第1365554回 元女神会議
シア:皆さん集まりましたか?出欠確認です
ウアル:いるぞ
フォウ:いるよー、クゥちゃんは相変わらず欠席ー
ディア:私もいます
シア:はい、では第1365554回、元女神会議を始めます
ウアル:毎度ながら、元女神ってネーミングはどうにかならんかね
シア:なぜですか?私たちを定義する、適切な名前だと思いますが
フォウ:はいはいー、毎度もうよいでしょー、さっさとはじめよー
シア:そうですね、議題は2つ、1つ目は「マスター」の捜索状況、2つ目はディアちゃんの「召喚」の件です、まずは1つ目、フォウちゃんお願いします
フォウ:はーい、クゥちゃんからの伝言ですー、「ん‥進展‥なし‥」だそうでーす
シア:はい、いつも通りですね、ありがとうございます、それでは2つ目、ディアちゃんお願いします
ディア:はい、先の議題であげた通り、私がマスターからお預かりしておりました、神話級異物「異世界人召喚チケット」を使用致しました
ウアル:お!ついに使ったか、マスターの忘形見!で、何が出てきたんだ!?
ディア:マスターは死んでいませんよ‥召喚されたのは、磯島アズマ、男性、35歳‥‥マスターと同郷の「日本人」です
ウアル:おおー!そこまでは狙い通りだな!
ディア:はい、予定通り進めていきたいと思います、ハスに迎えに行かせている所です
シア:召喚の際通る、この領域で「生まれさせ」、我々に限りなく近い座標の部屋を開く事で、我々に匹敵する「力」を持たせる‥
ウアル:そして!至高の!御方!「大いなる澱み」にぶつける!まあ、結果は分かりきってるけどな
シア:ですが、お目覚めになられた時の戯れにはなるとの事です
ディア:はい、だからこそ、この終わる世界の「最後の悪あがき」として許可が出ました
フォウ:でもさー、そんなにうまいこと、そこまで育てられるのー?最終段階でハスくんを喰わせるっていってもさー。ハスくんも良く了承したよねー、ディアちゃんもほんとにそれで良いのー?
ディア:ハスは‥覚悟の上です
ウアル:でもよ、そこまでやってもほんと「悪あがき」にしかならないのな!ディアもさ、もう頑張らなくてもいいんじゃね?こっちこいよ
ディア:いいんです!この悪あがきはもう、姉様達もお認めくださったでしょう!?マスターは行方不明のままですが、かの者がもしかしたら、澱みを打ち倒し、姉様達皆を解放して、それで、この世界も
シア ウアル フォウ:ソレハ無イ
ディア:‥‥‥ええ、そうですね‥澱み‥‥
シア:‥あら?もしかして、今御方がいらっしゃいました?少し意識が飛んでおりますが
ウアル:オレも飛んでた
フォウ:アタシもー、降臨してた?目覚めも近いねー!
ディア:姉様方、それでは、私はハスからの連絡を待たせて頂くので、これで終わりたいと思います
シア:そうですね、それではこれで第1365554回元女神会議を終わります。ディアちゃん、御方のためにも、頑張ってくださいね
ウアル:ディア!待ってるからな!
フォウ:まー、がんばってねー
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ーー終わった‥
領域への接続を終了し、意識を戻す。
もはや動く事の叶わなくなった体を眺めて、思う
本当に、分かりきった結果だ。何も変わらない。
姉様達も。
この世界の終末も。
私達姉妹は、マスターのお世話をする為に生まれた。
長い旅の末、マスターがたどり着いたのは、未知の、無尽のエネルギーに満ちた空間。
研究、解析の末、それらを使い、長い、長い年月を費やし、大地を、空を、海を、火を、生命を。
マスターの故郷の地球。その歴史を辿る様に、マスターは生み出して、創り上げてきた。
私達姉妹も、そのお手伝いを出来る程に進化させて頂いた。
マスターは、この地に於いて、創世の神と呼べる程の力を身につけていたのだ。
‥だからこそ、その力を恐れられて、追放されてしまった訳だけど。マスターを慕って単身付いてきた天使も一緒だったっけ。さすがに、もう輪廻の輪の中だろう。
ーーそうして、未知のエネルギー「魔素」を元に生まれた、生命達。
それは私達の手を離れ、この世界を様々な色で彩った。「魔素」という要素により、地球とは違った理りを持ちながら、生存競争、繁栄と淘汰、進化と絶滅を繰り返し、ついに多少の違いはあれど「人類」と呼べる種族達が現れた。
マスターの念願の「人類」の誕生。
マスターは寂しかったのだ。
故郷から切り離され、世界を追われ、そして、悠久の時間の果てにたどり着いたこの地で、かつての人の営みを、また見たかったのだ。たとえそこに自分が居なくても。見守るマスターの笑顔が鮮明に思い出せる。
その思いを、願いを、罪、と呼ぶ事はできなかった。
その結果がなんであろうとも。
『マスター‥‥あのチケット、使っちゃいましたよ‥』
ーー彼には申し訳ない事をした。
かってな都合で、かってに呼び出し、かってに押し付けてしまった。
ゼロを、限りなくゼロに近くする為だけに。
ただ、それでも思ってしまう。
もしかしたら。
ハスを喰らい、魔境にて数多の力を宿し、そして、私が完全に侵食される前に、私を滅ぼしてもらえたら。あるいは。
『フォウ姉様?』
ーーー個別通信要請?
『はーい、ディアちゃん、元気ーー?』
『フォウ姉様?どうなさいました?』
『さっきの会議ねー、ディアちゃんに言い忘れた事があったのー』
『はい?なんでしょう?』
『ハスくんに迎えに行かせてるって話、そこにね、私も向かわせてるんだ、ガルゥとルゥアを』
『それは、まさか!』
『そう、召喚された、彼を消してもらおうと思ってね』
『なぜですか!?姉様方もおっしゃっていたじゃないですか!こんな、とるに足りない悪あがきに、そんな事をする必要なんてーー!』
『私ね、やっぱり許せないんだ』
『ーーっ!』
『あの、私達を裏切って、消えていったあいつ、クソボケマスターの事』
『私達がどんなに苦しんで!叫んで!願っても!戻ってこなかった!!あいつの残した物なんて、必要ない!!』
『最期の最期で、そんな余計な物、めざわりなんだよぉ!!』
『っ、それはーー!』
『ーーディアちゃんはまだだもんね、まだ完全に呑まれていない』
『その時に分かるよ、先に逝った、ワタシタチのキモチ』
『これは、ワタシに遺された最期の私の願い!』
『あいつの!痕跡!思い!全部!全部ぶっ壊して!めちゃくちゃにして!踏みにじって!』
『ーーーーそして、完璧な終末を、皆んなで迎えるの!キャハ!キャハハハ!』
『フォウ姉様‥‥』
『はー、笑ったー、それじゃあねー、よい終末をー』
ーーーーーーーー
ーーフォウ姉様‥‥そこまで、マスターの事を‥
ーーアズマ‥‥彼は今頃‥‥なんて事‥
『ディアマンティーテ様‥‥申し訳ございません‥』
ハスからの連絡が届いたのは、それから程なくしての事だった




