第30話:アルトは、初めての依頼を決めた。
まだだ、まだ終わらんよ。 夜来です、こんばんは。
明日の執筆は、疲れ果てて無理かも。
何でって? 学生には色々とあるのさ(キリ
……すいませんでしたorz
「―――さて、最初に受ける依頼くらいは、今日のうちに決めようじゃないか」
名前決めから数分。 リスニルはリーダーらしくそう言い切り、俺達も各々に頷く。
……当たり前だが、受けたいクエストは早めに受付を済ませた方が良い。
別のギルダーやチームにそのクエストを取られてしまう可能性があるからだ。
この世界には某狩猟ゲームみたいに依頼が無限にあるわけではないので、一度取られた依頼は直ぐ戻ってくるかもしれないし、もう戻ってこないかも。
だから、これに決定! と思ったクエストは、早々に受付を済ませた方が良いのだ。 ギルダーには、そこらへんの思い切りも大事なのかもしれない。
6人揃って、依頼が書かれた紙……依頼書が貼られている、通称「掲示板」を見てみることにした。
「掲示板」はそこそこ大きく、「個人用」、「チーム用」、「ランク別」にそれぞれ仕切られている。
さて、「チーム用Bランク」の所を見てみる俺達。 ……貼ってあったのは、3枚。
1枚目。 【採集】で、「シュロムの森最深部に住む、地鬼の角、3個の採集」 納期までの制限時間は、あと3日。
「……地鬼か……」
俺の隣に居たエイナが、考えるように呟く。
―――地鬼。 別名、「地砕き」と呼ばれるそれは、体長3mの巨人である。 種類としては、魔獣。
形は人に似ているが、大きな一つ目と土色の肌、同色の大きな棍棒。 そして頭頂部から真上に伸びた赤い1本角。
パワー特化らしい。 動きは鈍く単純だが、力は地面に向けて拳を振り下ろすと小さなクレーターが出来るほど、らしい。 別名の由来はこれか。
拳だけでもそんな力なのに、棍棒なんて持ったら「鬼に金棒」ならぬ、「地鬼に棍棒」。 直撃でもしたら、楽々ミンチだな。
「角3つということは、地鬼3体と戦えと言うことらしいな」
「シュロムの森といえば、エクシリアから少し遠くに有る森だな。 あと3日というのは短いが、いけるだろう」
リスニルの呟きに、ダントが応えた。
納期までの制限時間は、短くて数日、長くて十数ヶ月。 3日間は、結構短いと言える。
だが、チームの1人は学園最高位。 1人はそのトップを倒した最低位。 そのほかにも強者揃い。
ダントはそう思い、言ったのだろう。 Bクラス2人の実力はまだ見ていないが、リスニルにスカウトされる辺り(それも曖昧だが)、恐らく弱くはない。
まあしかし、残りも見てみよう。
2枚目。 これも【採集】で、「エレンダ火山森付近に生息する、焔熊5匹の討伐」 制限時間はあと4日。
レッドベアルは、随分前に話したよな。 深層魔法で熱さから身を守り、普段は火山付近に生息する大熊型魔獣。 ベアルの亜種だな。
「熱さから」というより「マグマから」の方が正しく、マグマに身を投げても温泉気分だという。 マグマ風呂とか恐ろしいな。
主食は魚。 と言っても普通の魚(型魔獣)ではなく、マグマの中を泳ぐ様々な「溶岩魚」を取って食っているという。
さすがこの世界。 喰う方が熱さに強ければ、喰われる方も熱さに強いってか。 ……普通に木の実とか、魔獣とかも喰うらしい。 雑食系熊。
「……火山森周辺に住む人が、火山から降りてきたレッドベアルに驚いて依頼してきたっぽいな」
俺が呟いた。 前述通り、レッドベアルは火山周辺……火口付近から、山の中腹までに住む。
火山森……火山の周辺を取り囲んでいるだけの森なのだが……には滅多に降りてこない。 ……「溶岩魚」が少なくなってきたのかな。
それで、木の実とか魔獣を食う為に火山林に降りてきた、と。
「はた迷惑なベアル。 でも、いけそう」
ラウスが依頼書を見ながら言う。 確かに行けそうだな。 ベアルなら何度も倒しているし。
このチームなら、そんなベアルの亜種ぐらい、瞬殺できるだろう。 なんせ、6人だ。
さて、最後は……っと?
