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第三話

「ん・・・くぅ・・・」


あれから一夜開けて朝を迎えた。

朝日に照らされたオレは目を覚まし、身体を伸ばす。

視界には朝日に彩られた中世ヨーロッパ風の町並み。

路地には朝早くから人々が行き交い、活気があった。


「なかなかにデカい街だよな」


ん?俺がどこに居るかだって?

とある民家の屋根の上です。

いやいや、仕方がないだろ?

どんだけ治安が悪いのか分からない場所で誰でも手が届く所に身を晒すのは流石にマズい。

宿を取ろうにも、金がないからなぁ・・・。


て事で、とある民家の屋根の上をちょいと拝借して一晩明かしました。

住人の皆様、あざーっす!


「さて・・・」


俺は立ち上がり、服に着いた埃を払う。


「とりあえず、金がいるな・・・。あとは住む場所か・・・」


住む場所は宿で充分だが、金は・・・まぁ、こんな場所だ。小説や漫画よろしくアレはあるだろ・・・。






フード付きのローブを纏い、顔を隠して街を歩く。

昨日の夜のうちに、街の構造は大体は把握した。

今、歩いてるのはメインストリートっぽい大きな道だ。

周りを見ると、沢山の人が行き交っていた。


「すげぇな・・・お?」


ふと俺の目に止まったのは、全身を鎧に包まれた人物。横には長い杖を持った女性が歩いていた。


「間違いなくあるな・・・」


俺は目的の場所がある事を確信して、雑踏の中に消えた。





「ここか・・・」


俺は今、ある建物の前に立っている。

外見は他の建物と同じ様に見えるが、大きさはかなりデカい。

建物の周りには、少々・・・いや、かなり厳つい男達が建物に出たり入ったりとしていた。

勿論、女性の姿もあるが比率的には男の方が多い。


「とりあえず入るか」


こんな所で突っ立ってても仕方が無いから、とにかく入ろうか。





扉を開けて建物の中に入ると、中はそんなに人は居なかった。

テーブルを囲み、話し合いをしているのが2組。掲示板らしき物の前に立って、張り出されている紙を見ているのが数人。

まぁ、想像より少ないかな・・・。

俺はそのまま受付らしきカウンターへと向かう。


「冒険者ギルドへようこそ。ご依頼ですか?」


にこやかに対応する女性。

緑色の髪をポニーテールにして対応する姿は、眩しいぜっ!


「いや、登録をしたいんだけど・・・」

「新規の登録ですね。ありがとうございます」


ぺこりと頭を下げる女性。

歳は俺と同じくらいだろうか。異世界の住人だから見た目通りの年齢とは限らないだろうが、外見は17〜8位だ。

つーか、この世界、美人率高くないか?間違いなく万人が認めるくらいにこの娘は可愛いぞ?


「登録に費用は掛かるのか?」

「いえ、新規登録であれば無料です。ですが、再発行に関しては有料になります」


良かった。有料ならどうしようかと思ってた。


「では、こちらの用紙に記入をお願いします」

「あ、はい」


用紙を受け取って記入をしようとして、ふと手が止まる。


ヤバっ・・・俺、こっちの文字が分かんね・・・・ん?

用紙を見てみると・・・。


(あら・・・理解できる)


何でだ?

まぁ、深くは考えずにラッキーと思っておこう。


俺は名前と年齢を記入して受付の女性に差し出す。


「住所はまだ決まってないんだけど・・・」

「では、宿泊している宿でもいいので、決まりましたらお教えください」


なるほど、宿でも良いのか。


「はい・・・名前はクレーエ様で宜しいですね?」

「あぁ」

「承りました。ギルドカード発行まで少々お時間が掛りますので、その間にギルドの説明を致しますが宜しいでしょうか?」

「お願いします」

「では・・・・」


まぁ、それから長々と説明が続いたのだが、要約すればギルドメンバーにはランクがあって、頑張ればランクが上がりますよ。依頼中の負傷や死亡等は自己責任ですよ。って事だ。


因みにランクは上からS・A・B・C・Dとあり、新人はDから。

依頼は自分のランクのひとつ上までは受けれるが、下は受けれない。

高ランクになれば、色々と待遇が良くなるらしい。


「・・・以上になりますが、何か御質問等はありますか?」

「特には無いですね」

「分かりました。では、こちらがギルドカードになります」


差し出されたカードを受け取る。


「今後のクレーエ様のご活躍を期待しております」

「あぁ、ありがとう」


俺はその場を立ち去ろうとした時・・・。


「ガキが冒険者?ハッ!ガキはガキらしく家に帰ってママのオッパイでも吸ってな!」


と声が聞こえてきた。

チラリと見ると、二人の男が酒でも飲んでるのか、俺に対して笑いながら言葉を発していた。

まぁ、こんな場所だ。多少は荒くれ者、無作法者が居てもおかしくはない。

余計な揉め事を起こすのも得策ではないと、俺は無視して足を進める。


「ビビっちまったか?」

「何も言い返せねぇなんて、情けね!?」


そこまで言って男の口が止まる。

その理由は・・・。


「それ以上、主様を愚弄してみろ。その首、切り落としてくれる」


雫が短刀を男の首筋に突き付けていた。

男は突然の事に状況が把握出来ていないのか、目だけを動かして雫と短刀を交互に見ていた。


「ハァ・・・何やってんだか・・・」


俺は頭を振り、呟く。


「何だ?ねぇちゃん・・・」

「どっから現れやがった・・・?」


二人とも状況が把握出来てないみたいだな。

そりゃそうか。突然、目の前に人が現れ首に刃物を突き付けられてるんだから。


「・・・雫、やめろ」

「ですが、主様!」

「同じ事を二度も言わせるな」

「!?・・・ハイ」


雫は渋々といった感じで短刀を収め、俺の傍らに来る。


「そこの二人も悪かった」


俺の言葉が聞こえたのか、コクコクと首を縦に振る二人。

どうやら揉め事は回避出来た様だ。







さて、金作りの為に一働きしますか・・・。








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