episode6.ツイキュウ
伊織は意を決して、メッセージを送ってみることにした。
「お前、誰だよ。」
すぐに返信がきた。
『彼氏』
そうじゃない。
「違う」
『高校生』
「違う」
『イケメン』
「違う」
『どうしたんだよ、口調もだけど何が聞きたいんだよ』
「今、何年?」
『そういう設定?2028年じゃん』
『愛璃さん、最近変ですよ笑。悪かったと思ってるけど、話し方おかしくない?』
『ここ最近別人みたい』
伊織の心臓が大きくはねた。
2028年。
今から百年以上前。
ありえない。
そんなはずがない。
AIは発達した。
宇宙開発も進んだ。
金持ちの連中は火星に住み、
月には観光都市すら存在する。
それでも。
時間を超える技術だけは存在しない。
少なくともそう習った。
再度画面が明るくなった。
『やっぱり直接謝らせてほしい』
『いつものとこに来てほしい、待ってるから』
伊織の指が止まった。
いつものとこ。無性に興味が湧いた。
どこのことを言ってるんだ。
『駅前のベンチで、16時にね』
『初めて会った場所でな』
初めて会った場所。駅前のベンチ。
その言葉に、祖母の声が重なった気がした。
(・・人の思い出なんてね。案外どうでもいいところが深く心に残ってるもんなのよ)
(コンビニの前とか、駅のベンチとかね)
3年前。
病室で聞いた言葉。
伊織は慌ててスマートフォンを伏せた。
胸の鼓動がうるさい。
これはただの偶然だ。
伊織はそう思いたかった。
だがーーーーー
<駅前のベンチ>
その言葉だけが、
なぜか頭から離れなかった。




