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チートな俺は、Gクラス。  作者: 夜来
チートな俺は、ネームレス。
43/51

第39話:アルトは、黒髪少年とすれ違った。

もう年末ですね。クリスマス? 何それ美味し(ry

さて、「ネームレス」編後半戦です。張り切っていきましょう。




クリスマス・・・(´;ω;`)グスッ

――Side アルト――



……というわけで、俺達はローカルド大平原から9時間掛け、やっとこさエクシリアに帰ってきた。

復路は、全くといって良いほど何もなく、至って平和だったな。しいて言えば、後一発残っていた正拳突き(ストレート)をダントに食らわせたことかな。

ダントのあの顔といったら……今でも笑いそうになる。あれだ、北○の拳で「○べし!」された奴の顔みたいな。まぁ、ぐしゃぐしゃにはなって無いけど。



「アルト=シューバ。私に対して何かものすごく失礼なことを考えてないか?」


「お前がそんなこと考えてるのが失礼だ。詫びろ」


「1発殴「40倍にして返すがそれでも良いならやっていいぞ?」……クソッ……」



……後悔も反省もしていない。だってあのダントだし。ルビに「まけずぎらい」と振られるあのダントだし。メタ発言は美味しい物だ。そうに決まってる。

またも、結局ダントの拳が唸ることは――こうやって言うと格闘漫画みたいだが――なく。俺の40発も消えた。何だ、残念。



さて、いい加減馬鹿なこと言ってないで、今の状況を説明しようかな。只今俺達は、エクシリア内、もっと言えば、ギルド「Hero's Blood」の中に居る。


右側の「掲示板」では、相変わらず幾多のギルダー達が依頼(クエスト)内容を吟味し、自分に合う物を選んでいる……あ、今1人依頼紙を取った。

左側の「酒場」では、「Hero's Blood」では何時ものことらしく、クエストを終えた屈強なギルダー達が祝いだとばかりに酒を飲み干していっている。



「ガッハッハッハ!! ギルダーは楽しいぜぇ! 食堂の仕事なんて忘れちまう!!」


仕事しろおっさん。



いやぁ、左と右で雰囲気がこんなに違う施設って見たこと無いな。右側に居るギルダーが、五月蝿いと左側に斬り込んでもおかしく無さそうなのに。

それは、まぁ色々とあるんだろうな。詳しいことは面倒だから探らない。俺クオリティというやつか。


……で、中央の「受付」でも変化無く、可愛く綺麗な受付嬢達が3人、右、左、中央に分かれて可憐な笑顔を振りまいていた。



「……綺麗」



俺の隣にいたラウスが、惚けたように呟いた。彼の視線の先には右の受付嬢。……ふむ、狼の魔人みたいだな。グレーの長い髪に、上に生えている髪と同色で三角形の耳が印象的だ。

狼らしく気品があって、綺麗。ラウスが見惚れる気持ちもわかる。……うわ、あの笑い顔半端じゃないな。



「……」


「……!! 痛いッ!? ソフィ痛いから!!」


「……私は何もやって無いけど?」


「絶対やってる!! その笑顔よりも笑ってる笑顔は間違いなくやってる顔! 痛い痛い!! 止めてソフィ、謝るから!」



「「「……」」」



俺とエイナ、ダントは3人そろって無言になってしまった。いや、だって何か良く分からない事で2人が喧嘩してるんだぜ? ……ソフィが一方的だが。

ソフィは恐ろしく笑顔になり、ラウスの前で仁王立ちしている。ラウスはといえば、背中から来ているのだろう痛みによってもがき苦しんでいるらしい。

……そういえば、この2人(ソフィとラウス)の関係って何なんだろうか。聞いたことなかったな。

単なる仲良し……いや、もしかして幼馴染とか……まぁ、いろんな可能性が当てはまるよな。暇なときに、話題として持っておくか。



……さて、ギルダーズチーム「Nameless」で、今までこの部の中に1回も登場していない奴がいる。皆分かるか?

