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チートな俺は、Gクラス。  作者: 夜来
チートな俺は、Gクラス。
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第6話:アルトは、王都エクシリア探索に出かけた。

―――王都エクシリア。


このエンヴァー大陸には、「四大国」と称される4つの大きな国がある。

そのうちの1つ、「ガフリア王国」の首都。 それがこの王都、エクシリアなのである。


その大昔、テンプレ世界(ワールド)には良くある魔王軍の侵略がこのエンヴァーにもあったらしい。

そして、これまた良くある勇者の活躍で平穏を取り戻したヒュマン・エリア。

その勇者…エクシルという名前だったらしい…がその仲間と共に小さな町に住み着き、その町が次第に大きくなった結果、王国となったらしい。


王都と言うだけあってそれはそれは繁栄しており、王族の住む「エクシリア城」を中心に、同心円状にひろがる都だ。

王城に1番近い円のエリアには、位の低い王族や富豪たちが住み、2番目の3分の2には平民、もう3分の1には貧民。3番目には商人、つまりは店が広がっている。

空から観察すると、綺麗に分けられているという。

これは、やはりと言うか外敵からの攻撃を防ぐためであって、敵が王城へとたどり着く前に体勢を整え、迎え撃つということらしい。



――Side アルト――



「さーて、着いたよアルト! 此処がガフリアの首都、王都エクシリアさ!」


「へぇ…凄いね。 …あの大きな城がエクシリア城だよね?」


「そうさアルト! やっぱり大きいなぁ…」


王都に着いた俺とナシズ爺は、まずはその都の大きさと、1番城から遠い商人のエリアから見ても圧倒される城のデカさに驚いた。


正確には驚いているのは俺だけで、ナシズ爺といえばこの光景を懐かしんでいるかのよう。


エクシリアのエリア区分はかなり厳しいらしく。 王城、王族・富豪、平民、貧民それぞれのエリアには全くお店というものが無いらしく。

つまりは、商人エリアには5つのエリアすべてから人が集まってくるのだ。1番面積が広い、3番目の円のエリアに陣取っているというのも頷ける。

周りを見てみる。 人間が居る。 蛙っぽい顔した魔人が魚っぽい魔獣を売っている。 トラの魔人の女性がその子供(?)を連れて歩いている。


そう、色々な人が居るのだ。 つまりは、めっちゃ平和。


「それじゃあ、まずはお店を見ていこうか!」


「うん、そうだね」


今日、このエクシリアに来たのは元々は買出しが目的。 まずは買うべきものを買って、それからゆっくりと散策でもしようかな。



――――



「うーん、アルトにはこれかな!」


「え、待った待った! これ完全にメイド服じゃん! 着れるわけないでしょ!」


「まぁまぁそう言わず! これも体験の一部だから、さぁさぁ!」


「〈電矢(スパークアロー)〉!」


「Oh~! …流石はハニー直伝の魔法だね! かなり威力があるよ!」




…服屋に立ち寄った俺達は、店内(・・)でそんなことをやっていた。 店長かな、エプロンをつけた綺麗な金髪の女の人は唖然としている。

ほんとに何やってんだろうか。俺達。 っていうかナシズ爺、俺の魔法喰らってピンピンしてるし。 これがギャグ補正という奴か。

結局、今着ているような茶色い服などを買って、俺達はそこを出た。



――――


「爺ちゃん。 お…僕、ちょっとエクシリアを散策してみたいんだけど」


「うん? あぁ、私なら勝手に回っていくから良いよ! えーと、4時ぐらいになったら西門の出口に来てね!」


「…はーい」



しかし、店めぐりは結構暇である。 だんだんそう思ってきた俺は爺さんにそう提案した。

意外とあっさり、爺さんは了承してくれたのだが…。 良いのか爺さん、知らない所に1人にして。エクシリア、結構広いが。


