俺の邪魔はさせない
「航空機の件…今回の件…そして、最高級ホテルのスイートに1週間宿泊?なにもんなんだそいつ。」
「俺なりに調べたんですが、特に何もでてきませんでしたよ。ちょっとつけてみます?」
「あぁ。」
「なら行きましょう。」
「あの…楢崎さん?」
「どうしました?」
「もうすぐつきますよね?」
「そうですね。どうかしました?」
「後ろの車、空港からピッタリくっついてきてるんですけど…。」
「えっ!?」
「確認したいんで、少し回り道してもらってもいいですか?」
「わ…わかりました。」
俺達は道を少し外れる。
ここでついてこないなら、俺の考えすぎだが。
「やっぱりついてきますね。」
「警察に連絡します?」
「いや…まだです。次の交差点を曲がってください。」
「はい。」
「次の交差点は直進して、その次の交差点を右折してください。」
「もしかして…ここを一周しようとしてます?」
「そこまでついてきたら、確実です。」
結局…あいつらはピッタリついてきていた。
「すみません。一旦寄せてもらっていいですか?」
「どうされるんですか?」
「別に何もしませんよ。少し待っていれば勝手に帰って行きますよ。」
「それも勘ですか?」
「まぁ…そうですね。」
「止まりましたね。どうします?」
「少し待て…何かおかしい。」
カチャリ
これは…撃鉄の音。まさか…
「後ろを向かずに答えろ。誰だお前ら。」
間違いない。銃を頭に突きつけられている。
俺のホルダーに銃がない。
抜き取られた?一体いつ?
「我々はニューヨーク市警だ。私はザック警部。隣はジョンソン警部補。航空機の一件と先程の空港での一件に繋がりがあると思い、追跡させてもらった。」
「それで?」
「我々はすぐに戻ることにするよ。君のことは誰にも口外しない。」
「口外すれば君の奥さんと二人の娘さんの命はない。隣の警部補も新しくできた彼女さんを失いたくないだろう?俺はニューヨークを満喫したいだけ。互いのために黙秘でいこう。頼むよ?俺も無闇な殺生は避けたいからね。」
「わかった。」
「わかりました。」
「なら、すぐに車をだせ。」
頭から銃が話された直後、俺たちは振り返ったが、
そこには誰もいなかった。
だが、正面を向き直ると
フロントガラスに文字が浮かび上がった。
"俺はどこでもみてるぞ"
「警部…。」
「帰ろう。一旦、署まで。」
「はい。出します。」
「行きましたね。冴島さんの仰る通りだ。」
「みたいですね。さぁ、ホテル向かってください。」