表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな俺は、Gクラス。  作者: 夜来
チートな俺は、Gクラス。
25/51

第24話:アルトは、XCMに出場した。 (8)

――Side ヨライ――


XCMも、いよいよ終盤だ。 早くて後1戦。 遅くても後2戦。


決勝は3番手までが終わり、2-1でAクラスが1歩リード、そして、優勝へとリーチをかけた。

1番手、Gクラスのミリア・メテリアがその魔法でAクラス、テミニル・ラートを破り、Gクラスがまず1勝。

2番手、【超鈍化結界を張るチカラ】と罠を最大限使ったAクラス、アグス=レイアンが、Gクラスのザリアント=ヨハンを圧倒して同点(イーブン)

3番手、Aクラスの【自身を強酸に変えるチカラ】を持ったフィンル・エレンスが、【密林地獄(ヘル・ジャングル)】のアリス・ローマイに勝った。


試合は4番手対決。

Aクラスからは、大剣を持った白髪の女子、ウェスレイ・リスニルが闘技場へと出て来た。

それに対し、Gクラスの控え場所から出てきたのは、やはりというか…【金剛剣士】の二つ名を持つ赤金色の髪を持った女子生徒。

今まさに大剣を召喚し、ブンブン振り回しながら出て来た、エイナ=ユーグリッドだった。


――――

――Side アルト――



……あっちがリードか。

まぁ……あの強酸女子が出てきたところでやばいとは思ってたが……予測通りになったか。


「……じゃ、次は勿論俺だな。 だろ? アルト」


と、俺が考え込んでいる時に立ち上がったのはエイナだ。

……もう何も言うまい。 どうせあっちも白髪の女子だし。 あっちが白髪女子出してきたら、こちらもエイナを出そうかと思ってたし。


「……あぁ、そうなるな」

「今回はガチで負けられない。 頑張れよ」


「……任せろ」


エイナはそう言って、急に目つきを変えた。 ……戦闘の目だ。 女剣士としての、それ。


俺は、他の3人とともにエイナを闘技場へと見送った。 エイナの気迫に賭けたかったし、賭けざるを得なかった。



――――

――Side ヨライ――


「さぁ! XCM決勝戦も、ついに4番手となってまいりました!」

「Aクラスからはウェスレイ・リスニル! Gクラスからはエイナ=ユーグリッド! 女性剣士対決です!」



「それでは4番手、始めッ!」



トーがそう叫ぶとともに、両者は同時に駆け出した。

リスニルは片手で軽々と、エイナは両手でそれぞれの大剣を持ち、相手へと駆ける。 ……そして先に剣を振ったのは、リスニル。


「《波立つ大地(グラウンド・ウェーブ)》!」


そう詠唱し、エイナから少し離れたところで剣を下へと振り下ろす。 勿論エイナには当たらず、大剣はガッ!と地面に突き刺さった。

しかしその瞬間、その剣を起点に突然 ドバンッ!と衝撃波が発生する。  指向性なのか、それは一直線にエイナへと向かう。



――……ウェスレイ・リスニルの【チカラ】は、【『クラッカー』を扱えるチカラ】。

『クラッカー』とは、まさしく今、彼女が持っている大剣のことであり、所謂「魔剣」というものだった。

『クラッカー』には、かつて「地の王」と呼ばれた魔人……いや、魔神の魂が宿っており、魔力を剣に「食わせる」ことで、高威力の技を繰り出せるのだ。

魔力は常時食われており、そのせいかリスニルは魔法を上手く扱えないのだが、それ以上に剣の存在は大きい。

勿論彼女にとっては、【チカラ】である『クラッカー』の重さなど気にならない程度であり、最早体の一部と言って良い物だった。


今しがたリスニルが出した《波立つ大地》もこの技の一種であり、実質『クラッカー』に魔力を食わせて発動させる種の技しか、リスニルは出せない。



「はっ、舐めんなよ!」


だが、一直線で動きが読みやすかったのか、エイナは右へステップ、衝撃波を避けつつリスニルへと向かう。

「喰らえッ!」 とばかりに、リスニルに向けて斜めに振り下ろした。


リスニルは、それを片手で受け止め、鍔迫り合いに持ち込む。 両手で持っているエイナのほうが、優勢のようだ。


「ちっ、その左手は使わないのか?」


「両手で持ちながら、片手に直ぐ勝てないとは……拳はこう使うのだ。 エイナ=ユーグリッド」


落ち着き払った声で、そう告げるリスニル。 顔も、あまり焦った表情をしていない。 無表情だ。

エイナが「何?」という前に、リスニルの左手が握られ、少し弓なりにエイナの腹目掛けて飛んだ。 言うなれば、ボディーブロー。


両手で持つエイナにとっては、防ぐのは困難だ。 だから、当たってしまった。


「……アグァッ!」 ……拳によってエイナは少しよろけながら離れ、一瞬の隙が出来る。 見逃すほど、リスニルは甘くなかった。


もう一度、《波立つ大地(グラウンド・ウェーブ)》を繰り出し、衝撃波がエイナに迫った。

それを、咄嗟に大剣を盾にして防ぐエイナ。  バンッ!と、重たい物が金属に当たる、鈍い音がした。



「ほぉ、鋼鉄をも引き裂く私の《波立つ大地》を受け止めるとはな」


「……残念だったな。 そんなんじゃ俺の剣は壊せねぇよ」


にやりと笑うエイナ。 リスニルが言ったことは本当なのだが、衝撃波を受け止めたエイナの剣には傷1つついていない。

リスニルの口が、僅かに歪んだ。


「……《硬化》魔法か」