まぁでも、許してもらったものは遠慮なくやるのが俺だ。 今は1時。あと3時間はこのエクシリアを満喫できるわけだ。

…といってもお金があるわけではなく。 ブラブラ歩くだけとなりそうだ。



―――



俺はその後、王族・富豪エリア、平民エリア、そして商人エリアと好き勝手に歩き回った。


王族・富豪エリアでは、優雅にドレスを着こなす麗人や、漆黒のタキシードが似合うイケメンが闊歩していた。 うわ、さすが富豪エリア。

平民エリアは、俺と同じような服装をした人たちがたくさん。 公園があったが、子供が無邪気に遊んでいて、元気だなぁとか思っていた。

商人エリアは少しだけ。 アポロという、宇宙船のような名前で林檎のような形の果物を見ていると、店主(ライオン顔の魔人?)が一欠けくれた。

強面の癖に、性格は優しいなぁとか思ってしまったな。 あ、味は林檎みたいで、甘くて美味しかった。

…流石に城までは入れなかった。 まぁ、縁はないだろうし、良いか。


まぁしかし、これ歩いてもまだ10分の1も踏破していないらしく(パンフレットより)。 改めて「王都」と呼ばれる由縁を理解した俺だった。


―――


さて、そんな時間もあっという間に過ぎ、もう少しで4時だ。

平民エリアに居た俺は時計でそれに気付き、もう帰ろうかなー…などと軽く欠伸をしながら立ち上がり、背伸びをした。




「キャアアアアアアァァァァァァァ!!!!」




…突然聞こえる女性の悲鳴。 あぁ、テンプレだから、良くあるよね・・・なんてことは当時思わなかったな。

でも、尋常ではないことは良く分かった。 ちょっとだけその方へと振り向いた俺はその事を理解すると、急いでその声の元へと向かった。



「…どうしたんですか?」


「あ、あそこにバーディンが2体…今、剣士のお嬢ちゃんが戦ってるっぽいけど・・・」


その声の元へとたどり着くと、人がたくさん集まっていた。

適当に、近くにいた女性へと何が有ったか聞いていると、そんな答えが帰ってきた。


バーディンとは、鳥型の魔獣だ。 体長は2mくらい。 一応飛べるが、その主な攻撃方法は、異常に発達した脚で繰り出す蹴りである。 

普段は鳥らしく、ジャンガーやヒュマンの空を駆け回っている。 実際俺もソツタで見た。

だが、空から降りてくることは少ない。 しかも、人と戦闘しているとなると珍しいことありゃしない。

性格は基本穏やかなはずだが、今居る2体は凶暴な性格らしい。

しっかし、そいつらの相手をしてる剣士のお嬢ちゃんとは、なんとも肝の据わった奴だなー・・・と思い、その姿を見てみたくなる。

まぁ、人の(さが)ってやつだな。 人を掻き分けながら、そいつの姿を目にしようとした。


「くっ、このっ! たかがバーディンの癖にッ!」


ドーナツ状に広がる人の群れを押し退け、その5mほどポッカリ空いた穴の部分を見た俺。

其処では金髪の、俺と同じくらいの歳であろう少女が剣を振り回し、バーディン2体と戦っている光景だった。

そんなことを叫びながら戦う少女。 バーディンはそれを嘲笑うかのように強靭な脚を使って高く跳び、素早く動き、剣はまったく当たってない。

それに全く気付かず、しかも、俺は爺さんに一応剣の振り方を教えてもらったが、その観点から行くと少女の剣の扱いは下手くそ。

ただ振り回しているだけ。という感じだ。 「一応」教えてもらっただけの俺が言える立場ではないが。


しかし、此処の民衆は少女を助けようともせず、ただ見ているだけって感じだ。 そんなにバーディンが怖いのか。

そういえば、よくよく見てみるとこの民衆の中には俺ぐらいの歳の奴と、40代以上のおっさんおばさん以上しかいない。


なるほど、バーディンを倒せるぐらい強い奴がいないのか。 ということは、この女の子は無謀にもバーディン2体に挑み、苦戦しているのか。

これはひどい。



ザシュッ!