……まぁ分かるよな、分からなかったらネームレス編の最初から読み直してほしい。30%ほどマジで。



答えは、ウェスレイ・リスニル。エイナと同格の力量を持つ、長い白銀髪の女性剣士だ。ダントと同じ、Aクラス所属。

「Nameless」リーダーであるリスニルがまだ1回も登場していないということは……つまり……。



「―――――――これが目標の「双頭龍(ジェミニ・ドラゴン)の翼一対」だ」


「確認させていただきますね。―――――――――――はい、確かに双頭龍(ジェミニ・ドラゴン)の翼ですね。依頼完了となります、ご苦労様でした! ……本当に双頭龍(ジェミニ・ドラゴン)を狩ってくるなんて驚きました! どうぞ、ギルダーズカードと報酬銀貨120枚です!ちゃんと小分けしましたので、ご確認くださいね!」


「ありがとう。私としても、結構危ない依頼だった。――――それでは、失礼する」



はい、リスニルは受付に行ってました。おトイレでも忘れ物でも、ましてや死んだわけじゃないぜ?


受付中央……銀髪の快活そうな可愛い少女(見かけだが)の受付嬢とやり取りをしていたリスニル。

リスニルが持っていた大きな袋から龍の翼を1対取り出すと、受付嬢は翼の先端を、例のあのボールへと突っ込んだ。

苦も無く翼の先端を飲み込んだハイテクノロジー・ボール。受付嬢は此方から見えないボールの表面を見て……納得する結果が得られたのだろう、またも可愛らしい笑顔を投げ掛ける。ボールから翼を抜いて受付の下へ置き、用意してあったのだろう銀貨と預かっていたギルダーズカードをリスニルへと手渡した。

リスニルのほうはというと、受付からここまで無表情を貫いて戻ってきた。……表情があれば可愛げがあるってもんなのになぁ……爺臭いな、このセリフ。



「……というわけで、報酬の銀貨だ。分け隔てなく、皆20枚ずつだな」



報酬は銀貨120枚……日本円換算600000円。ちょうど6で割り切れるので、銀貨20枚、円換算100000円だな。

子供にはちょっと多い? ……考えてみよう、日本のアルバイトor職に、龍と戦う命がけの物があるか? いや、ない。


反語で締めた所で、小分けにされた袋を受け取ったエイナが嬉しそうに声を出す。



「龍も狩れたし、金も手に入るし……いやぁ、天国だなここは!」


「おいおい……確かにそうだが、一寸先は闇であまり天国とは言えなくねぇか?」


「いや、そうだがよ……俺はもっと一瞬一瞬を楽しみたいんだよ。だからこういうのでも非常に満足だぜ?」


「……そうかい」



やっぱ大剣使いだけあって、中々の戦闘狂だな、エイナ。XCMから分かってたけれども。俺は諌めようとしたけど、最後には諦めた。

他人の性格だからな。周りに危害を与えない限り、そのままにしておくのが良いと俺は思う。

尚且つ友達だしな。こういうのも「エイナ自身」なんだから、無理に強制しちゃ駄目か。そんな権限も無いし。



「――――――さて、もう夜になる。今日の所は解散としようじゃないか。お疲れ様」



今は午後7時を少し過ぎたぐらい。門限は9時だっていうから、エクシルの自由な校風が伺えるな。

子供を午後9時まで歩かせるとかどうなんだろと思ったのだが、そういえば此処はファンタジーな世界だった。魔法使って暴漢撃退、か。

全員がリスニルの案に賛成し、後は学園寮に直ぐ帰るかエクシリアの店を見て回るか……ぐらいか?

