表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな俺は、Gクラス。  作者: 夜来
チートな俺は、Gクラス。
2/51

第1話:アルトは、状況整理で大いに混乱した。

――Side アルト――



「・・・・・・ん」


…俺が目を開けると、いかにも西洋の小さな一軒家だなぁという感じの天井が広がっていた。


…見知らぬ。 見知らぬ天井だ…。

とりあえず、此処は何処だろう。そう思って体を起こそうと…起こそうと…



出来ない?



な、なんで出来ないんだ。 混乱する俺。

それではと、首を横に曲げようと…曲げ



出来ない…。



な、何がどうなって…て…手…?


あれ、俺の手はこんなに小さかったか。 これではまるで赤子のようじゃないか。

…目を動かしてその付け根、腕の方を見る。

…短い。 異様に俺の腕が短いではないか。

そして、見る限り俺は何かを着せられているようだ。 白くて…この感覚は、タオル地?



…全く分からない。 俺は今何がどうなっているんだ。 もう一度言う、全く分からない。

あぁ駄目だ。状況を確認しようにも首が動かせないのではどうしようもない。


そんなことを思っていると、体の其処から、変な感覚が襲ってきた。

それは顔に集中し、口や目に集まってきたようだ。 いや、脳にも。


…く、何だこれは…此処で堕ちたら負け……負け?


…いや、堕ちなければ(・・・・・・)いけないのか? この変な感覚に?


理性では嫌だと、この感覚に負けたくないと思っているのに、本能はそれより強大な力を見せる。


…っ…だ、駄目だ…この…感覚に…



…負けっ…!!




「オギャー!!オギャー!!」



口から出たのは、言葉、ではなく泣き声。

目には、自然と涙が溜まって行き、小さな水玉となってツゥーッと柔らかな皮膚を滑っていく。



…は?


…本人、唖然。

無理もない。 この奇怪な感覚に身を落とした直後、赤ん坊のような泣き声が喉の奥から遡って来るのだから。



「あらあらまぁまぁ! ダーリン! アルトが泣いちゃいましたよ!」


「何!? …本当だな!マイハニー! もう食事の時間じゃないのかい?」


「あら、本当ですわ! ドァーリン! ミルクを作って来るから、それまで愛しのアルトを見ててくださいな!」


「OKさムァイハニー! アルトを見てるだけで10日はいけるさ! ハッハッハ!」



耳に入ってくるのは、バタバタと床の上を走る音が2人分。 そして人間の高い女の声1人分と低い男の声1人分。

その2人の声は、無駄にテンションが高い。 というか高すぎる。 多分吹っ切れてる。


俺は、そのとき初めて男の声の主を見た。


「いつ見ても可愛い顔してるなぁアルト! 君を見るだけで大天使様が逃げ出そうかというくらい可愛いよ!」


どんくらいなんだそれは。


それはともかく、俺に顔を近づけてきた男声の主は、齢50~60ぐらいの男性だった。

髪は、白髪と金髪が混ざっていて、顔にはあちらこちら皺が寄っている。 

鼻の下には、横に伸びた立派な髭が。 おぉ、漫画でしか見たこと無いぞ、こんなの。

声や口調は40代くらいかと思うほど張りのある声だったのだが。 何時もこのテンションだから、声は若く聞こえるのかな。


そんなことを思い、ハンカチで俺の目を拭いながら先ほどのようなことを言っている爺さんを見ていると、次に女の声の持ち主が。


「やっぱりアルトは可愛いわぁ! 貴方に見つめられると、悪魔王が消滅しかけそうになるくらい可愛いわよ!」


あ、消滅はしないんだ。 なんだか複雑な気分だな。


爺さんの次に顔を近づけてきたのは、やはり50~60代ほどの婆さんだった。

やはり金髪と白髪が入り混じった長い髪。 これを後ろで1つに束ねているようだ。 顔にはやっぱり皺があって。

しかし、にっこり笑うその顔は俺のお袋を思い出す。 優しい笑顔だった。

声や口調も見かけより若々しい。  こんな2人が俺を見つめている。 優しい笑顔だが、何か怖い。



「ほら、アルトも自分の顔を見て、その可愛さに失神しちゃいなよ!」



…そう言って爺さんが俺に手鏡を近づけてくる。 其処に写っていたのは。



紛れも無い。



赤ん坊だった。




…な、な・・な…



「オギャー!!!オギャー!!!」



「マイハニー! アルトが激しく泣き始めたよ! 早くミルクをあげてくれ!」



…俺は、全てを理解したと同時に、心の中で1人ごちた。 「赤ん坊って、大変なんだなぁ」 と。

感想、アドバイス、お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