第八話
「ッラァ!!」
「ブギィッ!」
俺はオークの頭部を殴り飛ばし、無力化する。
チラリと雫を見ると、向こうも問題なくオークを屠っていた。
しかし・・・
「一体、どんだけ居やがるんだよ・・・」
既に俺と雫を中心に、かなりの数のオークの骸が転がっていた。
20迄は数えてたんだが、その後は億劫になってきたので数えてはいない。
「そこの2人!1匹抜けたぞ!!」
「ハ、ハイッ!」
「オウッ!」
俺の声に反応して、ロイとナナは武器を構えて俺達が討ち漏らしたオークを倒していく。
次第に周囲のオークの数が減って来た時、俺達は安堵した。
「雫!そろそろ尽きるか?」
「主様!こちらも終演かと・・・」
ようやく終わりが見えて来たか。
「助かったのか?」
ロイがそう呟き、ナナは力無くその場に座り込む。
「ラスト!!・・・・っと、終わりだな」
最後の1匹を倒し、俺は息を吐く。
しかし、数が異常過ぎるだろ・・・コレは。
「2人共」
「「?」」
「オークってのは、こんなに大量に発生するモンなのか?」
「いや、普段は集落を作っているオークでも多くて50程だ。こんな数は明らかにおかしい」
ロイの回答に暫し考える。
今回のオークはどう見ても50を軽く超えている。
だとしたら、異常事態なんだろうが・・・。
「それを調べるにしても・・・」
今じゃ無理だな。
俺と雫は良いとして、ロイとナナは疲弊しきっている。
仲間の死も精神的にきてるだろうし・・・。
「とりあえず街に戻ろうか。今回の件をギルドに報告しなきゃならないしな」
俺の意見に反対する者も居ない為、俺達は一度、街に戻る事にした。
「雫、殿を頼む」
「御意に」
街に戻った俺達はギルドへと向かった。
ギルドのカウンターで、まずはロイとナナが報告している。
「なぁ、雫」
「なんでしょうか?」
「今回の件、周りの話からすると異常事態なんだよな?」
「こちらの常識がわかりませんが、おそらくは・・・」
「んで、今回のオークの数は異常に多かった訳だ」
「はい」
「で、それを俺と雫で倒したんだが・・・それは恐らく・・・」
「目立ちますね」
・・・・ハァ。
やっぱりか・・・。
俺は天井を仰ぎながら、心の中で溜息を吐いていた。
ロイとナナの報告が終わり、今度は俺が報告する事となった。
「オーク討伐依頼の為、森に入ったが暫くは対象とは遭遇しなかったが、彼らが茂みから現れた後、大量のオークが出現。二人の疲弊具合から逃走は無理と判断して迎撃・・・で、今に至る訳だ」
カウンターの受付嬢にギルドカードを差し出しながら、簡潔に報告をする。
「なるほど。ロイさん達の証言とも一致していますね・・・あ、ギルドカードお預かりします」
顎に指を当てて、うーん・・・と唸る彼女は差し出されたカードに気付き、受け取ると横に置いてあった水晶にかざす。
「ったく。オークってのは、あんなに湧き出るモンなのか?台所のGかと思ったぞ・・・」
「台所のG・・・?」
俺のつぶやきに首を傾げながら聞き返してきた受付嬢。
いや、律儀に独り言を拾わないでくれ・・・。
「・・・はい、出ました。今回の討伐結果ですが、オーク92・・・体、ハイオーク・・・34・・・・体・・・・・・・・オ・・・オーク・・・キン・・グ・・・・・・13体・・・・」
目を見開いたまま、ギギギ・・・と擬音が聞こえてきそうな感じで、ゆっくりと俺の方を向く受付嬢。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
ついつい、見詰めあったまま沈黙する俺と受付嬢。
あ、何かイヤな予感・・・・・・・・。
「ギ・・・・」
「・・・・・・ギ?」
「ギルドマスタァァァァァァァァァッ!!」
「ウホッ!?」
ほら、やっぱり・・・。
「流石、主様です」
いや、それ褒めてないからね!?