俺は前者を選択……しようとしたんだが、エイナにせがまれて店を回ることになった。……早く帰って寝たいんだが……。



「……じゃ、じゃあ行くか……っと」



俺が鬱情に浸って(……エイナには申し訳ないが)ギルドを出ようとすると、扉の向こう側から足音が近づいてきた。

それは俺達の足音よりテンポが早く、終いには扉をダァン! と開けてギルド内に入ってきた。



「……!! すっ……すみませんすみません! 急いでいたもので! ごめんなさい!」



……入ってきた人間は、エイナに肩をぶつけ、エイナがそれに反応する前にとてつもない速さでペコペコ謝り出した。マシンガンか。

ソイツは黒髪で、背は俺達より少し低い少年。本当に急いでいたらしく、肩で息をしている。



「……いや、大丈夫だ。こっちの前方不注意もあったし、気にすんなよ」



お、優しいエイナ。手をヒラヒラと揺らし、「でも次からは気をつけろよー」と笑っている。

黒髪少年はもう一度俺達に向けて深々と頭を下げて、そしてギルドの中央……受付へと駆けていった。

……あんな小さい子もギルダーなのか? ……ここじゃ外見=実年齢のパーセンテージは元の世界よりも低いし、有り得ると言えば有り得るけども。



「何してんだアルト、さっさと行こうぜ? ……もしや、アイツに一目惚れとかねぇよな?」


「……俺にそっちの()が有ると本気で思ってるんなら、エイナと言えど遠慮は出来ないが……」


「……すまんかった」



……後悔も反省もしている。確かに中世的な顔で、少年と思ったのもスカートではなくズボンを穿いていたからなのだが。

ちょっとだけ首をコキコキすると、笑っていた顔が一瞬で消え、エイナは素直に謝ってくれました。平和が一番だね、全く。……エイナ、謝るのはこっちだ、すまんかった。




――――




俺が結局門限の9時ぎりぎりまでエイナに付き合わされた、その翌々日。つまり2日後。

何となく、俺はエクシリアに出ていた。気分転換だな。んで、いつぞや出てきたライオン顔魔人のおっさんに顔を覚えられてたみたいでアポロ(林檎みたいな果物)を一個貰い、ぶらぶらーっと平和を楽しんでいた。……あぁ、こういう事を言うんだな、暇死するって。

そして、アポロを齧りながら歩いていると、俺の視界には「Hero's Blood」が。……なんか良い依頼(クエスト)無いかな。


そんな訳でギルド内に入った俺。あぁ、まぁ2日前と変わらず、いつも通りの風景らしいな。

右にも左にもギルダー。中央には天使(うけつけじょう)達。俺は左側に用は無いし、右側の「掲示板」へ向かった。



「……まぁ、いつも通りといえば、いつも通りだよなー……」



ギルドの常連っぽく呟く俺。2回しか来た事無いんだけどな。

さて、俺個人の「Dランク」といえば、やはり「ラリ茸」とか言う途轍もなく食いたくないキノコの採集やら。

「ウイングラビリア」という、風のように走る兎の捕獲ぐらいだった。……戦闘系はどうした、そんなじゃ満足できない。……完全に自己中心的思考だけれども。


そして、「Nameless」のランクであるBランクのエリアを見たとき、俺の頭に稲妻が走った。これは比喩。もっと言えば暗喩。



これは―――――――――? そう思った俺は直ぐに、受付……空いている真ん中の受付嬢へと駆けた。



――――



エクシル魔法学園の寮は、学年ごとに建てられている。

そして、部屋はその学年での順位で決定される。入り口に近い順から1位(トップ)2位(セカンド)、……そして279位、280位(ワースト)と。

だから、最高位(トップ)であるダントの部屋を見つけるのは簡単よりも簡単だった。意味わからんけどそうなのだ。入り口入って直ぐだから。



「おーい、ダントー?」



ダントの部屋の扉を見て、右拳でコンコン、と紳士的に、あくまで紳士的にノックする俺。

……おいおい、ダントに関連したものなら何でもぶん殴ると思ったら大違いだぜ? 俺だって良心は有るのだ。というか良心しか無いぞ?

2回扉を叩き、……はんのうがない。ただの……とか言う冗談は置いといて……本当に反応が無いな。


もしかして、寝てるのか?



