第16話:アルトは、箱から運命のクジを引いた。
今日は対戦相手決めです。 ちょっと一休みみたいなもんですかね。
次からは…多分、大会本線本選へと入れるかと思います。
…うーん、始まるまでの内容がちょっと薄いかな・・・?
――Side アルト――
―――クラス対抗戦まで、後1週間。
俺達1-Gの出場メンバーは、この1週間の間に順番決めやら各々での対人訓練など、色々と準備してきた。
さて、今日は何があるかというと、クラス対抗戦のトーナメント表を決める、そして運命をも決めるくじ引きである。
「それでは、XCMのトーナメントくじ引きを、今から行いたいと思います」
5時間目。 体育館ステージで、1年の学年集会である。
「各クラスのキャプテンの方は、ステージに登壇してください」
俺は1列に並ぶGクラスの中で1番後ろ。 其処から立ち上がり、壇上へと向かう。
…周り、他クラスの生徒からは馬鹿にしたような視線が俺に送られる。 そりゃそうか、最下位がキャプテンなのだから。
少し【チカラ】で聴力を強化し、周りのヒソヒソ声を聞いてみよう。
「…え、ワーストがキャプテンかよ。 流石Gクラスだな、こんなのどうでも良いってか」
「勉強が出来ないから、大会に割いてる時間ないんじゃない?」
「そーだよな、勉強しないと落第食らうかもしれないしな」
「Gクラスに当たったクラスはラッキーだな。 余裕で勝ちあがれるぜ」
……思ったとおりの反応だ。 少しその声が聞こえるのだろうか、Gクラスの数人がガンを飛ばしている。
いやいや、そんな事しなくて良いから。 ちょっと周りビビッてるし。 何か黒いオーラが立ち上がってるし。 怖っ。
そんな事を思っている間に、俺は壇上に上がり、他のクラスキャプテンたちと並んでいた。
…Aクラスのキャプテンはやっぱり負けず嫌いか。 …しかし、他のクラスのキャプテンも強そうだな。
Bクラスのキャプテンは、長い金髪をクルクルのカールにした女子生徒だ。 所謂、お嬢様って感じか。
指には指輪がいくつもはまっているし、首にはネックレス。 …こんな生徒を野放しにしておいて良いのか。
Cクラスのキャプテンは、白髪の背の高い男子だ。 俗に言うイケメン。
……あれだ、髪をさっとかき上げるポーズからして、きっとナルシストだ。 絶対ナルシストだ。
Dクラスのキャプテンは、根暗っぽい男子。 濃紫の髪は肩まであり、所々跳ねている。
黒縁のメガネをかけていかにも根暗なのだが、俺は見た。 ソイツが一瞬、藁人形を持っているのを。 呪い?
Eクラスのキャプテンは、金髪の女子だ。 髪は真っ直ぐで短く、後ろには真っ赤な小さいリボンが、多分チャームポイントとして付いている。
見た目は普通に可愛い女子だが。 やはりキャプテンだ。 何かあるに違いない。
Fクラスのキャプテンは、ぼさぼさの短い黒髪で、額に鉢巻をした男子生徒。 ブレザーの上からでも、筋骨隆々なのが分かる。
ストⅡ(スーパーフ●ミコンの有名なゲームだ)のリュ●をそのまま小さくした感じである。 格闘家だな。 あれは。
そしてGクラスのキャプテンは、赤茶の髪の男子生徒。 俺だ。 今更説明するのもなんだが。
……なぜ説明したんだ。 俺は。
「それでは、Bクラスキャプテンのエリヴァン=シャルロットさん、籤を引いてください」
「わかりましたわ。 それでは…」
俺達7人の前には籤箱が置かれている。 シャルロットと呼ばれたその女子はいかにもお嬢様という口調で籤箱の前に立つ。
そして、手を箱の中に突っ込むと数秒手を動かし。
「…これですわ!」
箱から勢いよく引かれたその手の中には、4つ折りにしてあるのだろう、紙。
司会者がそれを受け取り、中身をステージ下の奴らに、次に俺達に見せる。 見せられた紙には、大きく「1」の文字が。
「Bクラスは1番です! それでは続いて、Cクラスのキャプテン―――――――」
――――
さて、4人がくじを引き終わり、残りは俺と●ュウ系男子の2人となった。
そうそう、このトーナメント表はAクラスを1番左側のシードにし、その隣から右に1~6の数字が振ってある。
つまり、1対2、3対4、5対6 というのが1回戦の組み合わせな訳だ。 2回戦ではAクラスと1対2の勝者 そして1回戦その他2戦の勝者同士が戦う。
「残り2人となりました! それではFクラスキャプテンのケン・フォロウさんとGクラスキャプテン、アルト=シューバさんは同時に籤を引いてください」
同時なのか。 あ、そういえば確かに穴が大きめに作ってあるみたいだな。 …それより、リ●ウだと思ったのに名前はケンなのか。 まぁ、どうでも良いが。
俺とソイツは籤の前に立ち、先にソイツ…フォロウが箱に手を入れた。 同時に、なので俺も手を入れる。
そして、2つしか紙が無い事を確認してから、俺とフォロウは同時に手を上げた。
司会者に、同時に紙を手渡す。 さて、何処に行くか…
「決まりました! Fクラスは2! Gクラスは5です! これにより、1回選の組み合わせが決定しました!」
「第1試合はBクラス対Fクラス! 第2試合はCクラス対Eクラス! 第3試合はGクラス対Dクラスとなりました!
「よっしゃぁ!」「キタ―――!」などと、Dクラスのステージ下の面々が小さな声を上げる。
…やっぱり、何回もそう聞かされるとむかつくな。 見てろよ、絶対倒す…。
「それでは1回戦の相手同士で、握手をしてください!」
あー、高校野球とかでよくあるよな。 あれか。
…あれ? あの根暗は?
「…こっちだよ」
うおぉ!? ……ビビッた。 居ないと思ったら急に背後から来るんだぞ、怖いわ。
「よろしく、アルト=シューバ君。 …正々堂々、良い戦いをしようね…」
ビジュアルもさる事ながら、口調も怖い。 まぁそれはどうでもいいや、硬く握手した。 「絶対倒す」と念を込めて。
―――その時、ソイツの口が僅かに歪んだのを、俺が捉えることはできなかった。
――――
「相手はDクラスかー」
ジェイ先生が、声を上げる。 只今、帰りのSHR中だ。
「Dクラスはー、あのキャプテン…セルニータ=モザが二つ名持ちだなー」
やはり、二つ名持ちは1クラスに1人は居たりする物なのか。 学力はAクラスに劣るかもしれないが、戦闘能力はAクラス並みとか。
「んでー、モザの二つ名はー………」
「《奇術師》だー。 5人とも頑張れよー」
奇術師…? あのビジュアルで? 名と顔は一致しないな、本当に。
まぁ、誰が来ても潰すけどな、【クリエイター】で。
…しかし、俺達は1回戦、その軽い気持ちを改めさせられる事となる。続きは次回だ。




