第26話:アルトは、XCMに出場した。 (10)
ピッタリ10で終われた! 何これ感動!
そして皆さん、先に謝ります。
種が薄すぎて、誠にすいませんでしたああああぁぁぁぁぁぁ!!!!
――Side アルト――
ワァァァァァ!! と、大きな歓声が観客席から聞こえる。
ダントの腹に正拳突きをぶち込み、ぶっ飛ばした後。 ダントは気絶し……つまりは。
「決まったあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「Gクラス、アルト=シューバ!! 《聖騎士》ダント=サスティーフの猛攻を耐え凌ぎ、見事拳一発!!!」
「この瞬間、勝ち数2-3で……Gクラスの優勝が、決定しましたああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
トーのその叫ぶような声で、俺達の優勝が告げられた。 再び、沸きあがる歓声。
少しだけ観客席に手を振って、俺は控え場所に戻った。 ……まぁ、大きく手を振るタチじゃないし。
「アルトォォォォォォォッ!!!!!」
控え場所に戻り、最初に俺が聞いたのは、そんなエイナの絶叫だった。
エイナは、そう叫びながらコチラへと駆け寄ってくる。 ……全力で。
「ウゴアァ!!」 ……少なからず疲れていた俺は、タックルのように駆けるエイナに押し倒され……有らぬ間違いが生まれそうだから言い直そう……押し潰され。
「やったな、アルト!」 ……などと俺の上から言葉を掛けるエイナに、「お、おぅ……」 と曖昧な返事しか出来ないのだった。
……エイナ。 お前は斬られた胸元 (のブレザーとシャツ)がまだ治って……いや、直ってないのを覚えていないのかい?……見てられない。
他のメンバー3人は、俺に白々した視線という名の贈り物をありがたくも送ってくれた。
……どうしてこうなった。
……そして、戦い終わったときに、【クリエイター】で疲れ取っとけば良かったじゃんと思ったのは、GクラスのHRに戻ってからだった。
――――
「君達Gクラスの栄誉を、此処に称えよう」
「エクシル魔法学園、学園長。 ファルモート・ガイン……おめでとう」
「……ありがとうございます」
ワァァァァァ!! 歓声が響く。 まんざら、悪い気はしない。
晴れ渡る青空の下、表彰式が始まった。 ……表彰されるのは、優勝した俺達、2位のAクラス、そして準決勝で敗れたBクラスとEクラスだ。
勿論、俺達の表彰は1番最後。
最初はEクラスキャプテン、マリン・ブルーミア。そしてBクラスを率いたエリヴァン=シャルロッテ。
Aクラスは、負けず嫌いが代表して受け取ったのだが、まだ結構痛そうにしていた。 ……おい、こっちを睨むな負けず嫌いよ。
準優勝の盾は、決勝4番手でエイナと斬りあったウェスレイ・リスニルが恭しそうに受け取った。
そして、Gクラス。 俺が代表して賞状を受け取って、今に至る、というわけだ。
ガイン学園長の、その何か画策しているかのような視線が気になるが。 ……まぁ、ソレは良いや。
賞状を受け取り、優勝トロフィーはエイナが受け取って……元の位置へと戻る。
そして、完全に俺達が戻り、教頭(……この世界にも居るんだな。 結構若い) が「……次に、学園長からお言葉を……」と言うと、会場は一気に静まり返った。
呼ばれたガイン学園長はその場で1歩前に出て、《拡大》の魔法を使っているだろう……マイク要らずの、それでいて威厳ある声で話し始めた。
「……今年のクラス対抗戦も、無事に終わることが出来ました」
「……今年は、《聖騎士》のダント=サスティーフ始め、強力な5人を揃えるAクラスを破り、アルト=シューバ率いるGクラスが優勝しました」
「此処50年ほど、XCMはAクラスの優勝が続いていただけに……、このGクラスの優勝は、大変良いことと思います」
「皆さん、優勝のGクラスを始め、参加した全ての選手に盛大な拍手を送りください。 ……以上で、終わります」
そう締めくくったガイン学園長が1歩下がると、三度大きな歓声が起こった。 ……てか、50年間Aクラスの優勝かよ。 逆に50年前何が起こったんだ。
さて、もう割愛しても良い頃だろう。