「……違うな、俺の【チカラ】だ。 ……今、俺の剣は鋼鉄よりず―――っと硬いんだよ。 ……さぁてと、次はこっちの番だぜっ!」


言った途端にエイナは駆け、リスニルに向けて連撃に走る。

相手に向かって切り下げ、切り上げ、横に薙ぎ、また逆に薙ぐ……1つ1つの斬撃が重く、1つでも直撃すれば重大なダメージになる。

リスニルも、細かく『クラッカー』の向きを変えながら、一撃ずつエイナの大剣を捌いていく。 縦に振れば横で、横に振れば縦で、斜めに振れば斜めで。

そして攻撃も忘れていないリスニルは、隙を見つけてはその小さな隙に剣撃を入れていく。


キンッ! ガキィンッ! といった、鋭い金属音が闘技場に響き渡り、いつの間にか、歓声は止んでいた。

観客の全員が、その剣技の華麗さに言葉を失っているかのようだ。



「…………ぐっ……」


だが、エイナの気迫がリスニルの剣技に勝ったのか、段々とリスニルのブレザーに傷が1つ、また1つと増えていく。

そして、段々と血も染み出てきたようだ。 

それはエイナも同じで、段々切り傷が増えてゆく。



ここで、少しリスニルは焦った。 ここで状況を上手くひっくり返さなければ、負けてしまうと。 剣士の勘という奴だろうか、それが告げていた。

そして、エイナに隙が出来た瞬間にリスニルは動く。 大きく剣を振り上げながら、後退したのだ。


「どうした、ビビッたか?」 というエイナの声と


「《天高く突き上げる大地(グラウンド・スピア)》!」 というリスニルの詠唱はほぼ同時だった。


剣を突き刺し、それを起点にズダダダダダッ!と大きな土の槍が地中から天に向かって次々と突き上がった。 巨大な棘が次々と突き出てきた感じだ。

それは、エイナに向かってやってくる模様だ。 構えたエイナだったが、それはエイナではなく、()の方に向かう。


ダァン!と、エイナの少し手前で突き上がった槍は少し地面とは垂直ではなく……一直線に、エイナの剣を狙った。


「グッ!!」……剣に直接槍をぶち当てられ、思わず呻き、手を離してしまうエイナ。

エイナの剣は天高く舞い上がったのだ。  ……微笑み、いや、先ほどとは違う意味で僅かに歪んだリスニルの口元。 アレが落ちてくるには、時間がかかるだろう。

僅かな時間だが、……それは敗北への時間を指し示すカウントダウンタイマーだ……とばかりに。




剣を抜き、構え、そして駆け出す。 そして、振りかぶるために一瞬エイナから目を離し……目線が戻るころには、『エイナは既に剣を持っていた』。



アレは間違いなく、先ほどまでエイナが持っていた剣であり、自分が突き飛ばした剣。

リスニルが何故だと思う前に……相手が構えた。


「はああああああああっ!」……エイナが叫んだ。


「あああああああああっ!」……リスニルも、咆哮した。


ガキィンッ! と2つの大剣が交差し、片方は片手で、もう片方は両手で目一杯振り抜いた2人。




バタッ……と、闘技場の中で人が倒れる音がした。   闘技場内にいるのは2人だけ。

なお振り抜いた体勢。 しかし、直ぐに体を戻し、大剣を鞘にパチンと収めたのは―――――赤金の髪を持った女子生徒、エイナ=ユーグリッドだった。



観客席、Gクラス生徒が詰め掛けるエリアの歓喜の声が爆発した―――――――




――――

――Side アルト――


……なるほどな、《伸長(ストレッチ)》で剣を延ばして強引に柄を掴んだのか。 ……は、エイナらしいな。

俺がそう言って少し笑っていると、足音が。


「……勝ってきたぜ」


エイナが意気揚々と戻ってきたのだ。 体には、やはり傷が目立つ。 出血もあるようだ。


「あぁ、よくやったな。 ……大丈夫なのか? ……特に胸の大傷」


どうやら、最後の交差でリスニルの剣が当たっていたようだ。 それはブレザーもシャツをも切り裂き、皮膚を薄く、だが長く斬っていた。

だから、血が出ているのは別としてエイナの皮膚が露出している形となっている。……こんなところで言うことではないのだが、……うん、やっぱり、ちょっとアブナイ感じに……

ブレザーやシャツは回復魔術によって段々直っていくだろうが……でも今はやっぱりアブナイ……。


「ん? ……こんなもんかすり傷だ。 痛くねぇよ」


それもそうだけど違う、そっちじゃなくてもっと別! ……周りを見ると、ミリアとヨハンはシラーッとこちらを見る。 アリスは……あぁ、無表情ですね分かります。

健全な読者に言っておきたいが、俺は胸ばっか凝視してるわけじゃないからな? 別に常にどこか見てるって訳でもない! 石を投げるなッ!


「何はともあれ、2-2……次勝てば優勝だな」

「必ず勝ってこいよ。 アルト」


投石が収まったところでエイナが言う。 そのつもりだ。 あの負けず嫌いをぶっ飛ばして、ここに笑顔で帰って来られるようにする。 それが目標。


「……勿論。 トップが何だ、勝ってくるよ」


俺は、其処で言い切った。


Gクラス全員の思いを受けて、俺は闘技場へと歩き出す。


相手は、学年最高位(トップ)、ダント・サスティーフ。



―――4番手終了。 勝者、Gクラス エイナ=ユーグリッド。

―――Aクラス 2-2 Gクラス

さてと、テンプレどおりの展開ですね。


しかし、感想でのアイデアでXCM後にやる事が多くなったな…。

ま、ゆっくりやって行こう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