「……《覚声(アローザルスピーカー)》、領域(フィールド)はこうこうこうして……よし。……おーい、負けず嫌いー?」



俺はちょっとだけイラッとし、それを押さえ込んでもう一度確認の為に声を掛けてみる。

ただし、ちょっとだけ魔法を使ってみた。風属性中級広域攻撃魔法、《覚声(アローザルスピーカー)》。


この魔法は元々、自分の声を増幅、風の弾丸として相手にぶつけるというワ○ャンも真っ青の魔法だ。

ワギャ○と違うのは、その速度だな。《風針(ウィンドニードル)》には劣るが、結構な速さだ。……○ギャンの事は、グーグ○先生にでも聞いてくれよ。


ただこれは攻撃魔法。出来るだけ扉を傷つけたくない。……のだが、其処は俺。【クリエイター】で攻撃力を失くし、拡声器代わりにすること何ざ朝飯前。

そんで指向性も変更し、とりあえずダント(の部屋)をピンポイントに狙う。



……え、もうそれは《覚声(アローザルスピーカー)》じゃなくね? ってか? ……細かいことは気にしない精神だ。若人(わこうど)



とりあえず声をかけてみた。さて、反応してくれるか……。



最初に、ガバッという音が聞こえた。……ん、何だ? でも、居るのは分かったな。外出中じゃなくてよかった。


そして次にダァンッ! という何かをぶっ叩くような音が聞こえた。なんだろ、何か殴ってるのか? 筋トレ中? それは失礼しました。


最後にダダダッ! と、床の上を走る音が聞こえて―――――――――扉が、ガチャリと開いた。

出てきたのは、言わずもがなダントである。今は金髪を下ろし、……なんだ、オールバックじゃない方がイケメンだぞ、コイツ。

服装は、(この世界では)ラフな格好。いっつも制服だから、結構新鮮だな。あ、俺も私服だぜ?

額には青筋を浮かべ……今にも怒りそうな表情で、彼は口を開く。



「五月蝿いぞアルト=シューバ! 貴様は常日頃から目上の相手に対する礼儀というものを学べ! 話はそれからだッ!」



非常にご機嫌が悪いようで、案の定怒ってくださいました。はいはい。何時ものダントさんですね分かります。

ダントと扉の隙間からチラッとダントの部屋を見てみたが……うん、俺の部屋と変わらない。安心。


どの位の音量だったかって? ……100dB(デシベル)ぐらいだから、電車が通ったときのガード下級の大きさだな。

だからダントには俺の声が、「おおぉぉぉぉぉいぃぃっ!!!! 負けず嫌いぃぃぃぃぃぃ!!??」てな感じで聞こえてた。はず。



「「目上の相手」って言うのは今日は見逃してやるよ、次は無ぇぞ? ……それよりな、俺にも事情が有るんだよ。真昼間から扉を隔てた向こう側の相手の声も届かないくらいに熟睡しているんなら、最高位(トップ)らしく鍛錬でもしてろ」



そんなダントを死んだ魚のような目で見上げ、吐き捨てる俺。不条理? 美味しいのそれ。

非常に的を射た(俺視点)指摘は、確実にダントのハートを流鏑馬(やぶさめ)で射抜かれる板のようにパカーン! と割り(俺視点)。

それでも怒りが収まらないのか、青筋は浮かべたまま、大きなため息をついて再び口を開く負けず嫌い。



「用件は何だ。簡潔に言え、アルト=シューバ」


「個人的に受けたいギルダーズクエストが有ったんだが、どうかと思って」



素直に従い簡潔に言った俺は、ポケットの中をガサゴソと探る。えーと……有った。そうやって俺が取り出したのは、四つ折の紙。


怪訝な顔をしているダントに向かい、その紙をパッと開く。

中に書いてあるのは「Wanted!!」と上部に赤で大きく書かれた紙。その横には小さく「Copy」と書かれている。



「これは、……依頼書か?」



大正解。依頼書の複製(コピー)だ。こんな風に、「Hero's Blood」では受付に頼めば依頼書のコピーがもらえる。

これは受付嬢と話せるチャンスでもあり、下ランクギルダーの中にはそれを求めて何回もコピーを貰う馬鹿も居るとか。依頼こなせよ。


話が逸れた。そして言いたかったことを言えていなかった。






「そう。この依頼は―――――――――「大悪魔デーモン」の討伐だ」

とりあえず、年内にもう1回は更新したい……っ!

精進します。それでは。

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