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秘密の裏側


「優奈ー……」


「大丈夫? 昨日雨の中にいたからだよ。待っててくれたのは嬉しいけど、屋根のあるところで待っててくれても良かったのに」


「だって、あそこなら早く優奈を見つけられるし……」


「それはそうだけど……」



あの出来事の次の日。

光輝が風邪を引いた。

まぁ、あたりまえっちゃ当たり前なんだけどね。

だってお風呂から出て来た後、しばらくあのままでいたんだもん。



「まず、熱測った?」


「まだ」


「絶対高いよ。体温計どこ?」


「そこの引き出しの奥のほうにあると思う」


「んー」



引き出しの奥?

どこだー。

……あった。

というか……。



「水銀!?」


「あー、引っ越してくるときに家から適当に取って来たらそれだった」


「そうなんだ。じゃあ、時間かかっちゃうけど脇に挟んでて。私何か作るから。なんか食べれる?」


「なんでも」



なんでもかぁ……。



「わかった。三分くらい経ったら体温教えて」


「うん」



光輝、本当に元気ない。

大丈夫かな?


とりあえず、定番のおかゆでも作りますか。

キッチンへ向かうと、きれいに整理された用具たち。

ちゃんと料理もしてるんだ。

棚を適当に開けて小さいお鍋を探す。

うーん……あった!



「優奈ー。三十九度ぴったりー……」


「え!」



嘘でしょ?

慌ててキッチンから出て体温計を見ると、たしかに三十九度だった。



「光輝、今すぐ寝な? あ、でもまずはおかゆか。ちょっと待ってて。すぐ作っちゃうから!」


「わかった」



まさか三十九度もあったなんて……。

大急ぎでおかゆを作る。

卵粥でいいか!

約二十分で作り上げた私。

がんばったなぁ。



「光輝ー。おかゆでき……たよー?」



持っていくと、そこにはベッドで気持ち良さそうに寝ている光輝が。

おかゆを近くのテーブルに置いて寝顔を眺める。

キレイな肌してるな。

じゃあ、邪魔しちゃいけないしおかゆはここに置いて夕飯も作って帰ろうかな?

そう思って立ち上がり、一歩踏み出すと足元でカシャンと音がした。

ん?

下を見ると、いつも光輝が持っているキーケース。

そういえば、どうしてあんなに鍵がついてるんだろう?

悪いと思いながら、拾い、中を見ると丁寧な文字で書かれたシールがそれぞれの鍵にくっついている。

その中に『部屋』と書いてある小さい鍵があった。

自然とあの部屋へ目線を移す。



「光輝ー?」



小声で呼びかけてみるけど、反応がない。

大丈夫、かな?

昨日光輝は“開けたら一緒に居られなくなる”って言ってたけど、そんなにヤバい物ってこと?

……気になる。



「ちょっとくらいなら、大丈夫だよね?」



スヤスヤと寝ている光輝を再度確認し、音をたてないように部屋の前へ行く。

そして昨日開かなかった原因を探していると、扉の下のほうに小さな鍵が刺さっているのが見えた。

これかな?

さっき見つけた鍵を鍵穴に差して回すと、カチャと小さな音を立て、外れた鍵。



「…………」



扉をそっと開ける。

光輝は今も気持ちよさそうに寝ているのが、寝息が聞こえてくるから分かる。

……というか、熱高いのになんであんなに気持ちよさそうに寝ているんだろう?

少し疑問に思いつつ、開けた扉。



「え……?」



そこには普通の机、普通のクローゼット、普通の椅子と、なにもかも普通の部屋だった。

私はそっと入ると、あることに気付いた。

……この部屋、家具に全部鍵がかかってる。

机の引き出しはもちろん、クローゼットにも南京錠がかかっていた。

キーケースを見ると、『机、引き出し、上』や、『クローゼット』などのシールが貼ってある鍵があった。

とりあえず、一番近い机の引き出しを開けてみることに。

鍵の『机、引き出し、上』という鍵を取り出して差してみると、あっさりと解除された。

あー、ドキドキするー。

何が入ってるんだろう?

恐る恐る開けてみると、そこには女物のグッズがたくさん入っていた。

中には、ハンカチに包まれて大事そうに保管されているものもある。



「なにこれ? 浮気?」



思わず声に出して、その品々を見ていると、だんだんと違和感を覚え始めた。

これって……。

手にしたのは先週なくしたはずの手鏡。

てっきりメイク直しの時にどこかのトイレに忘れてきたと思っていたのに、なんでここにあるの?

その他の品も、以前、私がなくしたものばかりだった。

これが光輝の秘密……?



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