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2体の怪獣

大岩が降って来たと思ったら、それは正真正銘の怪獣だった。


二本足で立つ‥恐竜⁇二階建てアパートを軽く越えている、本当に恐竜みたいな見た目だ!

ただ手は太く、長く発達していて、その巨体で道を完全に塞いでしまっている


『グォォォォオォォォッ!!』


それが目の前のハスと対峙して、空間を震わせる、凄まじい咆哮を上げていた。軽トラサイズのハスが小さく見えてしまう


『ハァアアアスゥウウウ!遊びに来たぜぇええ!』


『俺は貴様に用は無い!そこをどけ!』


『どけねぇなぁあ!フォウ様に言われたんだぁ!

後ろのやつ!召喚されたんだろう!?そいつを消してこいってなぁあ!』


『召喚については、黙認される事になっているだろう!ご意志に背くのか!!』


『俺の!ご主人!フォウ様が言ってるんだぜぇえ!?後は知らねぇなぁぁ!!』


『ちっ!話にならん!噛み殺す!』


『グォォォッ、やってみろぉぉ!!』


『アズマ!下がっていろ!』


と同時に、ハスが消え‥‥っ!怪獣の足から血が噴き出た!ハスがやったのか⁇


「わ、わかった!」


やばい!離れなきゃ!


その間にも、怪獣の周りを白い残像が駆け抜け、怪獣の足回りに血しぶきが飛び続けている、俺を追いかけ回していた時とは速さがまるで違う!

もう、怪獣の足はズタボロ‥あれ?


『ちっ!あいかわらず!』


傷が‥無い⁇いや、すぐに塞がっている⁇

あの怪獣、再生力が半端ない!


『グォォ!!軽いぃなぁぁぁ!?次は、こっちの番だぜェ!?』


『アズマ!もっと離れろ!飛んでくるぞ!』


なにが‥って、怪獣がこちらに向け口を開けて、中が赤く輝いて、これはまさか!?


壁のゆるいカーブに沿うように走る、怪獣から逃げる、走って、なんか後ろから風を切る音が!ヘッドスライディング!怪獣が口から出すものといえばあれしか無い!


その答えが、倒れ込んだ俺の頭上を轟音と共に駆け抜け、果てしない闇を照らし、飛び去っていく。

ファイヤーボール、火の玉。それはまるで太陽だった。


『グォォ!避けやがったぁぁ!』


『アズマ!』


「わ、わかってる!」


もっと、もっと遠くへ!ハスの戦いの邪魔にならない様に、来た道を戻る!


戦いから背を向け、ハスが足止めをしてくれている間に

逃げる。



やがて、怪獣の叫び声も、地響きも聞こえない程に離れた所で一旦立ち止まり、一息つく事にした。


辺りは果てしない闇と、闇からかすかに聞こえる風の音だけ。壁を背にして、座り込む。


「ハスは‥勝てるのかな‥」


凄まじい戦いだった。目にも止まらない速度で暴風を巻き起こすハス。それに耐え、灼熱の玉を吐き出す怪獣。

思わず呟いた言葉は、誰に聞かれる事もなく闇の中へ


『ハ、ハスは、勝てないよ』


「誰だ!」


『わ、私は、ルゥア。ハ、ハスと、ガ、ガルゥは、い、いつも引き分け、だよ』


声が!誰だ、どこにいる!?左右の道、目の前の空間、周りを見渡しても、なにも無い!気配なんて、何もーーっ


『う、上、だよ』


「はーーー??」


壁に張り付く様に、それはいた。


その大きさ、見た目に対しての存在感の無さ。目で見えているのに、いるのか分からなくなってしまう、なんだこれは!?

先程とは別の怪獣だ。大きく、長いヘビの様な胴体。胴体の先にある頭を見て思った、あ、龍だ。

龍が俺を見下ろしている。宙に浮かんで。


『わ、私も、フォウ様に言われて来たんだ、そ、それじゃあね、さよなら、召喚者さん』


いつの間にか龍の頭が目の前に、口を開けて、視界の目一杯に広がる、牙と口。


あ、喰われた。俺。


刹那、なぜか、金色に光る蝶が頭によぎった。




ーーーーーガキンッ!!




『ーーッ!け、結界!?か、硬い!』


ーー俺と、龍の牙の間に、光る膜?玉の様に、龍の口の中で空間を作ってくれている!膜の色は頭によぎった蝶と同じ金色だった。邪神が俺の部屋に入れた蝶の力、なのか?


『こ、これ、ビ、ビリビリする!いやな感じ!こ、こうなったら!』


俺をくわえたまま、龍が飛んでいく!口の隙間から見えるのはあの、見渡す限りの闇の空間!


「あれは!」


先ほどいた崖の道が見る間に遠ざかって行く、その道の向こうから、白い点の様なサイズのハスが僅かに見えた。来てくれたのか!でも、もう届かない‥‥!


白い点が、粒になり、闇に消えて行った。


ーーどれだけ運ばれたのか


『も、もう無理!こ、ここでいいや』


龍が、口を広げ


『じゃ、じゃあね、召喚者さん、ちゃんと、死んでね』


光る玉ごと、俺を闇の中へ落として行った。玉はゆっくりと落下して行く。俺を見下ろす龍の姿が段々と小さくなって、ーそして何も見えなくなった。



ーーやがて、ふわりと地面に着く感触。と同時に玉は消えてしまった。


そして俺は知る事になる。


此処こそが、魔境だという事を


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