「……これで、第142回クラス対抗戦、XCM全行程を終了します」……教頭が締めくくった。
終わった。 あー、疲れたな。 まったk「……アルト=シューバ」 ……ん。
呼ぶ声に反応し、振り向くと其処には……金髪の細マッチョな体つきをし、整った顔を持つ「負けず嫌い」がそこに居た。 ……何。
「……さて、教えてもらおうか。 《輝く世界》を無傷で潜り抜けた、あの種をな」
あー、そういや言ったな、殴り飛ばす時に。 「種明かしは、後でな」って。 すっかり忘れてたぜ☆ ……こっちを睨むな。
「……早く帰りたいから簡潔に言うけどさ。 ……簡単だ。 《聖域》を使って防いだだけ」
俺が簡潔に言うと、ダントは一瞬「はっ?」と言いたげな顔をして、すぐさま信じられないといった様子になる。
「馬鹿を言うな! 《聖域》は聖属性防御魔法の最上位!! お前に使えるはずが……「……忘れたか? 【クリエイター】をなめるなよ?」
……属性魔法には、相性がある。 火属性魔法は水属性魔法に弱いし、水属性魔法は雷属性魔法に弱い。
しかし、例外がある。 聖属性魔法と、もう1つ……闇属性魔法は、互いには相性が良く、その属性同士では相性が悪い。
●ケモンで、炎タイプの技は炎タイプのポケ●ンに効果はいまひとつだろ? あーいう感じだ。
だから、俺は【クリエイター】で聖属性防御魔法《聖域》を使い、同じ聖属性である(と勝手に思った)《輝く世界》を軽減するどころか、打ち消したわけだ。
ちなみに、この真実はダント他、一部のヤツにしか教えない。 他のヤツには、「気合で全部ぶっ飛ばした」とか言っておこうかな。 それはそれですごいけど。
「グッ…………」 ……苦虫を噛み潰すだけでなく、潰した後飲み込んだような顔をしているダント。 ……そんなイライラすんなって。 カルシウm
「次は……次こそはっ!! お前を倒すぞ、アルト=シューバ!! それまで覚えているんだな!!!」
……昭和の悪役かよ、お前……。
ダントは、そのまま闘技場から出て行った。 ……さて、Gクラスの皆ももう帰ってるだろうし。 俺も行くか。 ……脚力強化!!
――――
「いやー。 5人とも良く頑張ったなー。 他のみんなも応援ありがとー」
GクラスのHR。 ジェイ先生が話す。
「シューバは勿論凄かったがー、他の4人もものすごく格好良かったぞー」
「メテリアは魔法、ヨハンは脚技、アリスは【密林地獄】にー、エイナは剣技とー……。 勝ち負けあったがー、良い試合をしてたと思うぞー」
うんうん。 俺はどうでも良いとして、4人がものすごい頑張ってくれたからGクラスが優勝できたと思う。
――――やっぱり、Gクラス最高だな。
「何はともあれ、頑張った5人も応援した皆も、今日はもう終わりー、明日明後日と休日だからー、しっかり体を休めろよー」
「それじゃー終わりだー。 ……あ、アルトー。 「あれ」頼むぞー」
「あれ」? ……あぁ、そういうことね。
理解した俺が「あれ」を行い、GクラスのSHRが終了した。 長い長い、とてつもなく長い一日が、今、此処に終了した。
……そうそう、XCMが終わった後。 優勝した俺達を見ようと詰め掛けてくると思われた大人数の人間は、そんなに来なかった。
なぜか? 「あれ」だよ「あれ」。 ……「見に来る人数は適度で頼む」と望んだからだよ――――
――――
まだ、学校が始まって1ヶ月も経っていない。 コチラの暦で言うとわかりにくいので日本の暦で言うと、まだ4月である。
此処は学園なので、考査があれば夏休みもある。 3期制なので、1学期が終わるのはまだ3ヶ月ほど後の話だ。
XCMを制し、エクシル学園生として上々……かな? 良いスタートを切った俺は、学園生活をエンジョイしつつ、何かと頑張って行くのだった。
夏休みが始まるまでの3ヶ月。 ……色々あったよ。 うん。
はい、XCM編終了でございます! 応援してくださった皆様! 誠にありがとうございます!
稚拙な文ですが、これからも続けて行きます。 感想、アドバイス等……感想欄に書いていただけると、そして応援してくださると更に嬉しいです!
さて、次からは閑話としまして、番外編、人物紹介等を書いていきたいと思います。 どうぞ、期待しないでお楽しみに。 それでは!