そんな、物を切り裂く音がした。 見ると、少女の放った一撃が偶然一体のバーディンの翼に当たったらしい。

「やった!」…そうやって小さく言う少女。 いやそれ、フラg…。


…言わせねーよ!とばかりに、もう1体のバーディンは少女の隙を突いて背後に移動していた。


…これはやばくないか?


そう思ってる間にも、そのバーディンは右足を浮かせ、渾身のキックを放とうとしている。

うん、ヤバイね。 女の子、その事に気付いてないし。 余韻に浸る前にやることがあるだろうがッ!



自然に体が動いた。 あぁ、そのときは思わなかったが、きっと補正って奴だろうな。 主人公補正。

しかし、もうバーディンがキックを放つまで0コンマ何秒しかないだろう。 距離はおよそ5m。 届きそうで届かない、そんな距離。



間に合わないか…?  …くそ、俺にもっと速さがあれば…。



そう思った途端だ。 そう、あれはベアルに押し潰されかけて【チカラ】が開花した時と同じような感覚。

その力の源みたいなのが、今度は脚に集まる。 またも、直感みたいなのが俺の頭を(よぎ)った。



―――――――行ける!



途端、景色が溶けた。 先ほどまで正常に見えていた周囲が微かにぶれ、その一瞬後には目の前にバーディンが居た。

5mもの距離を、一瞬で詰めた訳だ。


「グエッ!?」 と、俺が突然視界に入ったことによりバーディンが驚きの鳴き声をを上げようとし(・・・・)た。

しかし、その鳴き声は「グ」で止まった。  何故か? それは、そのバーディンの腹に、何か、深く深く沈みこむものがあったから。



そう、それは俺の拳。  バーディンが目の前に来た時点で右腕を引いていた俺は、バーディンの腹に向かって正拳突き(ストレート)を叩き込んでやったのだ。



「ギャアアァァァァ!」 と甲高い声を上げながら、その大きな体は吹っ飛ばされる。その進行方向に居た民衆の目の前に落ちたそいつは、苦しそうに声を上げた。

む、気絶しなかったか…。 などと思っていると、先ほど剣で怪我したバーディンが立ち上がり、なにやら五月蝿く鳴き声をあげる。

俺の拳に沈んだバーディンもギャアギャア五月蝿く鳴くと、シンクロしたかのように2匹は立ち上がり、大空へと舞いあがっていった。



…骨を数本折った感触が有ったんだが、アイツ大丈夫かな…。



達者でなー…と、もう既に見えなくなったバーディンを思い、脳内でハンカチを振っていると、後ろから何かが立ち上がるような音が。

後ろを振り返ると、先ほどの少女が立っていて、体についていた砂を払っていた。


ん? あぁ、さっきのストレートで驚いて尻餅ついたのか。 健気だね。


「あ、あのー…」

「…何?」

「あ、えっとぉ…助けてくれてありがとう…」

「あぁ、良いって良いって」


なんだ、何か恥ずかしがりやな性格っぽいな。 さっきの剣振ってるときとは大違い。 もしかして、仕事になると性格変わるタイプだろうか。


「あの、私エイナって言います。エイナ=ユーグリッド。…名前聞かせてもらっていいでs…良い?」

「ん、俺?…アルトって言うんだ、よろしく。 …あっ、…あーチクショウ! 4時過ぎてる! …じゃあなエイナ!」

「えっ、ちょっと…」


同じくらいの歳だからだろうか。 敬語かため口か迷っているようだ。 俺は当然ため口。

何気なく時計を見ると、指しているのは4時10分。 オーマイガッ! ナシズ爺怒るかな…。

そういうわけで、その少女、エイナとの話を強引にぶっち切った俺は、エイナの困惑する声も聞きつつ、人を掻き分け、エクシリア西門へと向かった。


西門へたどり着いた俺は、やはり待っていたナシズ爺に怒られはせずとも、ちょいと注意させられた。 気をつけます。





―――こうして、アルト=シューバの一日王都探索は終わった。

ふぅ、文も気分も乗らない\(^o^)/オワタ


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