人の母親に童貞を奪われかけた真実をありのまま伝えた。


「そのまま卒業すれば良かったのに。結構美魔女系じゃん?しかも37でしょ?どうやって最初の子供産んだんだよってな」


「あの人が産んだ娘は妹だけだぞ?」


実はあの一家、バツイチ(46歳)で子連れのディルド先輩と雪さんの年齢差婚をされているのだ。やりたくても、年齢的に無理なディルド先輩。だから雪さんは有り余った性欲を俺で発散しようとしている。そしてディルド先輩はそれを興奮材料として一人で夜のお楽しみをしているのだとか。

それを教えてなかったからか、何か勘違いしていたようだ。


「じゃあ…あの変態一家随一の実力派変態、流医さんが血を受け継いだ(おそらく)ど変態女性は、雪さんじゃない…だと…?!」


「雪さんのお姉さんだよ。死んじゃったから今の状況があるわけ。ちなみにだが、お姉さんが死んで一年後に結婚、そしてその年はつぼみが生まれた年でもある」


俺と流医があったのは俺が幼稚園の頃。詳しくは覚えてないが、エロ本を求めて公園を歩いてたところ流医とあったしまったらしい。


「面倒くさいな〜…まあそんな家族事情は俺たちには関係ねえがな!」


あ、紹介し忘れてたが、こいつは小十郎こじゅうろう。立ち位置的にはボケが多めなやつ。


「俺たちはその家族との関係は与義の話を聞くだけだもんな。ちょっと会ってみたいけどな」


こいつは菊紋きくもん。通称キクタム。嘘ですごめんなさい。心の中で俺が呼んでるだけで、だいたい菊紋と呼んでいる。キ◯タクっぽくていい響きだと思うんだがな…

彼はだいたいツッコミ担当です。エロ用語などにツッコミを入れてくれる善良な人間。


「お前らなぁ、あの家族は危険だ。俺の身になればわかる。だから俺と合体しろ!」


「いや意味わかんねーよ!ってか合体とか、絶対下ネタだろ?!」


さすがツッコミが早い。キクットトンスターのツッコミタイプなだけはある。ボケタイプに友好的な攻撃を持っている。だが、サメタタイプと馬鹿には効果は今ひとつなのが難点。


「逆に下ネタじゃない合体って?」


真顔で乗ってくれる小十郎。さすが、わかってるな。


「そりゃあ…色々あるじゃろ?」


「例えば?」


「超合金合体とか戦隊ヒーロー物とか」


超合金合体とはなんなのか、全くわからない俺は他の奴らがわかってるかの確認のため、周りを見渡す。

全員が全員、キョロキョロと周りを見渡している。おそらく、俺と同じことを考えたのであろうな。

なのでここは言い出しっぺである俺が聞くとにした。


「超合金合体って?」


「え?!超合金合体知らないの?!俺も知らない」


ツッコミがボケると誰もツッコミをする人間がいないので寂しい結果に終わる。

寂しい結果、つまり静まり返る。


「…このクラスに、ツッコミ役をもっと割り振って欲しかった」


菊紋の切実な願いだった。彼はスッと席に着いた。周りにいた茶番劇閲覧者たちも居た堪れない気持ちになったのか、次々に席へと戻っていく。

俺はこの時思った。このクラスの中ではボケで良かったと。

そして俺も着席しようとした。

が、


「チンポジが悪い…今日は雨が降るな」


「どういう理屈だよ」


てっきり落ち込んでいると思っていた菊紋は的確なツッコミを入れてくれた。

だけどもそんなことより俺はチンポジの方が大切だったため、彼の言葉に全く反応しなかった。


「ちょっと真面目にチンポジが悪いんだが…クァッ!?」


男の人にはわかってもらえると信じている。

ポジションを直している時に、大事な毛が抜けるととてつもない激痛が股間全域を襲う。

俺は痛みに耐えきれずに膝をつく。

半泣きだった。

女性にはわからぬ痛みだろうな、とまともな異性の知り合いがいない俺は心の中でぼやく。

そんな時に彼は現れた。


「ほら〜さっさと席つけ〜与義、お前の身に何があったか知らないが、さっさと席につけよ」


担任代理、つまり教育実習生の人だ。昨日きたらしい。

やたらフレンドリーで腹がたつ。大っ嫌いだ。


「教育実習生の分際で、この私にたてつくか?」


「うっせっ、さっさと座れ」


俺はこみ上げる怒りをぐっとこらえて席に着く。

俺は考える。やつをどうにかして負かしてやりたいと。


「今日は誰が休みだー?」


奴は今、出席の確認をしている。

そして俺は思いついた。奴に敗北の二文字を与える方法を。

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