【閑話】脅された刑事
「…警部。一体何があったんでしょう?彼は明らかに前の車に乗っていました。なのに私たちの後ろから。それも私たちの拳銃を奪って…」
「分からん…。分からんが、あの場で判断を間違えていたら今頃俺らはここにはおらん。」
「なんて報告します?」
「報告は上げん。」
「で…ですが。」
「お前も命が惜しければ、今回のことは忘れろ。アイツの言葉には嘘はなかった。長年刑事やってる俺の直感だ。」
「それもそうですね。通常業務に戻りましょうか。」
「あぁ。」
どうせやつとは、また会うことになるだろう。
そんな気がしてならない。
「それで良いんだよ…」
呟くように聞こえたその声に咄嗟に振り向く。
だが、誰もいない。
相棒も気づいたようだが、彼にも何も見えていない。
「俺を探そうとするな。命が惜しければ…」
「探さない。約束しよう。」
相棒も頷いている。やはり俺の判断は間違ってなかった。
「なら、代わりに一つだけ君等の功績になる事を教えてやろう。」
「功績?」
「君等が以前から探している麻薬密輸事件の犯罪グループの行方だ。」
「…何か知ってることでも?」
「彼らの本拠地でも教えれば、十分かな?」
「それが本当だと言う証拠はあるのか?」
「いってみればいいさ。そこに入るための手順は君達の車のトランクにファイルを入れてある。そこを見るといい。」
「…」
「どうするかはきみたちがきめろ。ただし、そこで彼らの状況をみた時点で私との契約を受け入れたこととする。多大な功績か、監視か。決めるのは君たちだ。」
「…受け入れよう。」
「警部!確認もせずに…。」
「いいんだ。俺の勘は当たる。この話には乗るべきだと俺は思った。」
「因みに君がさっきから勘と言っているものは、そんな迷信じみたスキルではない。まだ弱いが予知能力の一種だ。まぁ、あとは自分で決めるとい。」
すると、声はそこで途切れた。
隣りにいた相棒がトランクを見に行くと、たしかに
茶封筒に入ったファイルがあったようだ。
どうやって閉ざされたトランク内にファイルを入れたのかは不明だが、俺の中で彼を脅威リストの最上位に定めることにした。
接触すべきではないが、彼らの動向は今後も追っていくべき。そう俺の勘…いや、予知能力がそう言っている。
だが、まずはあの青年が言っていた場所を調査してみるとしようか。