俺は、3枚目の依頼内容を見て、少しだけ驚いた。 これもまた【採集】なのだが……。
「ローカルド大平原に出現する双頭龍の翼、1対」 納期までの制限時間は、後4日。
「……ほう、Bランクにドラゴンか。 おそらく、この3枚の中で、数を考慮しても一番の強敵だな」
リスニルも驚いているようで、しかし「相手にとって不足なし!」とでも言いたげな顔をしている。
そう。 基本的に「龍」という種族はSランク……弱くともAランク用のクエストだ。 それほどまでに、全てのドラゴンが強い。
今回の「双頭龍」というのは、首から上が2つあるドラゴンの一種である。 首を1つ抜いたキングギド●よりもスマートな体をしている。
龍より飛ぶことに特化した、大きな翼が特徴の「飛龍」という種族寄りな気がするが、龍は龍である。
特徴は、1つの頭に付き、1つの属性が宿っているということ。 火炎放射のような炎属性や、冷凍ビームのような氷属性がその龍の口から吐き出されるのだ。
今回、その宿っている属性が何かは書かれていないが、大平原に居ることだし、「風」とか「地」辺りだろうか。
……とは言う物の、属性は余り気にしなくて良いと思われる。 何故なら属性攻撃は+αであり、龍族に共通する攻撃方法……《龍焔》や爪での切り裂き、等等……俺としては、こちらの方が怖い。
……結論、さすが個人ではSランクに指定されるだろうクエストである。
「このランクでドラゴンと戦えるなんて……! そのドラゴンの依頼にしましょうよ!」
「……初依頼は、手応えが有った方が良い」
Bクラスの2人は、もうその依頼に釘付けのようだ。 ソフィに至っては分かりやすい声まで上げて。
「ローカルド大平原は……此処から少し離れた所にある平原か。 ……見通しは良さそうだな。
だから、本当はAクラス級だった物をBクラスに落としたのかもしれない。 見通しが利くとなれば、私達のほうに分が有るだろうからな」
リスニルは冷静にそう分析する。 なるほど。 数が多い分、見通しが利く平原エリアでは有利なはずだな。
龍の住処は様々だが、巨大な洞窟や火山の火口、遺跡最深部など、RPGのような所に住んでいたりもする。
そのような所では、狭かったり、暑さで体力を消耗したり、未知の罠が待ってたり……。 とりあえず、ギルダーには不利だ。
しかし平原ならば。 だだっ広く、暑さ寒さなど関係なく、罠の可能性も少ないそこならば。討伐には最適ではないだろうか。
「……良いじゃないか。 私達の実力を試せる、良い依頼だと私は思うぞ」
そこで口を開いたのは、ダントだった。 何だろう、何か学年最高位のカリスマ性というものをセリフから感じる。 珍しい。
「……アルト=シューバ。 貴様、頭の中で私を馬鹿にしただろう」
「何のことだか。 俺も良いと思うぜ、その3枚の中で1番難しそうな依頼なんだろ?」
ダントを軽くいなし、俺も同調する。 カリスマ何たらは俺の思い違いだったか。 俺にいなされるようじゃ、ダントもまだまだだな。口喧嘩的な意味で。
「何勝ち誇った顔してんだよ? ……あ、俺もドラゴン狩りに賛成だ。 強そうだしな」
……おっと、無意識にそんな顔になってたみたいだ。 エイナに言われ、慌てて直す俺。
そして、そのエイナもドラゴンの討伐に賛成のようだ。 ……ドラゴン狩りなんて言うと、ちょっと語弊がありそうだが。
まぁ色々あったが、この「双頭龍の翼を採集する」クエストで決定のようだ。 リスニルが依頼書を止める画鋲を外し、依頼書を持つ。
そのまま、受付へと向かう。 いつでもニコニコ笑顔だな、受付嬢。
「この依頼を受けたい」 依頼書をカウンターに置き、そうリスニルが言うと、ギルダーズカードの提示を求める受付嬢。
先ほど作ったばかりで失くす筈がないその銀色のカードをポケットから出し、カウンターに置いた。
……いつの間にか、カウンターの上にはギルドボールが。
ギルドボールに依頼書とギルダーズカードを入れる受付嬢。
機械的な「ガシャガシャ……」なんて音は聞こえず、ただ静かに情報をカードへと打ち込んでいるようだ。
ギルドボールでの処理が終わったのかギルダーズカードがボールから吐き出されてきた。
どうやら、「これこれこういう依頼を受けました」という情報が入ったらしい。
「それじゃ、今日はこの辺でお開きか?」
「そのようだな。 明日の11時50分にエクシリア西門で集合だ。 ちゃんと要る物は持ってこいよ?」
俺がリスニルに尋ねると、どうやらそのとおりのようだ。 ……要る物と言えば、3~4日分の食料位しか思いつかないな。
寝袋(らしき物体)を持っていっても良いが、俺だけ寝袋だと浮きそうだな。 一応持っていって、皆が野宿ならそのまま寝るか。
……ピクニック気分だな、俺。
―――というわけで、その後は各自自由。 俺は、食料になりそうな物を買い集め、明日に備えた。
買った物は保存食が殆どだ。 干し肉とか、塩漬け(この世界にもあるんだな)とか、まぁ色々。
さて、明日から頑張りますかっ!
……そう気張ってしまって、夜に寝ることが出来なかったのは痛かった。
やはりピクニック気分だな。 少しは緊張感持て、俺。
唐突に小説のアイデア浮かんだけど、同時進行無理ですねありがとうございました。
……Gクラスのほうのラストはとりあえず考えてるけど、何ヶ月先になることやら……。
とりあえず、アイデア暖めるだけにしておきます。
修正しました。
制限時間→納期までの制限時間 それによる変動も修正しましたよ。
簡単に言うと、「~日間」が「後~日」になっただけです。